ブログ
SKKコンサルタントが、経営に関するあらゆる話題をブログとして書いています。
お役に立つ情報が満載ですので、お時間のあるときにでも、ご一読ください。
孫の早とちり 吉田健司
吉田 健司
夏休みに入って泊りに来ている小学生の孫と過ごす時間は楽しいものである。先日、私が読書をしている隣で、夏休みの宿題にとりくんでいる様子を見て気がついたことがある。問題文を最後まで読まないで答えを書いたのが、明らかにわかる問題があり、問題文をもう一度読むように促すと、しっかり読んで答えを書きなおしていた。孫の早とちりに思わず微笑んでしまったが、早とちりする、決めてかかる 、思い込む 、つもりになる 、 勘違いする 、思い違いするなどはコミュニケーションでよく起こることではないだろうか。
たとえば電話対応のケースで、電話が終わった担当者に、何の話をしたか聞いてみると、「○○についてお願いした」と返ってくる。このお願いしたが問題である。この時点で担当者は、ボールはお客さまにあると思っている。このようなケースでは、電話をしたお客さまの説明に対する反応や、お願いに対する具体的な行動の予告などがあったかなどを担当者に確認し、ボールは本当にお客さまにあるのかをチェックする。担当者はボールがお客さまにあると思っていても、お客さまにその認識がない場合は、結果としてお客さまへの対応が遅れることになる。クレームの芽にもなる。チェック・アクションの指導は大切である。
たとえば、クレーム対応で、お客さまの話をよく聞いてみると、担当者の伝えたいこととお客さまの受け止めたことが相違していることがある。聞くスキルの問題、話すスキルの問題、説明するスキルの問題、論理的な思考スキルの問題などいろんな改善項目が考えられるだろうが、このような部下に、私が経験からまず指導する点は、情報の非対称性である。情報の非対称性は、取引される商品等に関して当事者がもっている情報に当事者間で格差があること、市場取引における買い手と売り手の当事者がもっている情報が不均衡であることなどと説明される。この情報の格差や不均衡がお客さまとの関係で存在していることを、わかってコミュニケーションをする程度では不十分で、常に意識し、情報の非対称性が関係してお客さまにわかりにくい説明になっていないか、振り返りながらコミュニケーションをするのが基本であると、指導する。
私は、情報の非対称性を広く違いととらえ、あらゆる場面で意識できるようになりたいと思っている。
~油断~企業の死角 長屋 勝彦
長屋 勝彦
とある企業の診断をした。その企業は従業員十数名で年商3億円弱、車による移動距離1時間内の大企業を顧客とする設計、切削加工、機器組み立てを業とする機動力のある優良企業である。社長は2代目で創業者の巨額の負債を完済し業績をV字型させた経営者で、自ら顧客に出向き顧客ニーズ、シーズを具現化し商品化に結び付ける事業家でもある。
約2か月にわたり社長ヒヤリングと財務諸表によるリスクを想定した事業計画を作成し診断報告書を作成し社長に対し立地、マーケティング、人材育成についてプレゼンテーションした。
提案に対して社長は提案内容に賛同したが、直ちに実行するというコメントはなかった。例えば商圏内に存在する新規取引先からのオファーに対し人手不足ということで断っているとのことである。しかし、環境は常に変化するが、その時点で今回の診断を思い起こすことでよいのだと思った。今回の診断は限られた条件の中での診断であったが的確な条件設定に基づく優れた内容の診断であった。
企業が抱える問題として三つの種類の問題がある。一つはその問題により弊害が出ている問題、もう一つは現在発生していないがこのままの状態が続けば弊害が出るでる問題、三つ目は現状の環境では現在および将来とも問題は発生しないがある種の条件が変わった場合に発生する問題である。
経営では三つ目の問題を想定しリスク対応を講じた事業計画を作成しリスクの狭小化策を講ずる。同社が自社なりの持続可能な事業計画を作成し実行することを期待する。
とにあれ、中小企業も含め、企業診断は企業を動かす経営者を診断するとことであると思った。又、数年後に診てもらいたいという社長の言葉が頭に残った。
以上
故郷の伝統芸能について
岩本 亨
先日(平成27年6月20日)、国立劇場で、私の故郷である島根県江津市桜江町市山の「市山神友会」による重要無形文化財「大元神楽」(おおもとかぐら)の公演があった。郷里の会社支援の仕事もしている私は、4月にその情報を聞きつけ、チケットを手配した。午後1時からと午後4時半からの二部構成だが、通しチケットを申込み、妻とともに鑑賞させてもらった。
大元神楽は石見神楽ではあるが、式年で奉納される特別な神楽で、地区によって差があるが、市山地区では6年に一度である。奉納される神社とそうでない神社があり、残念がら私の生家の氏神様には奉納していない。
隣の地区であることもあり、小学生の頃、市山神友会の大元神楽を見た記憶はあるが、内容まで詳細には覚えていなかった。
そんな隣の地区の方々が、国立劇場で公演するという。小学校の同級生も主要なキャスト(?)として参加していた。
13:00~19:30の公演だったが、あっという間だった。以前見たことがあるとはいえ、記憶はあいまいで理解できていなかったが、今回は存分に堪能させてもらった。一言「大元神楽、おそるべし!」。日本書紀等の古書に基づいたストーリーで構成されており、奥深さに感動した。どうしてあんな山奥なのに、そのような文化的背景のある神楽が伝承しているのだろうか???と不思議に思う。
地元の方々が出演しているのであるから、思い入れも強かったのだが、自らの素養を恥じた。地元の伝統芸能をもっと勉強しておくべきだったとつくづく反省した。
私自身、地区の方々にも勧められ、氏神様のお祭りで石見神楽を小学校2年生から10年近く奉納していた。それは誇るべき原体験として私の心の底の支えになっている。しかし、もっと視野広く情報収集をして、伝統芸能の素晴らしさを発信すべきだった。今後はそのようにしていきたい。
皆さんの身の回りにも、似たようなことありませんか?
