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平成24年度「能力開発基本調査」について 吉田健司

2016/03/27
吉田 健司

厚生労働省から平成24年度「能力開発基本調査」の取りまとめ結果が、公表されている。平成18年以来毎年実施されている調査で、次の3つの調査で構成されている。
・企業調査:企業の能力開発の方針などを調査
・事業所調査:事業所の教育訓練の実施状況などを調査
・個人調査:労働者の教育訓練の実施状況などを調査

厚生労働省のホームページによると、「能力開発基本調査」の目的は、国内の企業・事業所と労働者の能力開発の実態を、正社員、正社員以外別に明らかにすることである。正社員とは、パートタイム労働者などを除く、雇用期間の定めのない労働者で、正社員以外とは、「嘱託」、「契約社員」、「パートタイム労働者」などの名称で呼ばれている人で派遣労働者と請負労働者は含まれていないと、定義づけられている。

この調査結果の内、事業所調査による人材育成の課題と個人調査による自己啓発の課題について比べてみた。
人材育成に関して何らかの「問題がある」と回答した事業所は68.7%である。問題点として最も多い回答は「指導する人材が不足している」(51.3%)であり、「人材育成を行う時間がない」(44.5%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(40.4%)と続く。
一方、自己啓発について何らかの問題があるとする者は、正社員では79.4%、正社員以外では72.7% となっている。自己啓発における問題の内容( 複数回答) は、正社員では「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」が56.5%で最も高く、「費用がかかりすぎる」(34.4%)、「どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない」( 20.1%)、「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」( 18.5%) などが続いている。正社員以外では「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」( 34.8%)を挙げる割合が最も高く、「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」( 32.5%)、「どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない」( 23.3%)、「自分の目指すべきキャリアがわからない」( 20.9%) などが続いている。
調査結果から、時間的な余裕がないこと、キャリア支援が必要なことなどを認識することができた。自分に足りないスキルをどのように身につけたらいいのかわからない、そもそも自分に必要なスキルがわからないという声も聞こえてきそうである。課題発見、目標設定、実行、状況確認というキャリア開発のサイクルを人材育成の現場でどう実現するか、そのために私自身に何ができるか、あらためて考える機会となった。