10年振りのD社の企業診断 【長屋勝彦】
10年振りのD社の企業診断 【長屋勝彦】
長屋 勝彦
7年振りに中小企業診断士6名で1か月の予定でグループ診断を行った。D社は10年前、実補修指導員として診断を行ったことがある。D社社長とは茨城県中小企業振興公社勤務時代に受注・販路開拓エキスパートとしてお世話になって以来、メール等でやりとりをしている。
D社長は新潟県から単身上京し管工事業を起こし一代で従業員40名の会社に育て上げた苦労人である。10年前は年商10億円の会社であったが、官民の好調な設備投資の影響を受け現在は年商16億円、当期利益0.5億円の優良企業である。社長から診断に当って、4月から始まる来期の経営指針つくりを依頼された。同時に、5年かけて従業員の中から後継者指名のための分社化体制作りも依頼された。
今回は、中小企業診断士協会の主催する実務従事事業として行うため、診断企業、案件の特徴を記載した申請書を作成しWEBによりメンバーを公募した。幸い、公募開始後20分弱で定員に達し案件として成立しスタートすることができた。しかし、公募要件として高度な診断ノウハウ提供という文言にチェックしたものの今一つ不安を抱き、副指導員を知り合いの診断士に依頼した。
結果は案ずるより産むがやすし、メンバーはいずれも多彩で有能、これまでの振返りとともに来期から5年間の事業計画を作成、これを踏まえた来期の経営指針を作成した。その報告会を今月末社長に行う予定である。ちなみに5年後は繰越利益額が負債を上回る企業となるが、一層の成長を目指すためには獲得した利益でどのような投資を行うかをメンバーで議論した。
社長は5年後70歳、ご子息はおられるが事業承継の意思はなく従業員に株式を譲渡し、一線を引かれるという。その時も気力、体力は充実されていると思う。世のため、人のために働いてこられた社長の真のビジョンは何であろうかと考えるこの頃である。マズローの欲求段階説では自己実現が最も高次の欲求であるというが、その後は、真善美の追求であるという。翻って社長より年配の自分自身はどうか。診断報告会終了後その後の人生観について聴きたいと思うこの頃である。
以上