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バックナンバーへの思い 吉田健司
吉田 健司
先日、調べたいことがあり、書棚にある中小企業白書のバックナンバーの目次を読みかえしていて、2006年版、2007年版、2008年版の3年間は、目次に分析テーマ1と分析テーマ2と付記があることに気がついた。
2006年度版の分析テーマは、「東アジア経済との関係深化と中小企業の経営環境変化」と「少子高齢化・人口減少社会における中小企業」、2007年度版は、「地域とともに成長する中小企業」と「経済構造の変化にチャレンジする中小企業」、2008年度版は、「中小企業の生産性の向上に向けて」と「地域経済と中小企業の活性化」である。
各年度の白書の結びを参考にすると、2006年度版では、今後数十年という日本社会の構造的変化が中小企業にもたらす意味を整理し、2007年度版では、「我が国企業の業況が全般として回復する中で、地域や中小企業にその利益が行き渡らないのはなぜか」という視点で議論し、2008版では、中小企業の生産性の現状や地域の中小企業が形成しているネットワークの実態等を示すとともに、中小企業が現在直面している課題の分析を行っている。およそ10年前のこれらの分析と自社、業界、競合、市場などの現状を比べてみるのも面白いかもしれない。
中小企業白書は、中小企業をめぐる動向、中小企業施策、年度のテーマなどで構成されている。中小企業庁のホームページには、バックナンバーが1963年(昭和38年)版から掲載されているので、資料として活用するにはこのホームページで充分である。私も2014年版から購入をやめたが、2000年(平成12年)版から2013年(平成25年)版のバークナンバーを所有しており、書棚でかなりの場所を占めている。必要な時は中小企業庁のホームページで確認できるので、処分しても良いのだが、私にとって、ふと思いついたとき、手にとりページをめくる時間が楽しいため処分できないでいる。
~人に優しい経営~長屋 勝彦
長屋 勝彦
今年も第一四半期が過ぎようとしている。我が国人口は少子化、高齢化により減少に転じている。生産性を高めるには無駄な労働や、だらだらと労働することを止め効率的に働けということである。そして、そのような労働をする時間を余暇にまわせということである。確かにそのようなに働けばマクロ的には余暇を過ごすために消費する時間とともに消費する金銭が増えマクロ的には国民所得が増えるということになる。
更に、そのような非効率的な労働に替え価値が向上する労働をすれば企業の所得も増え国民所得は増加することになりその効果は倍増する。顧問先の中小企業社長は言う、「だらだらと働くな,残業代は払うから効率的に働きさっさと帰れ、そうすれば疲労も少なくなるだろう————。
しかし、仕事が増えれば残業は減り、仕事が減少すれば残業が増えるという奇妙な現象が起きている。
仕事が増えれば効率的に仕事をしようとし、仕事が減れば残業代を稼ぐため残業するということである。やはり、中小企業の給料は少なくそのために残業するというのが現実である。
この問題を解決するには、下請け依存度の高い仕事に替え、その企業にしかできない独自の製品・サービスを生産する仕事に替えることである。
しかし、言うは易く行いは難し、という。多くの中小企業が独自性のある付加価値の高い製品開発に取り組んでいるが実現は厳しいのが現実である。
中小企業に入り込み、無駄をなくしながら新製品開発支援に取り組むのがモットーである。中小企業経営者も人を思う心はあるが、人に優しい経営、ワークライフバランスを従業員に語れる企業になるべきであると思うこの頃である。
以上
心理的な罠 吉田健司
吉田 健司
10年程前になるが、意思決定でよく見受けられる心理的な罠について社内向けにコラムを書いたことがある。参考にした書籍は、意思決定アプローチ「分析と決断」(1999年初版 ジョン・S・ハモンド/ラルフ・L・キーニー/ハワード・ライファ著 小林龍司訳 ダイヤモンド社)である。
