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数字を追うな、良い仕事を狙え 【遠藤弘之】
遠藤 弘之
この期末を迎えた頃になると、“この1年間”の自分等の仕事の結果はどうだったのかということが気になりだし始める。
今考えると、人事評価は、バブル崩壊前は、能力評価システムが主流であった。が、バブル崩壊後は、結果・成果(数字)を追い求める傾向が強く、所謂 成果主義システムに走っていた。
従って、人事評価では、業績評価部分が多くを占める傾向になり、期初に描いた目標に対し、その業績結果(成果)が得られず、何を評価をするのかという思いが、心に沸いてきていたことがあった。
とにかく当時、目標達成度を評価する上で、目標内容に数字を入れて、見定めようとする傾向が強かった。一般的には、営業関係では売上額、販売量などが、製造関係では歩留(収率、製造量)や合理化(人員削減、工程見直しなど)などの数字が。それらを期初の目標として、上司と自分との間で決めて目標としたりしていた。ところが自分がいた研究開発関係は目標も数字にし難く、毎回頭を悩ませていた。
が、商品化や完成度が易しい開発目標は、競争力も低く、販売に結びついたとしても、組織全体への影響も低く、評価点は良いが、これで良いのかと思いながらの評価となる時もあった。
以前にもブログに書いたが、20年間も同じテーマを取り上げ続け、グローバルな事業に育て上げるには、そこまでのプロセス(進め方)に焦点を当てて評価(所謂、情意評価等)しないと良い結果に結び付けられなかったのではないのかということを書いたことがあった。
昨今は、業種や業務により、業績評価の割合は異なるだろうが、大事なことは、組織全体の目標に取って意味のある良い仕事(業務)をやり続けさせることにあると思う。
特に、最近の変化が激しく不確定な時代では、地味ではあるが、“良い仕事“を意識していくことが大切であろう。どの業種や分野でも同じではないのかと思う。
鉄は熱いうちに打て 【長屋勝彦】
長屋 勝彦
アンドリューカーネギーの「逆境と挫折からの利益」の講話をテープで聞いた。その内容は、「失敗を知るから成功を知る。トラブルは喜んで受け入れよう。逆境はチャンスを呼び込む女神である。」というものである。
聞き終わった後、「挫折を味わったことがあるか。失敗したことがあるか。」という質問をし、受講者全員で話しあった。失敗については、「不良品を作ったり、納期遅れを起こしたりすることなど仕事の上での失敗はしょっちゅう起こしているが、気にしても仕方がない。気分転換が大切であり失敗したことは忘れようとしている。」、「失敗により滅入ってしまうことの方が怖い。」、挫折については、「挫折は味わいたくない。」、「立ち直るのが大変である。」という意見が多かった。
ちなみに広辞苑では、「失敗とはやってみたがうまくいかないことであり、挫折とは計画や事業などが中途でくじけ折れることである。」とある。大半の受講者は「挫折は失敗より受けるダメージが大きいので味わいたくない。」ということらしい。えてして、何事もそつなくこなそうとする者が多く果敢に困難な仕事に挑戦しようとする者は少ないのが当企業の社風である。これでは、ミクロンオーダーの精度を要求される機械加工の仕事はできない。失敗を重ね挫折を味わいながら挑戦しワンランクアップの技能に挑戦するチャレンジ精神が必要である。このようなチャレンジ精神は平穏を求める者、仕事に慣れきった者いわゆるサラリーマンには馴染まないし、このような者で構成される企業は創造的なものつくり企業への道は遠い。
その意味で、チャレンジ精神が旺盛で、仕事に興味を持ってくれる人が多い企業は将来性がある。今年も経営は苦しいが社長の英断により中小企業ではあるが数名の新入社員(高校卒業)を採用した。入社数年間は一人前の技能者として使えないが、技能を教えながら(小職の役割ではないが)、仕事の楽しさと達成感を経験してもらうとともに、精神的なタフさをどのようにして身につけさせるかが課せられた課題である。一緒に座禅にでも行うかと思う今日この頃である。
当事者意識 【岩本 亨】
岩本 亨
警視庁の調査によると、首都圏で大地震が起こった時に「必ず帰宅する」と回答した人は、45%に上った。理由の一番は、「家族が心配だから」。働き盛りの父親が多いのか、「家族は自分が守る」という当事者意識を強く持っている様子が窺える結果だと感じた。
