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孫子を学ぶ私の教科書 吉田健司

2016/09/25
吉田 健司

週刊ダイヤモンドの2016年9月10日号で「孫子」の特集が組まれていた。2,500年前の中国の兵法書が世界各国でビジネスパーソンに読み継がれている。この「孫子」をビジネス書として学ぶためのテキストとして一読をお薦めしたい。私も「孫子」を愛読してきたので、今回は孫子について書きたいと思う。
私が孫子の兵法を知ったのは、武田信玄の軍旗に書かれた「風林火山」が、孫子の「はやきことは風の如く、しずかなることは林の如く、侵掠(しんりゃく)することは火の如く、動かざることは山の如し」の略と分かったときだったと思う。
「風林火山」と同様、日常生活の中には、古代中国の歴史や書籍に由来することわざなどが多い。それらは義務教育やその後の学校教育などで学んだものも多く、意識していなくても、それらを使って思考していることもあるだろう。
ただ、孫子など古典の有名な1節を学んで、思考の一助とするだけではもったいない。私は、社会人になって中国古典百語百話4孫子(村山孚著PHP研究所)を読み、多くのことを学んだ。
そして百語百話に刺激を受けて、岩波文庫の孫子(金谷治訳注)を読み、孫子の全文にふれた。原文を読むことは難しいが、読み下し文、現代文、解説を読むことで基礎的な理解は得られる。これは他の古典も同じで、岩波文庫の古代中国の古典を何年もかけて読破した。
その後は、古代中国に関する講談社学術文庫を読むようになった。その中の一冊に「孫子」(浅野裕一著)がある。冒頭の週刊ダイヤモンドの特集記事でも著者のインタビュー記事とともに取り上げられている。この「孫子」と「大学」(宇野哲人全訳注)、「易の話(易経入門書)」(金谷治)は、講談社学術文庫の中でも、特別な愛読書で、定期的に再読している。
思うに、古典を学び役立てるには、自分なりに考えてみる必要がある。自分の体験や関心事などと照らし合わせながら読むことも大切である。