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発想力の高揚~ロジカルシンキングVSラテラルシンキング~ 【長屋勝彦】

2012/02/13
長屋 勝彦

ある自治体で情報分析能力向上研修を行った。

その内容は、情報の定義から始まり、情報分析の意義、情報分析に関する平均、分散、標準偏差を用いる相関分析、回帰分析等の統計的手法、MECE(mutually exclusive, collectively exhaustive)の概念に基づくロジカルシンキングによるデータマイニング、推論等の構造化分析手法についてのものである。

 

研修のまとめとしてロジカルシンキングと対極にあるラテラルシンキングについて話した。ラテラルとは側面(広辞苑)という意味で、ラテラルシンキング法は直感や想像、新しいものの組み合わせなどから解の仮説をイメージする方法で1970年代にエドワード・デノボ(教育者)により提唱された手法であり、ロジカルシンキングでいう論理的思考法ではなく、水平的思考法である。

 

参考までにデノボ博士の逸話を紹介する。

・ロンドンの商人が金貸しから借金をし、困っていた。

・借金を返済できない時は監獄に放り込まれる。(現在は監獄行きはなく、自己破産

すればよい)

・金貸しは美しい娘に目を付け取引を提案した。

・娘をくれるなら借金を棒引きにしてやる。

・袋に二つの白と黒の小石を袋に入れ白い石を引け ば、金は棒引きとし、娘はくれなくてもよいが黒い石を 引いた時は借金を棒引きとするが娘を差し出す。

・金貸しは自分が監獄送りとなると娘は食べていけなくなるので仕方なく同意した。

・娘は金貸しが商人の庭から黒い石を袋に二つ入れるのをみて、茫然とした。

→助かりたい娘はどうする

 

ロジカルシンキングによる解決・娘が石を選ぶのを拒否する。

・袋の中を空け不正を暴く。

・黒い石を引いて自分を犠牲にする。

→いずれにしても父親が監獄行きとなるか、娘が犠牲になるかであり、あまり良い結果ではない

 

ラテラルシンキングによる解決(デボノ博士の説明)

・娘は袋の中に手を入れ、石を取り出し白か黒かを確かめずに手から滑り落とし、庭の小道の小石の中に落とす。

・そして不調法で失礼しました、でも袋の中のもう一つの石を調べればわかりますという。

 

要は、情報分析の目的である課題抽出(問題解決)は論理的手法だけでなく水平的手法で行うことも必要であるということで、常に、物事を、大局的にみる鳥の目、付き詰めてみる蟻の目、流れをみる魚の目でみる必要があるということである。

 

発想力向上は企業が発展するには不可欠でり、常に顧問先企業にはいつも三つの目でみて発想力を高めるようアドバイスしている。

カテゴリー:  経営情報, 長屋勝彦

インフルエンザと企業経営に見る、リスク管理 【岩本 亨】

2012/02/06
岩本 亨

先日、とあるセミナーの打上げの会食があった。講師4人とスタッフ3名。私も参加した。隣に座ったS先生が時折咳き込んでいるのが気になったものの、楽しいひと時を過ごした。翌日S先生より、「病院でインフルエンザA型と診断された。前日から熱っぽかったが、会食の魅力に誘われて参加してしまった。申し訳ない。」との連絡があった。次の日会食に同席していたKさんが、インフルエンザA型と診断された。私もその日から、なんとなく調子が悪く、胸の痛みやせきの症状が出ていた。夜になって発熱した。「とうとう私も・・・」と、弱気になると同時に、次週に予定されているセミナーやコンサルティングのアポイントをどうすれば良いか?と悩んだ。S先生に対して「風邪の症状が出ているのだから、参加を遠慮できなかったのか?」と腹立たしく思った。翌日病院に行き、検査をしたところインフルエンザは陰性だった。医師に「ただの風邪」と言われ、安心すると同時に、情けない自分を確認した。

 

こんな事態を防ぐためにはどうすればよかったのか?以下の三点に集約される。

①まず、S先生が参加しないこと。

②私自身がインフルエンザの予防接種を受けていること。

③リスクヘッジとして、代替講師を想定していること。

 

これを企業経営に例えてみる。取引先(S先生)が倒産し、連鎖倒産が発生(Kさん)、同じ状況の私があたふたしている状況である。上記三点については、以下の対応であろうか。