私は「岩本組」という、中小企業診断士の研究会の「組長」としても、5年近く活動している。現在は50人ほどの「組員」がいる。2ヶ月に一度の定例会と、個別にチームを組んでの中小企業支援活動が主な活動である。参加している「組員」の相互啓発と自己研鑽を目的とした、個々人の自主性をベースとした研究会である。最近、活発に活動する組員と、そうでない組員が明確に分かれてきた。定例会に参加する顔触れも固定化傾向である。今月17日に予定している定例会への参加予定者も10名ほどしかいない。この状況に対して、つい最近「自主性がベースの組活動なので、当事者意識を持ってほしいと」メッセージを送ったばかりである。
私自身がコンサルタントとして、経営が厳しくなった企業の相談に乗ることも多い。経営者と話していると、二つに分類できることがわかる。危機感を前面に表して「何とかしたい」と必死な人と、「本当に厳しさがわかっているのか?」とこちらが心配になるような人とである。従業員も危機感を持っている人と、そうでない人がはっきりしている。
先日面白い話を聞いた。とあるショッピングセンターにある時計屋さん。愛想の良い店員Aさんが、時計を買った時や、修理をお願いした時など、値引きしてくれたり、おまけをくれたり、何かとサービスしてくれていた。それを気に入って利用していた人も多かったようだ。ところがそのお店は閉店した。2ヶ月後、Aさんが経営者としてお店を新規開店した。お店の雰囲気はほとんど前と変わらず、Aさんの愛想も良かった。ただ、サービスに対しては、非常にシビアになった。少しでも利益確保しようという一生懸命さが伝わってくる。一店員の頃とは全く変わった。自分で経営するのとそうでないのとの違い。まさに当事者意識の差であろう。
当事者意識の希薄な人に、それを持ってもらうこと。組織の中では、リーダーの永遠の悩みであろう。実際に個人がその環境に置かれれば、持たざるを得なくなる。ではいかにしてそれを実現するか・・・? 私自身、独立して初めてすべてが自己責任の状態になったことに気づき、当事者意識を強くした経験がある。当事者意識を持って主体的に行動する方が、充実した人生を送れると、個人的には思っている。
新規開拓営業のコツ その5~クロージング~【産業 学】
産業 学
6回シリーズでお届けする“新規開拓営業のコツ”。第5回目は『クロージング』についてご説明いたします。
その1.事前準備
その2.アポイントの取り方
その3.初回精査
その4.2回目以降の訪問
その5.クロージング
その6.アフターフォロー
初回精査から、数回の面談を経て、顧客のニーズが十分に把握できたら、案件の締結に向けて話の舵を切るわけです。これがクロージングです。クロージングにおける小手先のテクニックは幾つかありますが、それよりも押さえておきたい大きなポイントが4つあります。
それは、
1.顧客便益
2.成功事例
3.比較優位
4.商品機能
の4つです。これら4つの要素は、クロージングに至るまでに顧客にしっかりとご認識いただく必要があります。
1.顧客便益
顧客が自社の商品・サービスを利用することで得られる便益を指します。ベネフィットとかメリットという言葉の方が耳馴染みが良いかもしれません。営業マンが自社の商品を売り込もうとすると、とかく商品の機能説明に走りがちです。しかし、これはあまり意味がありません。当該商品に興味のない状態で、いくら機能の説明をされようと、うるさく思われるだけですし、逆に興味があれば、自身でインターネット等から情報を仕入れたり、積極的に質問したりするでしょう。
営業マンがもっとも顧客に伝えなければならないのは、顧客便益です。自社の商品を利用することで、どんな便益が得られるのか、可能な限り具体的に提示しましょう。
・顧客が抱えている問題点を解消する
・導入による費用対効果が大きい
・顧客の将来的な夢を語る
の3点が分かり易い例ですね。自社の商品を導入することにより、顧客の問題点が解消でき、問題が解決されるのであれば、あるいはその可能性が大いに期待できるのであれば、顧客は商品の導入を真剣に検討することになるでしょう。また、現状にそれほどの不満を感じていない場合でも、導入後に費用対効果が明確に得られるような提案であれば、やはり導入に際して前向きに検討することになります。顧客の夢を語るというのは、“御社(あなた)の将来像を共に考えます”というようなもので、将来的な便益を伝えるのみならず、相手に親近感を与え、売り手と買い手との間のコンフリクトを取り払ってしまうという効果が期待できます。ただし、言い回しによっては非常に胡散臭くなってしまうので要注意です。
2.成功事例
いくら便益を示したところで、人間というのは疑り深いものです。或いは、会社組織では、担当者の一存で決められる事項は決して多くなく、上司・上層部の承認を得なければ、ことが進まないということも多々あります。特に、他者に説明を要する場合、“○○で導入していて成果が出ているから”とか“○○では○%の費用削減に成功した”等の成功事例は、非常に分かり易い説得材料です。事例を説明するときには、極力具体的に、数字を使って説明すると効果的です。
