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創業のきっかけ 【岩本 亨】
岩本 亨
大震災や円高など、激動の年であった今年も残すところ1ヶ月となりました。皆さんにとっては、どのような年でしたでしょうか?
先日、一年を振り返ってみようと、今年のスケジュールを見返していました。9月のページの「決算」の文字を見て、改めて4期目が終わったことを確認し、創業のきっかけを思い出しました。
弊社は、平成19年10月2日設立です。5期目に入ったばかりの若い会社です。もともと私自身、「社長になりたい!」という強い意志を持っていたわけではありません。大きく二つのことがきっかけでした。
一つは、「中小企業診断士」として活躍したいと思ったこと。もう一つは他者に依存するのではなく、自らの手で獲得した仕事をしたいと思ったことです。
「中小企業診断士」という資格は、「唯一の経営コンサルタントの国家資格」と言われたりもしますが、どちらかというとマイナーな部類に入る資格だと思います。資格を目指す方々の多くは、何らか「中小企業のお役に立ちたい」との思いを持っていますが、資格を取得しても、その思いを十分に実現している人は少ないようです。それどころか一部の中小企業診断士は、「食えない資格」と自らを卑下するようなことを言っています。
そんな現実を目の当たりにして、「そんなはずはないだろう」と違和感を持ちました。数は少なくても、実際に活躍している人がいること。「食えない資格」と言っている人に限って、積極的な活動をせず、待ちの姿勢で仕事をしているように見えたこと。この二つの理由からです。
私自身が「中小企業診断士」として、中小企業のお役にたつことができれば、「食えない資格」という人が減るかもしれない。そして同じ志を持った人が集まって切磋琢磨すれば、少しでも日本経済の発展に貢献できるのではないか(ちょっと大げさですが・・・)。そんな場として会社を活用したいと思ったのです。
もう一つきっかけとしてあげた「他者に依存しない」は、会社設立の前、会社を辞めて独立して、個人事業主として仕事をしていた際に痛感したことです。いろいろな仕事をしていましたが、研修会社等からの研修講師の仕事も受託していました。今思えば、仕方ないと思う部分もありますが、例えば、研修日として仮押さえをされたまま1ヶ月以上経過しているのに何の連絡もなく、こちらから確認して初めて、その研修が失注していたことが分かった・・・などということが何回かありました。いろいろな理由はあるでしょうが、他者に依存している限りは避けられません。不満を口にしても解決しませんが、自分で仕事を獲得してくればこんな目には遭いません。幸い前職で営業活動をして、そこそこの実績を上げていましたので、できる自信もありました。そうすることで、上述の中小企業診断士が活躍できる場の活性化にもつながるだろうとの思いもありました。
会社設立して5年目に入って、だんだん思いが実現してきました。中小企業診断士に限らず、司法書士や社会保険労務士等々の方々が集まってきてくれています。今後も地道な活動を積み重ねて、創業の思いを一つでも多く実現していきたいと思っています。
新規開拓営業のコツ その2~アポイントの取り方~【産業 学】
産業 学
6回シリーズでお届けする“新規開拓営業のコツ”。第2回目は『アポイントの取り方』についてご説明いたします。
アポイントを取る手段は、①電話②メール③手紙(封書)などが考えられます。最も手軽で一般的なのは、電話ですね。メールも手軽ではありますが、先方のメールアドレスを正しく把握している必要があります。新規開拓先で、これから初めてお会いする方のアドレスを事前に入手するというのは、なかなか難しい話です。手紙(封書)も大変有効な手段ですが、メール同様ご担当者の部署やお名前を事前に把握するのは非常に困難です。本稿では電話でのアポイントを中心にご説明いたします。
1.原稿を用意しておく