①危ない会社と付き合わない。または、与信管理をしっかり行うこと。

②「経営セーフティ共済」(中小企業倒産防止共済制)を活用し、毎月一定額の掛金を積み立てておくこと。

あるいは、セーフティネット貸付制度等、連鎖倒産を防ぐ施策を研究しておくこと。

③社長が何らかの事情で機能できなくなった時、誰がどのように代替するのか事前に決定しておくこと。

 

リスクを想定し、事前対応が可能なことについてきちんと備えておくことは、リスク管理の基本。弊社の研修プログラムとしても提供しているが、講師を担当しているものとしてきちんとできていなかったことに気づき、反省した次第である。

新規開拓営業のコツ その4~2回目以降の訪問~【産業 学】

2012/01/30
産業 学 

6回シリーズでお届けする“新規開拓営業のコツ”。第4回目は『2回目以降の訪問』についてご説明いたします

その1.事前準備
その2.アポイントの取り方
その3.初回精査
その4.2回目以降の訪問
その5.クロージング
その6.アフターフォロー

 

新規開拓営業の難しさは、実はこの2回目以降の訪問にあります。そう言うと、“え?アポ取る方が難しいんじゃない?”と意外に思われるかもしれません。確かに新規でアポイントを取るのは慣れない方には骨の折れる仕事ですが、2回目以降の訪問にはそれ以上の難しさがあるのです。その理由として次の3点が挙げられます。

 

1.ある程度先方が納得する提案を持参しなければならない
2.同じ話をしても飽きられてしまう
3.営業マンとして確実な成果が求められる

 

1つ目は、少し微妙な表現をしていますが、要は“的外れな話をしない”ということですね。初回精査の回でも触れましたが、営業マンは訪問を重ねるたびに、顧客の情報を引き出さなければなりません。そのためには、“この人は当社(私)に有益な情報を持っている”と相手に感じてもらう必要があります。自社に有益な人間と評価されれば、時間を割いて会ってもらうことも可能ですし、“会っても時間の無駄”と判断されれば、もう二度とお会いいただけないでしょう。

 

的外れな会話をしないために大切なのは、やはり事前準備です。初回精査で仕入れた情報を基に、類似の成功事例を踏まえ、提案事項を複数用意しておきます。ここで重要なのは、数パターンの提案を用意しておくことです。用意するといっても、全パターンの提案書を用意する必要はありません。最初に出した提案が先方の意図から外れてしまった場合を想定して、予め別ルートを用意しておくのです。当所の提案から軌道修正をして、次回のアポイントに繋げられれば、その面談は成功と言えるでしょう。

 

2つ目はそのままですね。どんなに良い話をしていても、毎回話の内容が同じでは、聞く方も『またその話か』と飽きてしまいます。勿論、商談の内容によっては、時間をかけて何度も説明し、徐々に理解を深めていただく必要がある、というケースもあります。しかし、そういった場合でも、事例等の紹介については、異なる題材を使ったり、同じ題材でも違う切り口で説明したりする工夫をしたほうが効果的です。

 

3つ目は一見当然のことなのですが、見落としがちなポイントがあります。受注額100万円の案件を3回の商談で成約した営業マンと、成約まで100回の商談を重ねた営業マンとでは、どちらが優れた営業マンでしょうか?答えは前者ですね。確かに、訪問回数を重ねて顧客からの信頼を得ることは大切ですが、その分営業コストが嵩みます。営業コストとは単に交通費とか販促費とか、そういった類のものだけではありません。顧客との商談時間は勿論、往復の移動時間や書類作成の時間等、その顧客に注いだ時間の全てに当該営業マンの人件費が費やされています。とかく、営業マンはこの営業コストを忘れがちです。商談を重ねるたびに費用が発生しているという認識をしなければなりません。“売れれば良い”などという考えは、もってのほかです。

とは言え、そうそう簡単に成約に至らないところが、営業の難しいところでもあり、面白いところです。ある程度、戦略的に時間をかけて落とさないといけない案件もあります。今回申し上げたかったのは、『成約前の顧客と継続的に会うには次に繋げるための提案とコスト意識が必要』ということです。

 

次回はいよいよ『クロージング(案件の締結)』です。

 

