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平成30年度「能力開発基本調査」について その2   吉田健司

2019/11/26
吉田 健司

前回に引き続き、平成30年度「能力開発基本調査」の取りまとめ結果から、「自己啓発を行う上での問題点」をテーマとして取り上げる。なお、能力開発基本調査の用語の説明では、自己啓発を、「労働者が職業生活を継続するために行う、職業に関する能力を自発的に開発し、向上させるための活動をいう」としている。

労働者全体では 76.4%が、自己啓発を行う上で何らかの問題があると回答している。正社員の79.9%、正社員以外の70.5%が問題あると回答している。

自己啓発における問題点の質問項目と問題があるとする割合は次の通りである。
・仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない(正社員59.3%、 正社員以外36.7%)
・費用がかかりすぎる(正社員27.9% 、正社員以外29.8%)
・家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない(正社員24.7% 、正社員以外35.5%)
・どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない(正社員22.3% 、正社員以外21.8%)
・自分の目指すべきキャリアがわからない(正社員19.2% 、正社員以外22.5%)
・自己啓発の結果が社内で評価されない(正社員17.7% 、正社員以外10.5%)
・適当な教育訓練機関が見つからない(正社員15.0% 、正社員以外18.8%)
・休暇取得・定時退社・早退・短時間勤務の選択等が会社の都合でできない(正社員12.9% 、正社員以外8.8%)
・コース等の情報が得にくい(正社員12.5% 、正社員以外14.5%)
・コース受講や資格取得の効果が定かでない(正社員11.9% 、正社員以外10.0%)

上記より、「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」、「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」と時間的な問題を抱えている人の割合が高いのが見てとれる。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の実施する生産性向上支援訓練のモデルコースにおいても時間管理に関する訓練を実施しており、私も講師を経験したが、短期的で優先度の高い仕事に日々没頭している状況を変える難しさを痛感している今日この頃である。

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