発想力の高揚~ロジカルシンキングVSラテラルシンキング~ 【長屋勝彦】
発想力の高揚~ロジカルシンキングVSラテラルシンキング~ 【長屋勝彦】
長屋 勝彦
ある自治体で情報分析能力向上研修を行った。
その内容は、情報の定義から始まり、情報分析の意義、情報分析に関する平均、分散、標準偏差を用いる相関分析、回帰分析等の統計的手法、MECE(mutually exclusive, collectively exhaustive)の概念に基づくロジカルシンキングによるデータマイニング、推論等の構造化分析手法についてのものである。
研修のまとめとしてロジカルシンキングと対極にあるラテラルシンキングについて話した。ラテラルとは側面(広辞苑)という意味で、ラテラルシンキング法は直感や想像、新しいものの組み合わせなどから解の仮説をイメージする方法で1970年代にエドワード・デノボ(教育者)により提唱された手法であり、ロジカルシンキングでいう論理的思考法ではなく、水平的思考法である。
参考までにデノボ博士の逸話を紹介する。
・ロンドンの商人が金貸しから借金をし、困っていた。
・借金を返済できない時は監獄に放り込まれる。(現在は監獄行きはなく、自己破産
すればよい)
・金貸しは美しい娘に目を付け取引を提案した。
・娘をくれるなら借金を棒引きにしてやる。
・袋に二つの白と黒の小石を袋に入れ白い石を引け ば、金は棒引きとし、娘はくれなくてもよいが黒い石を 引いた時は借金を棒引きとするが娘を差し出す。
・金貸しは自分が監獄送りとなると娘は食べていけなくなるので仕方なく同意した。
・娘は金貸しが商人の庭から黒い石を袋に二つ入れるのをみて、茫然とした。
→助かりたい娘はどうする
ロジカルシンキングによる解決・娘が石を選ぶのを拒否する。
・袋の中を空け不正を暴く。
・黒い石を引いて自分を犠牲にする。
→いずれにしても父親が監獄行きとなるか、娘が犠牲になるかであり、あまり良い結果ではない
ラテラルシンキングによる解決(デボノ博士の説明)
・娘は袋の中に手を入れ、石を取り出し白か黒かを確かめずに手から滑り落とし、庭の小道の小石の中に落とす。
・そして不調法で失礼しました、でも袋の中のもう一つの石を調べればわかりますという。
要は、情報分析の目的である課題抽出(問題解決)は論理的手法だけでなく水平的手法で行うことも必要であるということで、常に、物事を、大局的にみる鳥の目、付き詰めてみる蟻の目、流れをみる魚の目でみる必要があるということである。
発想力向上は企業が発展するには不可欠でり、常に顧問先企業にはいつも三つの目でみて発想力を高めるようアドバイスしている。