個人差はあるかもしれませんが、多くの人は電話で見ず知らずの人と会話をする際、非常に緊張します。それほど緊張しなくても、淀みなく言葉が流れ出るようになるまでには、相当な“慣れ”が必要です。また、行き当たりばったりでは、本当に相手に伝えたいことも、なかなか伝えることができません。お客様に直接お会いしてお話をするのであれば、相手の顔色を見ながら会話を進めることもできますが、電話となるとそれもままなりません。そこで、電話ならではの見えないというメリットを活かして“原稿を読む”という方法が考えられます。先方はこちらの様子が見えませんので、原稿を読み上げているか否かは、なかなか分かりません。勿論棒読みにならないように十分に練習をする必要があります。練習に関しては次節以降で触れます。
原稿といっても、一言一句文章にする必要はありません。伝えたいことや、お聞きしたいことを予めメモとして書き出しておくだけでも有効です。
2.ゴールを明確にする
“原稿を用意する”に付随しますが、ゴールの設定は非常に重要です。テレアポ(電話でのアポイント)経験談でよく耳にするのが、「電話をかけても相手にされない」「すぐ切られた」「話を聞いてくれないので凹んだ」「全くアポイントが取れない」などです。多かれ少なかれ、営業マンであればこのような経験があると思います。先方からすれば、“見ず知らずの人間が、こちらの都合も考えずにいきなり電話をしてくる”わけですから、自分たちには不要と判断されれば、無碍な扱いをされても致し方ありません。ですので、電話に出た方に“不要”と思われないような投げかけをすることによって、いわゆるガチャ切りを回避することができます。それがゴールの設定ですね。正確にはゴールへの道筋といった方が良いかもしれません。“テレアポだからアポイントを取るのがゴールではないの?”と思われる方も多いと思いますが、大事なのはその先です。そもそも何のためにアポイントを取るのかといえば、お客様と商談をして、ご契約をいただき、継続的なお取引をいただくためです。ですので、初回の電話掛けでは、アポイントが取れれば何よりですが、それ以外にも今後の取引に必要な様々な情報を聞き出すことが肝要です。具体的には、担当部署・担当者は当然のこと、提案したい商品に対するニーズ・競合商品の利用状況から、会社の方針・経営者の考え方、などです。当然、これらはいきなり聞こうとしても、直ぐに教えてもらえないケースが殆どです。まずは、“自社がどういう会社で、今後どのようなお付き合いをしていきたいか”を伝えることで、上記の情報は聞き出しやすくなります。最近は、多くの企業が自社HPを持っているので、会社の方針等はアタリが付けられます。“この電話は切ってはいけないな”と感じていただけるような会話が重要ですね。
3.練習する
練習は大事です。余程の熟練者でないかぎり、電話で意のままに思いを伝えるということはできません。コミュニケーションというものは、存外難しいものです。逆に、熟練者といわれる方ほど、人知れず努力を積み重ねています。
練習のときの注意点は、①声色、②スピード、③相手の出方です。電話での声は、通常よりも低めに伝わると言われています。日常会話程度の声高で話すと「暗い」「怖い」印象を与えてしまう可能性があります。とは言え、必要以上にハイテンションで会話をすると、五月蠅い印象を与えてしまいます。テレアポ専門のアルバイトがキンキンした声でかけてきた電話を受けた経験のある方も多いと思います。文章ではちょっと表現しにくいですが、目安は“ちょっと気取った嬉しそうな声”です。“嬉しそうな”というのがポイントですね。恐らく自然と朗らかな表情になっていると思います。周囲からは「楽しそうに仕事をしているな」と思われるか「気持悪い」と思われるか、その辺は気にしないようにしましょう。“私は貴方とお話ができて非常に嬉しい”という好意を、相手に伝わるように声色で表現するのです。会話のスピードも同様です。人間は緊張すると、ついつい早口になってしまいがちです。逆に、忙しいときにゆっくり話されても苛々が募るだけです。“早すぎず、テンポよく、歯切れよく”がポイントですね。
自分の電話の声を自分で聞く機会はなかなかないので、①②は難しいと思いますが、“普段話している相手に聞いてみる”“留守番電話に吹き込んで聞いてみる”などしてみても良いかもしれません。
