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会社は誰のためのもの~フリーキャッシュの使い道~ 【長屋勝彦】

2013/02/11
長屋 勝彦

来月は決算期の月である。会社の通信簿として所得申告のため貸借対照表、損益計算書及び上場企業ではキャッシュ・フロー計算書を作成し開示する。この中で、キャッシュ・フロー計算書が面白い。キャッシュ・フロー計算書を見ていると企業それぞれの資金の集め方、使い方というか、経営の仕方がわかる。

 

フリーキャッ・フロー(営業キャッシュ・フロー+投資キャッシュ・フロー)がある企業がそのキャッシュ・フローを新規事業投資に回している会社、リスクに備えて保険を掛けている会社、借入金の返済に充てている会社、借入金を完済し新規投資もしないで現金預金を増やしている会社などさまざまである。

 

中小企業でフリーキャッシュのある会社は保険に入り節税を図っている会社が多い。

保険には、経営者を対象とする経営者保険、従業員の退職金を対象とする養老保険、退職金保険、労働災害保険、会社の固定資産を対象とする火災、地震保険等がある。

 

保険に入ることは将来に対するリスク管理であり、そのこと自体を否定するものではないが、フリーキャッシュの内、どの程度を保険に回すかが問題である。保険に入る前に借入金の返済による財務体質の強化、新規投資等による事業拡大を検討する必要がある。

 

又、掛け金の全額が損金扱いになるが、会社倒産等の場合でも退職金は直接従業員に支払われるということで共済事業(中小企業退職金共済事業)に加入しない企業もある。反対にその場合(倒産等)に多少の金額でも従業員が手にすることができれば、従業員にかける迷惑が少なくなると考え、少額を中退協に月々掛けている企業もある。

 

会社は誰のためにあるのかといった場合、欧米では株主のためといわれているが、会社は顧客あって成り立つものであり、その顧客対し製品を作っているものは従業員であり、それを支えているものは地域社会であるといったことを考えるとき、中小企業も将来の成長のため新規投資により顧客満足を図っていくとともに福利厚生の増進により従業員満足を図っていくことが生存の条件であると思う。