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大曲の花火に思う 【長屋勝彦】
長屋 勝彦
6年ぶりに大曲の花火を現場でみた。大曲には顧問先の秋田工場があり毎月一度は3日間の日程で、当工場の管理者~新入社員の研修に顧問先の社長と出かけている。大曲の花火は、全国の花火師さんが技を競う規模、権威ともに全国最大の競技会で、優勝者には総理大臣杯が授与される。毎年8月の第四土曜日に開催されるが、花火大会当日は大曲市の人口の15倍の60万人から70万人が花火見物に出かける。
顧問先の会社も社長の陣頭指揮により地場の得意先を招待し親睦を図っている。そのようなことで、大会当日、小職も加わって営業部次長のもとに、大会会場に着き、花火を見て、帰途に着くまでの手順について入念な打ち合わせを行った。なにしろ、60万人~70万人の人が会場の雄物川の河原に向かうのであり、大勢の人でごった返す。会場への行き帰りは社長が先頭に立ちEL照明板を持ち迷子にならないよう歩いた。又、会場で招待した得意先の方に渡す、弁当、飲み物等を各自が手分けして、リュックサックに詰め運んだ。花火終了後、宿泊される方には宿の手配をした。又、当日戻られる方には戻りの時刻が深夜12時を過ぎるが、それまで全員居酒屋で接客し、帰途を見送った。大変喜んで帰られたとのことである。
研修では、マナー、仕事の段取りについてアドバイスをするが、今回はいうことは何もなかった。多分、各自が得意先の方に喜んでもらうことを念頭に行動したからであると思う。そのようなことを思っているうちに、3年前の3.11の震災のことが頭に浮かんだ。あの時も、誰からも言われることもなく、震災の翌日自発的に出社し、その翌日電気が通るようになった時には自らの作業現場の機械の点検にあたった。
日常の仕事ではやらされ感が強いのか、危機意識が少ないか今一つ一生懸命さにかけているという感じを抱いている。すべての企業に言えることであるが、現状打破、革新が求められている今日、当社には困難を克服するという気迫が少ないのかという感じを抱いている。
危機意識を植え付け、チャレンジ精神を植え付けることが使命であると改めて思った。
以上
YCSの掟 【岩本 亨】
岩本 亨
今年5月のこのブログにも書いたが、独立を決意した頃、先輩から薦められ、中小企業診断士の勉強会である「YCS(安田コンサルティングセミナー)」に2004年6月から参加した。主宰者の安田平八先生は、一昨年の6月に他界された。最近になって、「YCSのOBの方々の絆を確認する機会を持たないか?」という話が出てきた。それを実現しようという動きに関わっていることもあり、当時を振り返ってみた。
YCSには3つの掟がある。
◎挨拶を心掛けよう。コミュニケーションは挨拶から。
◎相手を褒めよう。良い点を見出すこと。
◎約束を守ろう。納期を守ることは信用構築に繋がる。
以上である。非常にシンプルだが、独立して仕事をするようになって、改めてその大切さを痛感する。
ごくごく当たり前のことだが、できている人は少ないのではなかろうか? 私もまだまだだと感じることが多い。皆さんは如何ですか?
