後継者育成~ほめて育てるか鍛えて育てるか 【長屋勝彦】
後継者育成~ほめて育てるか鍛えて育てるか 【長屋勝彦】
2012/05/14
長屋 勝彦
長屋 勝彦
「やって見せて、言って聞かせて、させて見せ、褒めてやらねば部下は動かじ」山本五十六元帥の言葉である。人は褒められることにより認められたという気持ちになりやる気が出て成長するということであり、管理者研修などでこの言葉を引用する。
一方、「谷底から這い上がってきた獅子を育てる」という言葉がある。獅子は生まれてきた子獅子を谷底に落としそこから這い上がってきたものだけを育てるという意味で、甘やかさないで試練を課し育てるということである。
どちらの育て方が良いかは一概に言えない。
厳しい課題を課し、達成できないと「駄目だ、駄目だ」というやり方では、滅入ってしまい、やる気がなくなり、自信喪失につながる。植物に対しても温かい言葉をかけ育てれば花を咲かせ、身を実らせるが、きつい言葉をかければ成長が止まってしまうということを聞く。
会社等の組織の階層が上がるにつれて、褒める、手とり足とりによる指導のみではトップマネジメント層にふさわしい器に育つとは言い難い。厳しい命題、課題を与え、その命題、課題を達成させるための方法を自ら考え、実行させるよう仕向けることが必要である。会社のトップがその地位に着くまで、先人から厳しい試練を受け血のにじむような努力をし、自分自身の経営手法を体得したことを、「私の履歴書等」で読む。
事業承継には、公平無私の立場で、会社の存在意義、経営者としてのあるべき姿を自覚させることから
始めていきたい。そして自分自身も原点に還った経営を目指していきたい。