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決断に臨んで~無常と持続可能性~ 【長屋勝彦】

2012/06/11
長屋 勝彦

以前在籍した会社のSさん(元専務)と物事を決めるに当っての心構えについて論議した。酒が入ったせいか饒舌になり、「森羅万象世の中は無常であり、決断にあたっては無私の心で臨まなければならない」、「無情な態度は良くない」。自分としては言葉遊びのつもりではないが、常と心と情をかけたつもりで話した。「無常か」とSさんは言いそれ以降しばらく沈黙状態となった。

 

帰宅後、気になり無常について辞書を引いた。辞書には、「万物が消滅・変化して定めがないこと、人の世は変わりやすくはかないこと」とあった。平価物語は、「祇園精舎の鐘、諸業無常の響きあり」の書き出しで始まる。又、謡曲敦盛には「人間50年、下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり」のくだりがある。要するに、人の世は変わりやすく限りあるものであるということである。

 

一方、企業活動はゴーイングコンサーンであり、サステナビリティ(持続可能性)が前提条件である。サステナビリティを維持するには無常な環境に対し的確に対応することにあり、そのためには無私の心で臨む必要がある。

 

このようなことを考えテレビのスイッチを入れた。大河ドラマ、「平清盛」で、吉野山の西行庵から戻り、熊野神社の造営にあたっている平清盛と西行の会話が映った。「そうだ、吉野に行こう」、昨年から吉野山に花見に行くを話していた中小企業診断士で京都に住むHさんに連絡し4月下旬の土日に京都に一泊し吉野山の西行庵を訪れた。西行庵の奥千本は桜が咲き始めの状態であったが、西行庵に向かう奥千本の道を歩いていると悠久の時空に在るように思えた。「次は熊野詣でに行こう」とHさんと話し合った。

吉水神社

カテゴリー:  経営情報, 長屋勝彦

営業活動の中で 【岩本 亨】

2012/06/04
岩本 亨

今年4月20日に、内閣府、金融庁、中小企業庁の三省庁合同で、今年度末の中小企業金融円滑化法(以後、「円滑化法」と表記)の期限切れをにらんで、ソフトランディングのための対策として「政策パッケージ」が発表された。その中に「今年度中に3,000社を目標に、再生計画を策定する」という方針が盛り込まれている。

「円滑化法」では、企業から金融機関に対して、借入金の原本返済のリスケ(リスケジュール:返済猶予)の依頼があった場合、基本的に受け入れるように要請している。ただし、その企業が1年以内に経営改善計画を策定し、経営改善に取り組むことが条件である。実情は惨憺たるもので、きちんとした経営改善計画を策定して取り組んでいるのは20%前後と推定されている。

金融庁は金融機関の監督指針として「コンサルティング機能の強化」を打ち出しており、支援する企業とそうでない企業を区別するように指導している。つまり経営改善に向け計画をきちんと立て、真摯に取り組んでいる先は支援継続。そうでない先は、廃業も視野に今後を検討するようにということである。

それではリスケ企業が、経営計画を策定せず、策定したとしてもきちんと取り組まずに、今年度末を迎えるとどうなるか? 現状で最悪の予測をすると、金融機関が支援を打ち切る可能性が高いと考えられる。極論だが、金融機関から、「リスケの要請には、これ以上応じられません。約束通り返済(約定返済)できないなら、今すぐに全額返してください」と迫られる可能性があるということである。

前置きが長くなった。このような状況のもと、5月下旬から、複数の商工団体を訪問し、弊社のセミナーのご案内をした際、余談として、「円滑化法期限切れの出口対策について、情報発信した方が良いのではないか?」と提案してみた。各団体、様々な対応であったが、反応の多くは以下の通り。

 

① 会員企業が現実を知らない(知ろうとしない)状況だと思われる。

② それに対して状況をきちんと報告し、警告を発信しないのは、会員に対する背信行為ととられかねない。

③ 会員企業で対象になる可能性があるところについては、適切な対応をとって欲しい。そのために緊急セミナ

ーを企画して、啓発したい。

④ それでも聞いてくれないかもしれないが、企画側にとっては、緊急セミナーを開催して、きちんと対応した

事実を作っておけば、年度明けに、該当企業から責められても、きちんと説明ができる。

 

ホンネも見えてなかなか興味深いのだが、角度を変えて観ると、まさに「営業チャンス」であることに気付くことができる。ポイントは以下のようにまとめられる。

 

① 法改正という、大きな外部環境変化があった。

② それに対して、何らかの手を打たなければならないと、問題意識が生まれる。

③ 会員のことを思い、緊急セミナーのニーズが発生する。

④ その際、ある意味リスクヘッジ的な思考もある。

(②~④は内部環境の変化である。)

