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切磋琢磨した絆~海図なき大航海に向かって~ 【長屋勝彦】
長屋 勝彦
2011年の大きな出来事は公私ともに3月11日(金)の大震災であった。震災当時、秋田県のある機械加工工場で研修中であった。当日は研修終了後社長と共にその日の秋田新幹線で帰途に着く予定であった。震度7の揺れが数分続き全員が工場の駐車場に出た。揺れが治まり工場に入り機械を点検したが計測器は壊れ、機械はいざり、この状態での運転は不可能な状態であった。
買い置きの電池がありテレビ、ラジオでニュースを見聞きした。東京まで辿り着く飛行機、新幹線による移動手段はなく、本日までお世話になったホテルに宿泊することにした。電話が通じないのでその工場の社員の方が車で、ホテルに行き宿泊を申し込み、受け付けをしていただいた。電気が通じていないので信号機が作動せず車の運転には気を使ったということを聞いた。
幸い社員の家、家族の方には問題はなくそれぞれが運転する機械の状態を確認、上司に報告して終業前ではあるが16時頃に退社した。
翌日は休みの土曜日であったが全員出社した。出社しても停電中であり機械を運転することはできないが故障した機械の点検、修理にあたった。
研修では、「リーダーとは部下を通して組織目的の効率的達成を図る人であり、部下が積極的、意欲的、自発的に達成しようと仕向けることが大切である。」ということを常に言っているが、日常業務にはその研修効果が発揮できていない状況にある。
社員は機械の点検を終え帰宅したが、工場長及び幹部社員は午後からも残り社長と共に今後の対応について協議した。夕方になり電気、水道、ガスのライフラインが回復した。リーダーの自発的行動により、工場長が中心となり各リーダー、社員に連絡し翌日の日曜日から操業を開始することになった。
今回のことで、震災前日の木曜日を含め4日間滞在したことになるが、私的には、ホテルの方には快く宿泊を引き受けていただくと共に炊き出しをはじめ何かとお世話になった。又、工場の社員の方にも弁当をごちそうになったり、携帯電話を充電していただいたり、細かなことまでお世話をいただいた。
社長とは、常々「リーダーに如何にして危機感を持たせることができるか」、「そのためにはどうすればよいか」ということを話しているが、今回の震災ではお互いに助け合い、率先して自分たちの職場を守ろうとする社員の気合を感じた。当工場は、この時点で、組織の成立要因である、目的意識、貢献意欲、コミュニケーションのすべてを満たしていたということになる。テレビ番組等でも言われる日本人の絆が当工場にもあることを実感した。
早速次の月(4月)の朝礼で、「当工場もやる気になればできる。この気持ちを忘れずに危機意識を持ち仕事をして欲しい」と話したが、現在の雰囲気は「喉もと過ぎれば熱さ忘れる」、元に戻ったような感じもする。
しかし、教訓として、中小企業とはいえ、1社、1工場は危険、秋田工場の他、現在の本社工場のあり方も見直さねばという結論を得た。リスク管理に対する対処の仕方もシビアになった。
2012年も海図なき航海であり、行く先には荒波が待っている。企業は環境対応業であり、その荒波をうまく乗りこえることである。当社の強みはトップクラスの企業を顧客として持っている。その顧客維持のためには技術のブレークスルーが必須である。
さすれば、TPPを活用し世界の企業を直接顧客とし取引することも夢ではない。そのためには、お互いに傷をなめ合う絆ではなく、切磋琢磨した絆が必要である。
余談ではあるが、3月13日の日曜日工場長の運転により新潟までドライブをし、上越新幹線で帰途に着いた。
「年頭の決意」を文章にしてみる。 【岩本 亨】
岩本 亨
あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いいたします
2003年以来、年初に「年頭の決意」をまとめている。今年で10年目である。
始めたきっかけは、中小企業診断士資格取得の受験勉強をしているときの、講師の一言だった。
当時「資格の学校TAC」の中小企業診断士講座を受講していた。講師の三好隆宏先生が年末の講義で、概略以下のような話をされた。
