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生涯キャリア支援  吉田健司

2016/04/25
吉田 健司

『生涯キャリア支援と企業のあり方に関する研究会』の報告書が、厚生労働省から公表されている(平成19年7月20日発表)。この研究会は、「生涯キャリア支援」をキーワードとして、キャリアの持続的な発展を可能とする条件や、そのための企業を中心とする支援や政策のあり方を探り、今後の職業キャリア支援政策の方向を定めるため設置されたもので、キャリア支援の将来的な課題も含めた、今後の検討課題が明らかにされている。
この報告書の中から、「生涯キャリア支援」の考え方を紹介する。
働く者一人ひとりについて、「ひと」としての多様な活動を可能とし、成長できる働き方を実現していく観点に立って、職業キャリアを将来にわたり「持続可能」かつ「発展性」のあるものとしていくことが必要であり、そのための様々な支援の取組を包括する理念・考え方が、「生涯キャリア支援」の考え方とされている。
そして、「生涯キャリア支援」の観点からのあり方のポイントとして5つ挙げられている。
①過度に企業に依存した職業キャリアや意識から、「自立」できる方向へ支援していくこと。
②長い職業生涯におけるキャリアの転機や節目で、今後のキャリアを考える機会やまとまった能力開発機会などが与えられること。
③失敗しても、教育訓練が受けられることなどにより、再チャレンジできる社会であること。
④働く者個人のライフステージ等に応じて、多様な働き方が柔軟に選択できること。
⑤育児・介護に限らず、広い意味で家庭生活や地域での活動等と調和の取れた働き方(ワーク・ライフ・バランス)が図られること。
 私にとって興味深いのは、上記①に関連した企業の支援である。企業の支援としては、プロフェッショナル人材の育成、「時間の確保・場の提供・力の養成」による「専門軸」の強化、中長期的視点に立ったスキルマネジメントとキャリア支援の専門的体制等が挙げられている。
プロフェッショナル人材の育成は、企業内教育を考えるうえで私が長くテーマにしてきたことである。時間の確保・場の提供・力の養成は、職場の研修計画に組み込み取り組んだことである。そして、各人のスキル目標に従って、育成する計画を立て、自らスキル向上を図ることを支援するスキルマネジメントの概念は、人材育成の実践において意識してきたことである。
この報告書は発表から約9年になるが、重要なキーワードも多く、自身のキャリアを考えるうえでも、参考になると思う。

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