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資格のミッション、仕事のミッション 【岩本 亨】

2013/04/01
岩本 亨

みなさんは中小企業診断士という資格をご存知ですか? 私自身も中小企業診断士ですが、資格の知名度が低いためか、「何それ?」という反応をされることも良くあります。コンサルタントの国家資格です。

昨年の試験合格者の、多くは今年の3月中に登録し、4月から活動を始めています。私の所属する中小企業診断士の研究会「中小企業政策研究会」にも新入会員がたくさんが入ってきてくれました。

 

そんな彼らに対して、毎年私は以下のようなメッセージを送っています。

「中小企業診断士に期待されているのは、中小企業を支援することによってその会社を発展させ、ひいては日本経済の発展に貢献することです。皆さんは資格のミッションを良く認識して、自らの行動を考えてください。あなたが合格したために不合格になった方がいます。合格したあなたがミッション(使命)を果たさないのであれば、それは一種の背任行為だと私は思います。合格した人には合格した責任があります。その責任を意識して活動してください」と。もともとは資格の学校の創業社長である、TAC株式会社CEOの斎藤博明氏のメッセージを参考にしたものです。

 

4月から新しい生活を始めた方も多いと思います。就職された方、異動で今までと違う仕事を担当することになった方・・・。それぞれの方々が期待に胸を膨らませて新生活を送っていらっしゃるでしょう。一方で、意に反した境遇に意気消沈されている方もいらっしゃるかもしれません。

その仕事のミッションは何ですか? あなたがその仕事を獲得する過程で、意図的ではないにしても、結果的に他の人の機会を奪っていませんか? 「実力で獲得したことだから、いいじゃないか?」という考え方もありますが、上述のような考え方をしてみると、仕事そのもののとらえ方が変わってくると思います。

 

どのような仕事であっても、期待されていることがあるはずです。裏返せばその仕事を担当する人のミッションとも言えます。仕事をする際に、それを意識できるかどうかで、成果も違ってくるでしょう。仕事上で迷うことがあっても、それに立ち返れば答えが見えてくることがあります。

私は独立して仕事をしていますので、それぞれの仕事のミッションについては、常に意識するよう努力しています。大学を卒業して独立するまでの19年間は、サラリーマンをしていました。その時は、自分がその会社に就職できたために不合格になった人がいることを意識した記憶がありません。また担当業務のミッションを深く考えた記憶も、残念ながらありません。どちらかというと受け身で仕事をしていたのだと思います。

そんな私が言うのもおかしなことかもしれませんが、「せっかくその会社に入ったのなら」、「せっかくその仕事の担当になったのなら」と、ミッションを意識しながら、積極的に行動してみてください。そうすれば、仕事そのものを自分がマネジメントできるようになります。受け身ではなく、主体的に仕事をすることで、そこから得るものも大きく変わってくると思います。

新年度を迎えて、改めて発信してみました。人に発信すると、自分に跳ね返ってきます。私も意を新たにして努力していきたいと思います。

絆の喪失~後輩の死去に際して~ 【長屋勝彦】

2013/03/11
長屋 勝彦

出張先から大学時代の先輩のNさんから後輩S君の死去の報を聞いた。

後輩とは部活として能楽部で宝生流の謡曲に明け暮れていた時の、2年下の後輩である。学部は、小生は商学部であるが、S君は文理学部で数学を専攻していた。授業が終わると部室に飛び込み、軽く唸り、グランドでソフトボールをしていた。能楽クラブで過ごしたのは、謡曲が好きだということより、部室が畳の部屋であり、隣の部屋が囲碁クラブ、部室の近くにグランドがあるということもあり、気軽に寛げるからであった。

 

卒業後も、S君は小生の就職した会社の工場(当時工場勤務)を訪ねてきてくれたり、小生が本社(東京)転勤後も時々会い、仕事について議論をする間柄である。又、本社転勤後しばらくの間S君の紹介で大学の数学の教授のゼミに確率論(待ち行列)の授業を受けたこともある。Nさん、S君は議論好きで、いい意味で理論家であり、それでいてさっぱりしたところがあり、妙に気があった。違うところは、NさんとS君は謡が好きであり、卒業後、謡の免許皆伝に相当する職分の資格を習得し、現在に至るまで謡を続けているが、入社後しばらくは続けていたが、それ以後は途絶えている。

 

小生は仕事の関係上通夜のみに参列させていただいたが、S君は会社を退職後も、ボランティア活動として世田谷区役所の仕事に係っていたこともあり、謡曲関係の方、ボランティア関係の方が大勢参列された。印象に残ったのは通夜の最後に謡曲クラブの方全員でS君の霊前で謡曲を謡ったことである。又、気丈な態度でふるまっておられたご令室様、ご母堂様のお姿も印象に残った。

 

アンドリューカーネギーの創造性開発に関する話で、創造性を阻害する要因として、貧困の恐怖、友情を含め愛情喪失の恐怖、死の恐怖があるが、死の恐怖に対し、死については自分がしばらく眠るときと考えるか、どこかの世界へ行くと考えると、気が楽になるということを聞いた。要するに死については避けて通れないことであり、深く考えそれ以上悩まないということの様である。

 

自分の死生観は、現に生きて自分のミッションを果たしつくすことであると考えている。通夜の席ではNさんを始め大学の先輩と世間話をした。この年になってもやはり先輩と話をしていると色々なアドバイスがもらえ、頼りになると感じた。このようなめぐり合いを作ってくれたS君に感謝し帰途に着いた。