「自分が何のためにこの資格を取得しようとしているのか? 取得したらそれをどのように活用して、どんな人生を送りたいのか?改めて整理してみてください。年末年始を良い機会として文章にすることをお勧めします。」
私は、2002年に一次試験は合格したものの、二次試験は不合格だった。翌年の二次試験合格に向けて、受験勉強を続けていたが、マンネリ化していた。
半信半疑で作文してみた。資格取得を目指した理由を改めて振り返り、そこに新しい気持ちも盛り込んで文章にした。
幸いにも翌年合格することができた。翌年の正月に、一年前の文章を読み返して、思った。
「昨年はこんなことを目標にしていた。反省点もたくさんあるが、できたこともある。振り返りをもとにして、今年も『年頭の決意』を作文しよう。」
以来、9年間続けてきて、今年が10年目である。今年もこれからまとめようと思い、9年間の文章を読み返した。様々な気づき、反省がある。それをもとに今年一年を考える。
「一年の計は元旦にあり」、お正月に自分の人生を振り返り、目標を新たにすることが、自分の成長のために、良い効果をもたらしてくれると信じている。
皆さんにとって今年一年が良い年でありますように。
新規開拓営業のコツ その3~初回精査~【産業 学】
産業 学
6回シリーズでお届けする“新規開拓営業のコツ”。第3回目は『初回精査』についてご説明いたします。
その1.事前準備
その2.アポイントの取り方
その3.初回精査
その4.2回目以降の訪問
その5.クロージング
その6.アフターフォロー
“初回精査”というと、耳馴染みが無い方が多いかもしれません。端的に言うと、“初回訪問時に相手の情報を詳しく聞き出す”という意味です。単なる“初回訪問”と区別しているのは、必要な情報を聞き出さないで「こんにちは。さようなら」で帰ってきてしまっては、何も意味が無いからです。
1.ヒアリング項目を整理しておく
訪問前にヒアリング項目を整理しておきましょう。このとき気を付けたいのは、“初回精査で何を聞くか”ではなく、“契約締結までに、あるいはそれ以降も含め、何を把握しておかなければならないか”です。取扱商品や業種によって詳細は異なりますが、最低限抑えておきたいのは、決定権者、キーマン、決済ルート、購入時期、決算期、競合商品の利用状況、主要取引先、業務フロー、顧客の抱える問題・課題等です。当然、初回訪問時に全てを聞き出すことは困難です。訪問回数を重ねながら聞き出していく必要があります。一般的には、自社の商品を売り込みたいがために、競合商品の利用状況のヒアリングに注力される方が多くいらっしゃいます。競合の把握は勿論重要なのですが、それよりも決定権者やキーマン、決済ルート或いは、業務フローや顧客の課題等のヒアリングに傾注すべきです。決定権者とキーマンは一見、同じに思えるかもしれませんが、実態は大きく異なります。決定権者とは、最終的に契約締結にGOサインを出せる人間で、キーマンとは、この決定権者の信頼が厚く、決定権者の意思決定に大きく関与できる人間のことです。規模の小さな企業であれば、決定権者とキーマンが同一である場合もありますが、それなりの規模の組織となると別々に存在します。また、アポイントを取って最初に会った担当者が、このキーマンであれば話は早いのですが、通常この“キーマン”は組織内でも優秀で多忙であることが多く、直ぐに会えるとは限りません。“キーマン=担当者”ということもありますが、組織の規模が大きくなると、“担当者”とは専らその分野の事務処理を担当する者という形で位置付けられ、キーマンとは異なることが多いです。事務担当者との関係強化を深耕しても、キーマンを押さえなければ、契約締結には至りませんので、2回目以降の訪問で如何にキーマンに会うかを模索しなければなりません。そのためには、より顧客ニーズの核心に近い会話をしなければならず、核心に迫るために業務フローや顧客課題等のヒアリングを行うのです。
2.ストーリーを意識する