人と人とのつながりの中で、挨拶を意識し始めたのはこの掟がきっかけだったかもしれない。独立前に比べると、断然積極的に挨拶するようになった。お客様にお会いした時の、最初の一言が挨拶。初対面でも第一印象が重要。明るい挨拶は、仕事を円滑にする。体験的にそう感じる。
相手を褒めることは難しい。私は未だに苦手だが、褒められると私も嬉しくなる。モチベーションが上がる。それが分かっているのならそのようにすれば良いのに、なかなかできない。私自身、人前ではあがってしまって、きちんとしゃべれなかった。YCSのカリキュラムにプレゼンテーションをして、お互いに評価しあう講座があった。その際、自分自身では「しどろもどろでうまくできなかった」と感じていたのに、異口同音に、「堂々としていて説得力がある」と褒められた。どうやら「いくら自分がドキドキして話していても、見ている方からはそのように感じられていないようだ」と気付き、以来人前で話すことが苦痛ではなくなった。褒めることの効用を実体験したということである。
約束を守ること。子供の頃からそう教えられている。100%完璧にできてはいない。不可抗力でできないこともあるかもしれないが、生きていく上で、信用を構築しようとした時に、重要なことだ。仕事の納期を守ることは、関係者にストレスを与えないことに直結する。最近私は、いろいろな専門家の方々と仕事をすることが多い。一つの会社の支援を複数の専門家でしていると、納期厳守がどれだけ大切かを思い知らされる。自分が遅れれば、成果物の納期はそれ以上に遅れてしまう。それを挽回しようとすると、関わっている人の多くに、余分な負荷がかかってしまう。納期を守っていればかからなかったであろう負荷がである。そうなると「あなたとは一緒に仕事をしたくない」と言われてしまうのだ。仕事を増やしたい人はこんなことしたら命とりである。恐ろしいことだ・・・。
「YCSの掟」の意味を一つ一つ考えてみる良い機会になった。皆さんも掟に照らして自分の行動を振り返ってみませんか?
補助金あれこれ~補助金を通じた中小企業支援 【長屋勝彦】
長屋 勝彦
8月11日納期のものづくり補助金の申請作業支援で3月から始まった中小企業に関する今年の助成支援事業は終了した。
今年は、サポイン(サポ―ティングインダストリー:ものづくり基盤技術)3件の申請支援を目指してスタートしたが、A社は製造プロセスの自動化というコンセプトは決まっているが社長に当該補助事業に係る時間がなく、B社は新規事業開拓ということでそのコンセプト及びコンセプトに基づいた研究計画の推進策について構想が固まっているが、技術開発責任者の時間的余裕が取れず、申請を見送った。当該2社は顧問という形でかかわっており、痛恨の極みである。3社のうちの残りの1社のC社については顧問先の企業の社長からの紹介であり、面談した感じでは技術力、資金力もあり新規事業に対する関心は高く脈ありと見たが、サポイン事業のフレームが作れず断念した。
代わりに、B社について共同開発中のJ政府系開発機関(B社の得意先)から、文部科学省管轄のJST(科学技術振興機構)の研究成果展開事業の環境問題解決課題領域に関する助成事業の紹介を受け同社と共同(B社サブリーダー)で申請した。極めて多忙なJ機関のXリーダーの下で突貫工事のようなかたち申請作業を行った。Xリーダーの話では、電子申請ということで期限の当日の締め切り時間ぎりぎりに申請したとのことであった。
申請後Xリーダーが受理について問い合わせたところ受理されておらず、Xリーダーが調査した結果、XリーダーとJSTのパソコンネットワークにシステム障害があることが判明した。Xリーダーがその理由をJ機関に説明し受理を要請したが拒否されたとの連絡がった。本件については当事者間で議論しても意味のないことであり、関係者(B社)の方には、やっつけ仕事をしてはならない、余裕を持ち仕事を進める必要があるというようなことを教訓として話した。
そのようなことで、ハイレベルで高額の助成金が期待できる助成事業は全敗に終わった。
しかし、JSTという助成事業を知ることができ、又、当該醸成金申請を機にB社の共同開発先のO社のキーマンと親密になることができ、今後の新事業開発を推進する上では得るところが大きかった。
来年は今年の轍を踏まないように今から準備し万全を期したい。
ものづくり補助金の申請については昨年に続き今年も顧問先の1社が申請した。昨年より、文章の書き方を含め進め方の要領は向上した。
以上
現場重視の研修・セミナーについてのこだわり 【岩本 亨】
岩本 亨