その3.初回精査 << その4.2回目以降の訪問 >> その5.クロージング

カテゴリー:  営業力, 営業活動, 新規開拓, 産業学

「儲かる仕組み」「売上倍増のマーケティング」の道も一歩から 【鈴木健彦】

2012/01/30
鈴木 健彦

こんにちは。鈴木健彦です。

 

よく「儲かる仕組み」とか「売上倍増のマーケティング」といったテーマの書籍やセミナーを見かけます。

しかし、「もしドラ」(注)ブームを契機とした経営学ブームで、簡単に儲かるような仕組みを短絡的に求めるのではなく、その背景にある理論からしっかり学ぼうという風潮が出てきたのは喜ばしい限りです。

 

実際、経営学をしっかり学べば、さまざまな書籍やセミナーで見かける売上アップの手法は、自分で考え、思いつくことができるようになるからです。

私がMBA課程で感じたのは、まさにこの面白さでした。

 

しかし、本当に難しいのはここからだと思います。

 

「儲かる仕組み」も、実行するのは人間です。自分です。仲間です。同僚や上司です。

スキルのばらつきがあって、仕事のえり好みがあって、気分の浮き沈みがあって、サボりたいときもあって、人間の好き嫌いがあって、ついつい飲みすぎちゃったりして・・・。

 

多くの経営学の書籍では、戦略を実行計画に落とし込むための具体的なツールは、あまり用意されていません。

一応、企業風土や戦略、社員のスキル等を総合的に判断するフレームワーク(「7S」など)もありますが、それでも現場のドロドロした人間関係や大事な時にビビってしまう営業マンの感情まで制御できるものではないのです。

 

そこで重要なのは、決めたことを一歩一歩実現していく姿勢だと思います。

 

『コツコツと、まじめに、細かいことを一つひとつこなしていき、また部下にやり遂げさせる。

そんな企業が、最終的には強い力を持つようになる。』

 

時間はかかりますが、中小企業はそうやって成長するものだと思います。

 

大企業、特に韓国の大企業などは、莫大な資金をテコにヒト・モノ・技術を集め、ものすごい勢いで成長しますし、経営学もそういった手法に関する研究が多いです。

ですから、経営学をそのまま中小企業経営に持ち込むのは、けっこう危険なことなのです。

 

私も含め、中小企業の方が経営学を学ぶ際には、「実行」という視点を忘れないようにしたいと思っています。

 

 

(注:『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』ダイヤモンド社刊)

組織の文化 【遠藤弘之】

2012/01/16
遠藤 弘之

年末、年賀状の作成にインクジェットプリンターを使う人が多くなった。
20年程前、C社のインクジェットプリンターをバブルジェットプリンター(BJ)と称され、家庭用に広まり出した頃であった。が、印刷速度が遅く、印刷精度も低く、性能は、今とは比較にならない位悪かった。
そこで、性能向上を狙った機能部材を提案すべく、C社を訪問する機会があった。
その時、お会いした方は、このBJプリンター開発に17年間も携わってきた人で、その開発から実用化までの苦労話の一端をお聞きすることが出来た。
とにかく、開発テーマが、風前の灯になったりしながら、紆余曲折を経て、実用化に辿り着いたとのことでした。その中で最も興味を魅かれたは、”同じテーマを同じ人が、17年間も続けられた理由”についてであった。

そのことに対しては、「長期に渡って、組織と開発者との間に、目的意識と信頼感が、共有化出来たことが一番」とのことであった。

筆者の経験から言って、開発が計画通りに進まない場合、5年も10年も継続することは、大変難しいのが実感である。
継続のためには、組織のしっかりしたビジョン・目標、意志、覚悟が必要だと言われる。それはそうだが、開発者が継続したくても、”費用対効果、他テーマとの比較、グループ内の意欲維持などの諸問題”が出てきて、難しくなる場合が多い。
C社は、それを乗越えて実用化し、世界の中でトップクラスの事業に成長させたのである。
その基になったものは、技術開発力とか、ビジョン等ということを超える何かがあったのではないか・・・それは、「組織の文化」というものでは無いのかと思うようになったのは、大分後のことであった。
このことは、新商品開発だけでなく、新規事業開発にも、共通することであろう。