“③相手の出方”は、電話掛けに限らず、営業トーク全般に通ずる要素です。電話の場合は、この“相手の出方”が非常に想定しやすいので、営業トークを磨く良い練習にもなります。
例を挙げてみます。
電話に出た方が、A:自分がアポイントをいただきたい方 or B:それ以外の方 では対応が異なります。
Aであれば、己が何者であるか、訪問の目的などを端的に伝え、アポイントを頂戴すれば良いですが、Bの場合は、ご担当者の部署やお名前を聞き出す必要があります。また、居留守を使われている可能性もありますので、その際は、Bの方では判断に困る、或いはBの方以外に取り次いで判断を仰ぎたくなるような投げかけをすると効果的です。“○○について分かる方”や“○○のご案内をする際には、どなた宛に差し上げればよいか”などの文句は比較的有効です。
お目当ての方が直接電話にでることは少ないと思いますので、如何にB→Aの流れを掴むかが肝要となります。
少し長くなってしまいましたが、要約すると“相手を思いやる”ということですね。逆の立場で考えると分かり易いと思います。忙しい時に突然、会ったこともない人間から電話があったら、どういう印象を抱くか、どのような会話をしたら、快く対応できるか、ご自身の経験も踏まえてご一考いただくと良いかと思います。
次回はアポイント取得後の初回精査についてご説明いたします。
その1.事前準備 << その2.アポイントの取り方 >> その3.初回精査
「リスクマネジメント」について 【遠藤弘之】
遠藤 弘之
最近、某社で「リスクマネジメント(主に、人に起因するリスクに対し)」の話をする機会を持った。
終了後、組織のトップの方から、「自分の言いたいことを話してくれた」とお礼を言われ、自分の思いが少しは伝わったのかなとほっとした経験をした。
特に、“自然災害によるリスク”は社員らも分りやすく、ある程度の心構えができている場合が多いように思われる。
が、“人に起因するリスク”は些細なことも含めると、日常的にかなり存在する場合が多い。 が、なかなか顕在化してこないために、気づいた時には、社会的な信頼を失う事態となる場合も少なくない。
この問題の要因として、社員の目的意識・志などが低い、企業風土からの問題、ルールを守る意識の低さ、自立心の低さなど、数多く挙げられる。
そんな中で、「人に起因するリスクマネジメント」における基本的な対応策は、「プロ意識。 言い換えれば、全社員が、組織トップの意識・思いを持って、日常の業務にたずさわっていくようにすること」という状態に、如何に持っていくかが重要という自分の思いを、少しでも伝えられたのかと感じている。
ただ、それでも、人に起因するリスクは、減らせるだろうが、ゼロにはならないであろうとも思いもあり、考えさせられるところもある。
ビジョンの実現 【長屋勝彦】
長屋 勝彦
ある顧問先企業の社員教育研修のことである。
社長が百数十万円出して購入したアンドリュー・カーネギーの自己啓発に関するテープ レコーダーを聞く。今回のテープは、自分がたてたビジョンを実現させるためにどのように行動したか事例を交えて物語風にアレンジしたものである。
編集者が視聴者を飽きさせないようにという意図から編集しているせいか自己啓発に関心を持っている者にとっては興味ある内容である。しかし、master-mind、enthusiasm、personal-initiativeという英単語が頻繁にでてくると、自分の力量アップに熱心な従業員(作業者)でも、聞く気が失せる。
社長は、それでも同じことを繰り返し聞いていれば一つでも何かためになることに気付き、その気付きを自分の仕事や生活に活かしてくれればよいということで、この方式を取り入れた。テープを聞き終わった後、その内容を要約し、関連するテーマについて作文を書いてもらい、そのテーマについて話し合う。
今回は、「ビジョンの実現に向かって行動するための道筋を草稿する。そして、その計 画を実行するに当たっては退路を断ち不退転の気持ちで臨む。たとえ、苦境に立ち至った時も決してビジョンを実現しようとする気持ち(情熱)を失くさない。大切なことは、一つの区切り毎に自分の行動を振り返り反省し必要な時は軌道修正し進んでいくことが大切である。」といったことを解説し、要は「今回の話も、日ごろから言っている様に、目標達成のためにはPDCAサイクルを廻し行動することが必要だ。」と締めくくり、「自分の人生の目的、生きがいと会社、上司に望むこと」というテーマで作文を書いてもらった。