「人材力」に思う 吉田健司
吉田 健司
平成26年版「労働経済白書」の分析テーマは「人材力の最大発揮に向けて」である。「人材力」という言葉が気になり調べてみたが、明確な定義を見つけることはできなかった。
行政文書では、文部科学省が、平成25年に「人材力強化のための教育戦略」という資料を公表している。日本人としてのアイデンティティを持ちつつ、高付加価値を創造し、国内外で活躍・貢献できる人材の育成に向けてとるべき成長戦略と大学の役割について記述されている。
また、総務省は地域活性化の基本的な要素である人材力の強化を図るため「人材力活性化」に向けた取組みを行っている。これは「地域力創造に関する有識者会議」において、同じような経済的条件、自然的条件下にあって活性化している地域とそうでない地域の差を生じさせている大きな要因として、「人材力」が指摘されたことをうけてのことのようである。
「労働経済白書」では、「人材」を我が国が世界に誇る最大の資源と認識し、全ての人材が能力を高め、その能力を存分に発揮できる「全員参加の社会」の構築が必要との観点から、企業における人材マネジメントに着目した分析を行っている。その分析結果の1つとし、多様な労働者に積極的な雇用管理を行い、就労意欲を引き出す人材マネジメントが、企業を成長させることがあげられている。企業を取り巻く競争環境の変化の中、正規雇用労働者のみならず、様々な雇用形態で働く労働者が増加しているが、雇用形態にかかわらず、積極的な雇用管理に取り組んでいる企業では、労働者の定着率が高くなるとともに、労働生産性や売上高経常利益率 も高い傾向にあるとされている。
これは、2008年の中小企業白書の、労働生産性を意識している企業は、意識していない企業に比べて売上高経常利益率が顕著に高い傾向に見られる、労働生産性の向上が企業業績を向上させる効果を有することを示唆している、という分析結果とあわせてみると面白い。
しかしながら、私の経験から思うに、多様な労働者に積極的な雇用管理を行い、就労意欲を引き出すことは、簡単なことではない。「人材力」の重要性は様々な視点から認識されている通りだと思うので、まずは、自社の自身の人材マネジメントが適切か、日ごろから考えることが大切ではないだろうか。
中小企業の製品開発に係る補助事業活動を振り返って~長屋 勝彦~
長屋 勝彦
本年度の中小企業支援のための国等の補助事業は6月8日締め切りのサポイン(戦略的基盤技術高度化支援事業)で終了した。顧問先の紹介で3社のもの補助(ものづくり・商業・サービス革新補助金)と2社のサポインの申請を支援した。
もの補助申請については3社いずれも相応の技術レベルにあり要点をコメントする程度で申請することができた。その結果についてもかなりの期待が持てる。
一方、サポインの方はミーティングを繰り返して行くうちにいずれも申請を見送ることとなった。そのうちの1社はライフセーブに関する事業であり社会的に有益な事業であるが現時点では市場規模が限定され、もう1社は3Dプリンターを使用した生体適合性プラスチックによる造形であり社会的に有用で市場規模も期待できるが、当補助事業の変更事項の見落としによるものであった。
サポインは産(企業)学(大学等)連携により裾野産業である中小企業を支援することにより日本経済の成長を図ることを目的とした中小企業支援策の一つであるが、以前までは補助率は100%となっていたが、改正により産と学の連携によるプロジェクトリーダーが企業の場合の補助率は3分の2、大学等の場合は100%となったことを見落とした。
即ち、申請にあたり大学にプロジェクトリーダーを依頼するか、企業がプロジェクトリーダーを行う場合は大学に新年度が始まる前に補助額の3分の2の負担額の予算申請を依頼するかを決めないで公募しようとしたことである。
おそまつともいえるが、申請を決意したのが6月初旬の時点である。見落としたが見落としに気が付いた6月下旬でありそれまでサポインについて考えたことになる。通常、サポイン事業に採択されるには数年はかかるといわれている。ものは考えようであり、大学との連携、事業の市場性の見極め、技術レベルの深耕により来年を目指そうと考えるこの頃である。
以上