昨日(平成26年8月8日)、米子商工会議所で「担当者の仕事の仕方を変える!リーダーのための日常業務改善研修」の講師を務めた。昨年2月には同会議所で主に経営者を対象にした「事例に学ぶ!!失敗企業と成功企業の分岐点」セミナーの講師を務めている。前者は弊社(合同会社産業経営研究所)として、後者は、私自身が組合員でもあるCRC(企業再建・承継コンサルタント協同組合)山陰推進局として受託したものである。
一見、関連性の薄いテーマと思われるかもしれないが、実は共通点がある。それは、現場の活動をベースに内容を構成していること。現場を理解せずに、理論のみを講義することもできる。しかし、それだと知的好奇心を満たすことはできても、具体的にどのように仕事に活かせば良いのかが分かりにくい。
昨日のようなノウハウ習得を目的とする研修では、ツールの活用を体験することにこだわっている。改善のためのツールを、理論的に説明してもほとんど仕事で使えないのではないだろうか。明日の仕事からすぐに活用するためには、中途半端な状態でも使ってみることが大事だと信じている。それを職場で試してみて、何度も使っていくうちに、活用スキルも上がり、身に付いていくものだと思う。
取り上げる事例は、日常に現場で良く起こること。または身近でイメージしやすいこと。短時間に体験しようとするので、消化不良になってしまう場合もあるかもしれないが、それでも使ってみることが、明日からの活用につながると考えている。
H社についての思い出の一コマ 【長屋勝彦】
長屋 勝彦
今週はスケ―ジュールにゆとりがあり、11月15日講演予定の原稿を書き始めた。タイトルは事例にみる中小企業のものづくり成長戦略である。対象企業は、顧問先3社であるが、そのうちの一つ目の事例としてH社について半日をかけて書いた。
書いくうちに走馬灯のごとくH社とのいきさつが思い出された。とりわけ、三つのことが今でも写真の一コマのように鮮明に記憶の中にある。
今から28年前 K社勤務時にプラスチックレンズのOEM先として資金面でも支援しH社の設立を図った。その後、しばらくしてレンズ事業から離れたため、当社との関係は途絶えたが、その後平成9年、中小企業診断士として独立し現在まで顧問としてかかわっている。
独立当初は暇な時間が多く、当時最難関(競争率10倍)といわれた中小企業ベンチャー振興基金の新製品開発補助金の申請支援にあたった。その時のH社研究者の申請文書が理解しにくかったが、何故・どうして、具体的にはという問答を繰り返し、当補助金対象のレンズ製作の肝はH社が発見した錯体の発見にあるということを明確にした申請書を作成し、採択された。
又、Hの売上の75%をしめる委託先企業の倒産に遭遇し窮地に追い込まれた。その時もいろいろの対応策を考え議論したが、H社レンズの納入先である倒産企業の顧客の商権譲受が最良の方策との結論に達し、倒産企業の顧客と直接取引するための交渉を、倒産企業を通じて行った。交渉の結果、2年という限られた期間であったが顧客と直接取引することができた。又、当取引終了後の生産の急激な落ち込みに対応するため、新製品として開発した偏光レンズが立ち上がるまでの間、雇用調整助成金を活用した全従業員の一時帰休による生産調整を行い、急場をしのいだ。社長からの後日談として一時帰休明けにはすべての従業員が出社したとのことであり、従業員の愛社精神と社長の厳しさのなかの優しさを感じた。
最近では、レンズ業界のチャンピオン企業であり当社のナンバーワン顧客である外資系企業の日本法人N社から事業提携、資本参加の申し入れがあった。N社は外注先企業の系列化を図っている企業である。社長方針として系列に入る選択をせず、イコールパートナーとして日本N社株式の一部取得を前提とした交渉を行った。結果として、交渉は思惑通り不成立に終わったが、当交渉に対しては契約書のチェック、交渉の立会いにあたった。
以上のようなことが頭をよぎったが、当社の、経営理念、経歴、ビジネスモデル、環境分析、戦略、中小企業診断士としての支援ということで講演テキストを作成した。現在はH社社長に当テキストの草稿をお願いしている。
独立開業からH社と付き合って、17年、H社の誕生から今日までをみているが、その時々のこと、補助金申請時の問答、当時売上の75%を占めた企業の倒産時の社長、倒産企業及びその得意先企業とのやりとり、N社の提案に対する対策、交渉が一コマの写真のように目に映る。
社長も今年で還暦を迎えた。一時、会社で働いていた社長の息子も今年の春戻ってきた。社長は5年後には引退するという。それまで、H社に対し何ができるかを考えたが、環境は変わるものであり、その変化に応じて考えればよく、今、決めつける必要はないとも思っている。