果無峠を歩いて~人の情けと自然の厳しさを知る~長屋 勝彦
果無峠を歩いて~人の情けと自然の厳しさを知る~長屋 勝彦
長屋 勝彦
果無(はてなし)峠は、十津川温泉郷(奈良県吉野郡)と熊野本宮を結ぶ16.9㎞の古道の途中にあるが、八木尾~本宮までは前々回歩いたこともあり、今回は十津川温泉郷~果無峠~八木尾を結ぶ11.3㎞を歩いた。
十津川温泉で一泊し、旅館の方に車で十津川の支流西川まで送っていただき、吊り橋(柳本橋)を渡り歩き始めた。今回も二回り半ほど若いが登山キャリアの豊富なFさんに同行いただいた。果無峠は標高1,114mの峠で、柳本橋から頂上までは5.0㎞の距離であるが歩き始めてからほぼ4時間の正午近くに到着した。
熊野古道ウオーキングコースは中遍路~熊野本宮(以下本宮)に向かうコース、那智山方面~大雲取り越え~小雲取り越え~本宮に向かうコース、十津川温泉~果無峠~本宮に向かう三つのコースがあり、前々回は中遍路コース、前回は大雲取り、小雲取りコースを歩いており、今回の果無峠越えのコースで念願の三つのコースを制覇したことになる。
Fさんからも褒められたが、数年来続けているジョッギングに加え、数か月前から筋力トレーニングを始めたこともあり標準時間並みのペースで歩くことができた。しかし、後半の下り道は急で、でこぼこの石畳が不規則に敷かれた道のためバランスを崩し転倒し、坂を転がり、メガネをとばし額に軽いけがをした。又、最後の10段弱の石段を降りるときも転げ、Fさんの助けを借りた。
途中、Fさんから、ステッキの使い方、足の運び方について教わりつつ、やっとの思いで八木尾のバス停に着いたのは17時30分で予定した終バスの時間を50分オーバーしてしまった。タクシーを頼んたが、運転手は帰宅しタクシー利用は不可能とのことであった。
わらにもすがる思いで、閉店時間のみちのくの駅に電話をした。幸い、終バスと思い込んでいた17時30分のバスの後に目的地の新宮行きのバスがみちのくの駅発19時17分にあることをみちのくの駅の方から教えていただいた。その上、有難いことに、その方が車で迎えに来ていただけるとのことである。オーバーな言い方ではあるが地獄で仏とはこのことかと思った。
あいにく、下山30分頃前から雨が降り始め、雨具を持参しているとはいえ雨の中、野ざらしのバス停でバスを待つことを思うと本当に有難かった。迎えに来ていただいたみちのくの駅の方に心ばかりといい寸志を出したが固辞された。
失敗に学ぶではないが、登山のステッキの使い方、歩き方、足場への着地の仕方等基本動作を守ることの大切さ、バランスを崩しても支えられる体力増強の必要性を感じた。同時に、今回出会った十津川の宿の方のおもてなしの心、みちのくの駅の方の人情に触れることができうれしかった。
登山中は、今回も、心に掛かっている問題に自問自答しながら歩いた。
東京都中小企業診断士協会中央支部の「ふれあい」の心をもち、これまで通り、これからも力のある限り、人間力があり、高い志を掲げ、その実現に命を懸ける人を支援していきたい。又、来年もどこかの山を歩きたい。
以上