『○○社で○%の売上アップ』『○○社で○%のコスト削減』等ですね。
3.比較優位
顧客は、当該商品に興味を示すと、類似の他社商品の調査も合わせて開始します。“導入メリットは分かった。確かに成功事例もある。だが本当にこの会社の商品で良いのか?他社でもっと良いモノがあるのではないか?”といった具合に、競合商品との比較検討をするのです。
ですので、先手を打って競合との比較優位をこちらから伝えてしまうのです。このときに大切なのが、“主観的になりすぎないこと”です。そりゃ自社の商品ですから他社より優れていると言いたい気持ちは分かるのですが、オーバートークは厳禁です。かえって顧客の信頼を失います。『△△の点では劣っているが、御社の必要とされている○○に関しては当社の方が優れています』と正直に伝えることで、“この営業マンは嘘をつかない。信頼できる”という印象を与えることができます。顧客が何を必要としていて、何をそれほど重要視していないかは、ヒアリング段階で精査しておくべき事項です。
4.商品機能
繰り返しになりますが、営業マンは自社の商品・サービスを説明したがります。しかし、これはあまり効果がありません。機能の説明というのは、あくまで確認です。上記の3つに関して十分理解が得らた状態で、それを証明するための材料として機能の説明をするのです。終始商品説明だけするような営業トークは避けた方が賢明です。
クロージングにおける重要な要素として、4つをご説明いたしました。“あれ?価格は伝えないの?”と思われるかもしれません。当然価格も説明します。費用対効果の説明では購入価格が分からなければ、話が伝わりません。しかし、クロージングの要素として重要かと言えば、必ずしもそうではありません。価格を伝えるのは最後で良いのです。数字と言うのはとてもインパクトがあります。事例や他社比較等は極力数字を使って説明した方が良いですが、最初から価格を伝えてしまうと、価格の印象のみが強烈に残り、全て価格を基準に判断されてしまいます。自社で扱っている商品・サービスに圧倒的な価格優位性があるのであれば、それもまた良いでしょう。しかしながら、価格による優位性というのは、最も脆いです。当社を凌ぐ資本力を持つ他社が参入してきた時点で、直ぐに崩壊してしまいます。また、単なる価格競争を続けていくと、結果同業同士で足の引っ張り合いをするだけで、業界全体が疲弊してしまいます。長い目で見ても得策とは言えません。
“安く売ることが顧客にとって一番良い”というとんでもない勘違いをしている営業マンが残念ながら結構いますが、価格の安い・高いは顧客の価値基準により異なるもので、絶対的な額ではありません。定価で買っても安いと思う人もいれば、半値でも高いと思う人もいるのです。
営業の基本は、顧客のニーズを十分に把握し、顧客が真に望むものを適正価格で提供することです。
次回はシリーズ最終回『アフターフォロー』です。
その4.2回目以降の訪問 << その5.クロージング >> その6.アフターフォロー
思考停止 【遠藤弘之】
遠藤 弘之
昨年の大震災から原発事故の一連の流れと国、自治体と電力会社などの組織体での対応策をリスクマネジメント(RM)の視点でみると色々考えされられた人は少なくないだろう。M9の地震、高15m以上の津波、全外部電源を失った原発事故、全村避難などの事態を”想定外”であったという言葉で議論されることが少なくないことはどうしてだろうか。
それぞれの立場での「リスク」への幅広い「想像力の欠如」、言い換えれば「思考停止」のようなことが行われていたことが、問題を大きくした原因にあるのではないのだろうか。
民間企業に勤めた経験から、まず企業として”想定外”という言葉は許されず、そうなった時には、その事業は生き残ることも出来ず、場合によっては企業自体が潰れてしまうことにもなる。前述した組織には、それぞれ立派な「リスクマネジメント」という考え方があっただろうが、実際には対応出来なかったのだろう。
が、やはり根本問題は、国(国民)全体の意識・覚悟・認識に一番の問題であったように思える。 例えば、安全神話、自分とは無関係、発生頻度は極めて低い、起こりそうもない事、何でも上部組織などへの依頼心、余計な事に金・時間を掛けないことがより効率的である・・・・など思うようになってきていたように思える。
このような状態を”思考停止”状態(想像力の欠如など)と言うのではないのだろうか?
昨今の日本が、そういう”ムード、空気など“に覆われる傾向にあったことが、今回のような大きな災害・事故を引き起こしてしまったように思えてならない。皆さんは、如何思われるだろうか。