 

優秀な営業担当者は、まず①の情報をいち早くキャッチし、それに対してどのような対応がとられているのか観察(②・③)し、付随的な感情も見極めた動きをすると思われる。

すなわち、以下のようにである。

① 各商工団体に対して、「法改正で円滑化法の期限が切られたが、どのような対応をされていますか?」と

ヒアリングして回る。

② ヒアリングしつつ、「円滑化法期限切れに対応した対策」についてのセミナー企画を提案する。

③ 角度を変えて、それを開催することによって、リスクヘッジにもなることを説明する。

この例からもイメージしていただけると思うが、営業担当は外部環境の変化の情報収集が求められる。次にその変化による、ターゲットの内部環境変化を見極めることが求められる。それをもとにした提案をする際、相手のためになることは何か考え提案することが重要である。相手の立場に立って、何を提供してあげれば、喜ばれるかをとことん考えることが大切である。

日常の営業活動の中で気づいたことを上げてみた。少しでも参考にしていただければ幸いである。

新規開拓営業に役立つコミュニケーションスキル その2~挨拶と名刺交換~【産業 学】

2012/05/28
産業 学 

新規開拓営業に役立つコミュニケーションスキルについて4回シリーズでお伝えしております。

 

その1.まずは見た目から
その2.挨拶と名刺交換
その3.聞き方
その4.話し方

 

第2回目は「挨拶と名刺交換」です。第一印象というのは、とても大切ですね。一度“この人は○○な人だ”と思われたら、良くも悪くもそのイメージは付いて回ります。勿論、商談の中身が伴わなければ意味はないですが、良い印象を与えておくにこしたことはありません。

 

前回は“見た目”ということで、身だしなみについてお伝えいたしました。今回は最初の挨拶・名刺交換の場面をイメージしています。

 

初めて会う方に、みなさんはどのような挨拶をされていますか?
「こんにちは」「失礼します」
第一声は爽やかに発しましょう。元気よくハッキリと発音することが大切ですが、大声を出し過ぎると、かえって迷惑になります。時々、ただ元気が良いだけの人を見かけますが、これが通用するのは20代前半までですので、気を付けましょう。営業の上級者になると、相手の雰囲気に合わせて声色や表情を変えて対応することができる人もいます。しかし、これには高度な技術を要します。
不慣れな方は、とりあえず“清潔感”を意識するとハズレがありません。
○:清潔な人=しっかりした人=信頼できる人
×:不潔な人=だらしない人=信用できない人
人間というのは、見た目の雰囲気に加え、話し方や声色によっても相手の人物像を判断しようとします。

 

では、“清潔感”はどのように表現したら良いのでしょうか。
・言葉づかいが正しく、明瞭であること
・礼儀正しく、明朗であること
・機敏な所作
個人差はあるかもしれませんが、これらを意識していれば、概ね“清潔感”が醸成されることでしょう。

 

第一声で爽やかな風を送ることができたら、続いて名刺交換です。
名刺交換は、意外に正しくできていない人が多いですね。
まずは基本編です。
・自分の名刺を渡すときは片手で「○○と申します」
・相手の名刺を受取るときは両手で「頂戴いたします」
“自己紹介は己から”が基本ですので、自分の名刺を先に差し出すのが基本ですが、当然相手も同様の教育を受けています。ですので大抵は“同時に交換”することになります。ここで気を付けたいのが名刺の高さです。相手の名刺よりも少しだけ低く差し出すのが礼儀とされています。
しかし、ここでも同様に先方が自分より低く名刺を出してくることがあります。営業職同士の名刺交換では、時折“名刺の低くし合い”が繰り広げられることもあります。そんな時は「高い位置から失礼します」と先に渡してしまうか、「お先に失礼します」と“同時交換”ではなく、先方の名刺を先に受取り、後から自分の名刺を差し出すことで、“高低差”を解消するという方法があります。

 

名刺交換の後、実はここからが大事です。
名刺というものは、その人の分身です。粗略に扱ってはなりません。名刺を頂戴したら、相手の名刺は自分の名刺入れの上に載せた状態で両手で持ちます。このとき名刺の高さは腰から上、できれば胸元(心臓)の高さで持つようにしましょう。これは“とても貴重なものを頂戴した”という気持ちを全身で表わしています。
着席後は、そのまま名刺入れの上に載せた状態で左前に置きます。何故左前なのか?というのは諸説ありますが、一般的には右利きの人が多く、メモ書きをする際に「相手の名前を直ぐに確認できるように」或いは「手を動かした拍子に相手の名刺を弾いたりしないように」などと言われています。何れにしても“先方に失礼の無いように”ということを意識しての行動ですので、資料を使っての説明等の際はで名刺が埋もれないように、そっと横に避けたり位置を変えるのがマナーです。