初回精査に限りませんが、面談の際はストーリーを意識して会話をする必要があります。いくら顧客の情報を入手したいからといっても、相手を質問攻めにして、尋問のような聞き方をしてしまっては不快感を与えるだけです。自分が把握したい情報を聞き出すには、どのような会話のキャッチボールをすれば良いか、予め数パターンのシミュレーションをしておくと良いでしょう。『アポイントの取り方』の回でも“練習は大切です”とお伝えいたしましたが、顧客面談時も同様です。“何か宿題を持って帰る”ことを意識すると、ストーリーも組み立て易く、コミュニケーションも円滑に図れるでしょう。次に繋げることを意識しましょう。
ヒアリング手法等のコミュニケーションスキルに関しては、別稿で触れたいと思います。
3.悪い印象を与えない
これも当然のことなのですが、初回面談時には特に気を付けたい点です。人間は第一印象がとても重要です。“人は見かけで判断するな”とは言うものの、人には“人を見かけで判断してしまう”習性があるのです。これをメラビアンの法則と言います。メラビアンの法則の説明については、コミュニケーションスキルの稿に譲りたいと思います。
初見の相手に抜群に良い印象を与えるというのは至難の業です。しかし、“悪い印象を与えない”という程度であれば努力の範囲です。身だしなみや言葉づかい等、ビジネスマンとして最低限のマナーを遵守しましょう。
ポイント1に文量が偏ってしまいましたが、全編通して重要な箇所ですので、押さえていただければと思います。次回は『2回目以降の訪問』についてご説明いたします。
その2.アポイントの取り方 << その3.初回精査 >> その4.2回目以降の訪問
この時、リーダーは如何に“考動“したら良いのか? 【遠藤弘之】
遠藤 弘之
日経新聞に10月28日と29日と二日続けて、「太陽電池事業、急速なブレーキ」という内容の記事が載っていた。
この市場は、ここ数年の欧州及び中国のニーズに加え、国内ニーズもあり、増産につぐ増産状況となっていた。そのため、国内の関連企業は、太陽電池及びその周辺部材供給メーカー(封止材、バックシート材、その他)も、積極的な投資をし、大変忙しい状況にあったようである。
この状況の中での事態急変に、担当するリーダーばかりか、経営陣は、如何に“考動”しているのだろうかと気になっている。
新聞記事の中で、某経営者等は、業績の下方修正を覚悟する中でも、「目下はお手上げ状態だが、長期では必ず成長市場になるはず」と持久戦での勝利をとの思いを述べている。
問題は、急ブレーキの真の要因が、ギリシャ問題からの欧州経済の萎縮と中国などの新興国の景気減速状況にあるという底の深い問題にある点である。となると、このような経済環境が好転するには、年単位の時間を要するものと危惧される。
こんな時、リーダー等の心の内では、将来への期待が持てる事業であるという信念を持ちながらも、その長い間、この事業継続について、社内で如何していくのかに頭を痛めているのではないかと推測される。
ここで、以前に読んだ本「ビジョナリーカンパニー」(J.C.コリンズ等)の中の言葉が思い出される。それは、「偉大なカリスマ的指導者の必要性より、長く続く組織を作り出すことが大切」という言葉である。
こういう機会だからこそ、ぜひ、この本を、再度、読まれることをお薦めしたい。
ビジョンの探求 ~3人の石切り工より~ 【長屋勝彦】
長屋 勝彦
寺院を建てている三人の石切り工の話である。「何をしているのか」と聞かれたとき、第一の男は、「これで暮らしを立てている」と答えた。第二の男は、「国中でいちばん上手な石切りの仕事をしている」と答えた。第三の男は、その目を輝かせ夢見心地で空を見あげながら「大寺院をつくっている」と答えた。ドラッカーの「マネジメント 下」からの逸話である。研修でよく使用する題材である。
第一の男も、第二の男も、仕事の目的(寺院を建設する)を意識して働かなければ良い仕事(人に感動を与える寺院作り)はできない。第三の男こそ仕事の目的を理解して働く男であり、経営管理者にふさわしい。
つまり、組織目的を理解し、「目標による管理」がマネジメントに必要であるということをドラッカーは言いたかったのだと思う。
翻って、個人としてはどうか、目標による管理は自己の目標と組織目標の一体化にある。マズローの欲求多段階説では自己実現が個人の欲求の最高位にある。人間はパンのみに生きるにあらずという新約聖書の言葉があるように、自分なりの生きがいを見つけるため、夢探し、自分探しの探究をし続けることかと思う今日この頃である。