受講者の一人から「人生の目的、生き甲斐といわれても自分は考えたことがない。先生の生き甲斐は何ですか。」と聞かれた。しばらく考え、「どこにでても引け劣らない一流の人物をつくることかな。」と答えた。その後、問答を繰り返したが、東京に帰る時間となり研修を終了した。
この会社の研修を始めて8年になる。社長からは知識だけでなく仕事に対する取組み姿勢についても教育して欲しいといわれているが、個人的には社員と本音で話し会える間柄になっているかと思い、この仕事をやっていて良かったと実感する。同時に、質問した受講者は20代前半の作業であるが、これを期に自分について考えるようになってくれることを期待する。
畳屋さんの地道な営業活動に感動! 【岩本 亨】
岩本 亨
マンション住まいながら、畳が好きで、洋室を改装して和室をつくり、寝室にしている。田舎の古い日本家屋で生まれ育ったことに起因しているのだと思う。
ひと月ほど前、その和室の畳表を張り替えた。玄関を入ると、青畳の匂いがして、心地好い。
畳を入れて以来、10年近く何の手入れもしてこなかった。さすがに畳表がささくれて、衣服に付いてしまうのが気になり始めていた。
そんな二年ほど前のある土曜日のお昼前、電話が鳴った。たまたま受話器を取った私に、50代だろうか?女性の穏やかな声で、「畳屋ですが、和室はありますか?」「何年住んでいますか?」「畳表の張替はされてますか?」とごく自然に聴かれた。ついつい状況を素直に話していた。
電話のセールスだと、「隙があれば売り込むぞ!」と言わんばかりに、比較的若い方から掛かってくることが多い。私自身、長く営業に携わっているため、すぐにチェックモードになってしまう。ぞんざいな応対をすることが多く、ろくに話も聞かず、受話器を置くことがほとんどだ。
ところが、この女性は違っていた。聴き方が良かったのだろうか、やさしく諭すような雰囲気も醸していた。その時は、外出直前だったこともあり、それ以上の話はできなかったが、興味があることは伝わったと思う。
しばらくするとその電話のことは忘れてしまっていたが、畳の状態はまた徐々に悪化し、気にもなっていた。
半年ほど後、また電話がかかってきた。おなじ女性だった。「その後、如何ですか?」「見積もりは無料だからさせてもらえませんか?」と聞かれたが、その時も時間がなく、連絡先を聞いて電話を切った。
そしてまた半年後、「如何ですか?」の電話。「ちょうど、もう限界だなって思っていたんですよ」と答えていた。それからすぐに見積もりをしてもらい、ひと月もたたないうちに、張り替えが完了した。
見積もりをしてくれた職人さんに、この女性のことを尋ねたところ、3人くらいの方が事務仕事の合間を縫って、電話かけをされているとのこと。リストアップは電話帳から。かけて反応のあったお宅を、丁寧にフォローされているようだった。
電話営業を経験された方ならお分かりだと思うが、100件電話して2~3件好反応があればよい方で、多くの場合、セールスとわかった途端に切られてしまう。悪くすれば罵声まで浴びせられてしまう・・・。電話を掛ける方も心が荒み、応対に余裕がなくなり、嫌でたまらなくなる。そんな人からもらう電話が、受け手に心地好いわけがなく、悪循環に陥ってしまう。
しかも、次から次へと新しい電話帳を使うため、情報が蓄積されない。それを補完するための様々なソフトウエアも販売されているようだ。
私はそれを否定はしないが、営業の基本は営業担当者が地道な努力を、正しく積み重ねられるかどうかにあると考えている。
営業研修で講師をする際も、そんな考え方をベースにお話しする。受講された方のアンケートで、「精神論に過ぎない!」とコメントされることもある。
何か理解してもらうための良い具体例がないものか?と思っていたが、これからは「畳屋さんの営業の女性がね・・・」と説明してみようと思う。
今日も帰宅して青畳の匂いを嗅ぎ、その営業の見事さを思い出し、皆さんにもお伝えしたくなった。