 

また、相手の名刺に日付や場所、特徴等を書き込んでしまう人が居ますが、あまり感心できません。名刺はその人の分身です。相手の顔に直接落書きをするようなものですので、控えた方が賢明ですね。
顧客情報の管理に関しては、別の機会にお伝えしたいと思いますが、名刺記載の情報に加え、顧客訪問履歴等は顧客管理台帳を整備して記録することをお勧めします。

 

今回お伝えした内容は、何れも基本的なことばかりですが、意外にできていない方が多いです。その分、きちんと対応される方は相手に良い印象を残すことができます。何事も基本が大事ということですね。

 

次回は、聞き方についてお伝えいたします。

 

その1.まずは見た目から << その2.挨拶と名刺交換

カテゴリー:  営業力, 営業活動, 新規開拓, 産業学

後継者育成~ほめて育てるか鍛えて育てるか 【長屋勝彦】

2012/05/14
長屋 勝彦

 

「やって見せて、言って聞かせて、させて見せ、褒めてやらねば部下は動かじ」山本五十六元帥の言葉である。人は褒められることにより認められたという気持ちになりやる気が出て成長するということであり、管理者研修などでこの言葉を引用する。

 

一方、「谷底から這い上がってきた獅子を育てる」という言葉がある。獅子は生まれてきた子獅子を谷底に落としそこから這い上がってきたものだけを育てるという意味で、甘やかさないで試練を課し育てるということである。

 

どちらの育て方が良いかは一概に言えない。

 

厳しい課題を課し、達成できないと「駄目だ、駄目だ」というやり方では、滅入ってしまい、やる気がなくなり、自信喪失につながる。植物に対しても温かい言葉をかけ育てれば花を咲かせ、身を実らせるが、きつい言葉をかければ成長が止まってしまうということを聞く。

 

会社等の組織の階層が上がるにつれて、褒める、手とり足とりによる指導のみではトップマネジメント層にふさわしい器に育つとは言い難い。厳しい命題、課題を与え、その命題、課題を達成させるための方法を自ら考え、実行させるよう仕向けることが必要である。会社のトップがその地位に着くまで、先人から厳しい試練を受け血のにじむような努力をし、自分自身の経営手法を体得したことを、「私の履歴書等」で読む。

 

事業承継には、公平無私の立場で、会社の存在意義、経営者としてのあるべき姿を自覚させることから

始めていきたい。そして自分自身も原点に還った経営を目指していきたい。

故郷への思い 【岩本 亨】

2012/05/07
岩本 亨

一昨年故郷である島根県から間接的ではあるが、「島根若手研修」という研修を受託した。2泊3日の研修を私も2コース担当させてもらった。そのうちの1コースは実家から車で30分もかからない「青年の家」での開催だった。3日間、実家から母に見送られて研修会場に通った。高校を卒業して名古屋の大学に入学し、そのまま就職。学生時代も含めて名古屋で10年、転勤で東京に住むようになって早22年目である。考えてみると実家からどこかに通うのは、30年以上ぶりのことであった。

受講されている方々とお話ししてみると、共通の知り合いがいたりして本当に楽しかった。その時、しみじみ思ったことは、故郷に少しでも貢献できるということが幸せであるということ。私を育ててくれた故郷に対して、何も貢献していなかったことに、改めて気が付いた。

42歳の時、中小企業診断士の資格を取って、会社を辞め独立開業した。当時は生きていくための最低限のお金を稼ぐことに必死になった。必死になってもがきながら仕事に打ち込んでいると、不思議なもので何とか食べることができるようになった。マズローの欲求5段階説ではないが、最低限の生活にメドが立てばだんだん欲が出てくる。45歳になっていた私は、「微力ながら社会貢献がしたい」と思い始めた。何のために働くのか?を考えたとき、そんなことが心に浮かんだ。それとともに「故郷で仕事をして、役に立ちたい」との思いを持ち始めた。事業再生の仕事をし始めていた私は、今でも深く関わっている「企業再生・承継コンサルタント協同組合(CRC)」の代表理事にお願いして山陰の金融機関への営業を担当させてもらった。それから4年。現在は当地方の5つの企業を支援中である。

故郷の企業の支援ができていることに感謝しつつ感じるのは、年々故郷に貢献したいという思いが大きくなっていること。故郷から受けた恩に比べれば微々たるものに過ぎないだろうが、今後も何等か貢献していきたいと思っている。

カテゴリー:  岩本亨, 研修, 講師