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クレーム対応研修のそのあとで 【岩本 亨】

2013/11/04
岩本 亨

先日、某県の酒販卸組合の方々向けに「酒にまつわる上手なクレーム対応について」というテーマで講演をさせていただきました。

酒販店にお酒を卸す仕事をされている方々ですので、酔った人に絡まれた時の対応ではないなと思いつつ、事前に具体的なクレーム例をヒアリングして、一般的な内容であることがわかりました。

講演の冒頭「どんなクレームがあるのか?」と改めてお聞きしたところ、「納期に遅れた」「製造日が古い」「担当者の応対が悪い」「メーカーの方針が気に入らない」「会社の考え方が横柄だ」等々、特に「お酒にまつわる」内容ではありませんでした。

納期管理、在庫管理、コミュニケーション等の基本に忠実に対応すべきこと。モンスターと言われる悪意あるクレーマーの対処方法等についてお話ししました。

講演が終わり、200キロほどの移動で高速バスに乗るために、最寄駅西口のバスチケット売場に行ったところ、販売員が席にいませんでした。隣の窓口の別会社の販売員に聞いてもわからないとの答え。5分以上待ってやっと戻ってきた60代の女性販売員に行先を告げたところ、謝りもせず「それは東口で買ってください」の一言。納得いかないまま東口に行き、チケットを買うついでに、西口の出来事をお話ししたところ、非常に申し訳なさそうに「そうですか・・・、良くあるんですよね」と受け流されてしまいました。

クレームの初期対応で、クレームを言ってきた人に「仕方がないと思っていただく」ということがあります。このケースでは、まさにそんな気になりました。

西口の販売員の対応はもってのほかですが、東口の方の「良くあることで・・・」との対応は、結果的には評価して良いものではないかと思います。

その応対は受け手によっては火に油を注ぐことにもなりかねないかも知れません。しかし、申し訳なさそうにしつつ、わざと深刻に受け止めて無いというそぶりをすることで、私に「しょうがないなぁ・・・」と思わせたのですから、高等テクニックと言っても良いのでは?とバスの中で思った次第でした。