以上

自業自得で考えてみると・・・ 【岩本 亨】

2013/03/04
岩本 亨

昨年6月4日のブログにも記述したが、金融円滑化法が今年度末をもって期限切れを迎える。昨年11月1日に金融担当大臣が「法律の期限が切れても、考え方は踏襲する」という談話を発表した。最初は何を言っているのかよくわからなかったが、いろいろと情報収集をしたところ、以下のような解釈のようである。 「リスケ(返済猶予)していても、経営改善計画を立てて支援金融機関の同意も得た上で、きちんと経営活動をし、最低限80%以上の達成状況であれば、支援をし続ける。債務者区分も正常債権のまま据え置く。」

この債務者区分だが、金融機関は貸し出している先の企業のランク付けをしている。監督官庁である金融庁の指導もあるため、きちんと対応している。正常債権であれば、その企業に金融機関は新規融資できるが、不良債権になってしまえば、その企業には新規融資できなくなる。

金融機関は毎年一度、各貸出先企業の自己査定を行い、債務者区分の見直しをする。経営状況が芳しくない状態が続き、経営改善計画の達成もままならない企業については、債務者区分が引き下げられることになる。そうなると、金融機関の態度は「支援」から「回収」へと変わる。

「金融機関の態度が手の平を返したように、急変した」という話をよく聞く。マスコミはそれを称して「貸し剥がし、貸し渋り」と言っている。私が聞く限りほとんどのケースで、金融機関はルールに則って対応している。経営状況が悪くなってしまったので、仕方がない対応なのである。

どうすれば良いか・・・?。経営状態を良くする以外にはない。しっかりした計画を立て、金融機関の合意を取り付け、確実に達成していくのである。

「景気が悪いから」、「政治が悪いから」・・・といろいろな言い訳をする経営者がいるが、話を聞いてみると、ほとんどのケースで経営の基本的なことがきちんとできていない。「やるべきことをやらずして、外部環境のせいにしていたって、会社経営はうまくいかないでしょ・・・?」

良い結果でも悪い結果でも、結果には必ず原因がある。その原因を自分以外に求めている限り会社の成長は難しい。このことは、個人についても言える。

仕事上で何等か悪い結果を招いてしまった時、みなさんはどのように考えますか?  自業自得の観点で、振り返ってみると、気が付かなかったことが見えてくるかもしれません。私自身の自戒を込めて・・・。

会社は誰のためのもの~フリーキャッシュの使い道~ 【長屋勝彦】

2013/02/11
長屋 勝彦

来月は決算期の月である。会社の通信簿として所得申告のため貸借対照表、損益計算書及び上場企業ではキャッシュ・フロー計算書を作成し開示する。この中で、キャッシュ・フロー計算書が面白い。キャッシュ・フロー計算書を見ていると企業それぞれの資金の集め方、使い方というか、経営の仕方がわかる。

 

フリーキャッ・フロー(営業キャッシュ・フロー+投資キャッシュ・フロー)がある企業がそのキャッシュ・フローを新規事業投資に回している会社、リスクに備えて保険を掛けている会社、借入金の返済に充てている会社、借入金を完済し新規投資もしないで現金預金を増やしている会社などさまざまである。

 

中小企業でフリーキャッシュのある会社は保険に入り節税を図っている会社が多い。

保険には、経営者を対象とする経営者保険、従業員の退職金を対象とする養老保険、退職金保険、労働災害保険、会社の固定資産を対象とする火災、地震保険等がある。

 

保険に入ることは将来に対するリスク管理であり、そのこと自体を否定するものではないが、フリーキャッシュの内、どの程度を保険に回すかが問題である。保険に入る前に借入金の返済による財務体質の強化、新規投資等による事業拡大を検討する必要がある。

 

又、掛け金の全額が損金扱いになるが、会社倒産等の場合でも退職金は直接従業員に支払われるということで共済事業(中小企業退職金共済事業)に加入しない企業もある。反対にその場合(倒産等)に多少の金額でも従業員が手にすることができれば、従業員にかける迷惑が少なくなると考え、少額を中退協に月々掛けている企業もある。

 

会社は誰のためにあるのかといった場合、欧米では株主のためといわれているが、会社は顧客あって成り立つものであり、その顧客対し製品を作っているものは従業員であり、それを支えているものは地域社会であるといったことを考えるとき、中小企業も将来の成長のため新規投資により顧客満足を図っていくとともに福利厚生の増進により従業員満足を図っていくことが生存の条件であると思う。

「せっかく」を付けて話をしてみよう 【岩本 亨】

2013/02/04
岩本 亨

オリンピックに二回出場し、銅メダルと銀メダルを獲得したマラソンランナーの有森裕子さん。彼女とは直接面識はないが、株式会社リクルートに同時期に在籍していた。彼女の直属の上司だったY君と同じ職場で働いていたことがある。彼が私に教えてくれたこと。「有森と話していて、すごいなぁって思ったのは、彼女は『どうせ』って言葉を使わないんだ。どんな大変なことがあっても『せっかく』を付けて話をする・・・」

例えば、足の調子が悪くなり、本来の練習ができなくなったとき、「せっかく練習できないんだから、普段考えられないことをじっくり考えよう」って感じらしい。

 

昨年、私は50歳の誕生日を迎えた。生涯現役で少しでも社会貢献したい。仕事をし続けたいと考え、独立開業した。最近、「どうせもう、50歳なんだから努力しても無駄じゃないか・・・?」という気持ちが過る(よぎる)ことがある。そんな自分に、自分自身でもびっくりする。20代、30代の感覚で言うと、50歳はもう老年に近いイメージではないだろうか。20年前そう思っていた。いざ自分がそうなると、まだまだ若い気持ちで日々活動しているが、ふとした時に、「どうせ」を付けてしまうのだ。

「どうせ」を付けるとネガティブ思考に、「せっかく」を付けるとポジティブ思考になる。人間諦めたら成長もない。今後20年、30年活躍するために、改めて「せっかく」の大切さを噛み締めている昨今である。