この書籍は、第10章で11種類の心理的な罠を取り上げている。「目につくことしか見ない、自己正当化の罠」、「過去の意思決定を正当化したうえで現在の意思決定を考える、過去の支出の罠」、「選択肢の数が多いほど現状維持が好まれる、現状維持の罠」など、日常身近で見聞きするような心理的な罠もあり、それらの回避テクニックは大変勉強になったと記憶している。
最近、あらためて興味のある部分を読み直したところ、新たな気づきがあった。それは、「現状を変えるのに必要とされる労力やコストを大げさに考えない」というテクニックについてである。以前は読み流していたフレーズである。
当時の私は、現状を変えるためには、まず人からだと考え、どうやったら変われるかという視点で考えていた。国分康孝著「自分を変える心理学」(PHP文庫)を愛読し、自分を変える3要素「思考・感情・行動」の話をたびたび紹介したりしていた。
今回の気づきは、なぜ変われないかの視点も重要ということである。どうやったら変われるかを考えることの大切さを伝える前に、なぜ変われないかを深掘りすることを伝えた方が良かったのではと自省している。前回テーマとした「メタ認知」をもっと取り入れていかなければと思う今日この頃である。
企業の人間的側面に関する考察~中小企業にY人間はいるのか~長屋 勝彦
長屋 勝彦
毎月訪問する顧問先の中小企業でX人間、Y人間についてスピーチした。X人間は、人は怠け者である。働くのが嫌いである。働かせるには飴と鞭が必要である。一方、Y人間は、人は自己実現のためには進んで働く。働きたくなるような仕事を与える必要がある。というものである。やらされ感で働くのではなく、仕事に生きがいを持ってほしい。というマグレガ-のX理論、Y理論の話である。
締めくくりとし仕事に生きがいとプライドを持って臨んで欲しいという言葉で締めくくった。話しの後、「人はパンのみに生きるに非ず。」と言う言葉があるが、はたして何人の中小企業で働く人がY人間として働いているかと考えた。
今回のスピーチで言いたかったことはやらされ感で働くのではなく自発的に働いて欲しいということを従業員の方に伝えたかったのであるが、反面、経営者としては従業員をその気にさせる(働く気にさせる)施策をとっているか、経営者自身が自己中心的になり従業員をX人間化していることはないだろうか、と自問自答した。
経営が苦しくなるとついつい従業員に生活面でつらい思いをさせるような方策を取らざるを得ないようなこともあるが、その時は話せばわかるという気持ちで腹をわって経営者は従業員と対峙する必要がある。
コンサルタントは経営者から報酬を得ているが、経営者に正しいアドバイスを躊躇することがあってはならない。経営者におもねることなく客観的観点から的確なアドバイスをする必要がある。
経営は誰のためにあるのか、それは顧客のためであり、従業員のためにあるということを改めて思った。
従業員は言いたいことも経営者には言えない、代わって経営者にアドバイスすることが必要であるとも思うこの頃である。
以上
メタ認知 吉田健司
吉田 健司
「メタ認知」を調べてみた。「認知心理学」の本などでは「メタ認知」は、「認知に対する認知」のことであると解説されている。心理学者の伊藤進氏は、「メタ認知」について次のように説明されている。「メタ認知」とは、一言でいうと「自分の認知活動を認知する機能」である。認知活動とは、脳が行うさまざまな情報処理活動である。知覚、記憶、思考、問題解決、それに諸種の課題の遂行である。(伊藤進著<聞く力を鍛える>講談社現代新書)
「デジタル大辞泉の解説」によると自分の行動・考え方・性格などを別の立場から見て認識する活動である。
自分の行動・考え方・性格などを別の立場から客観的に見て認識することは、自分自身へのモニタリングといえる。例えば、自分が実行したいこと、達成したいこと、なりたい自分について、目標を立てて、計画を作り、実行して、評価する。これらを繰り返し、実現に近づく自己管理のPDCAは、リソースとしてのメタ認知力が重要な要素ではないかと思う。
私は、日常「メタ認知」という言葉を意識することはあまりないが、「自省」という言葉は常に意識している。専門的なことはよくわからないが、「自省」を自分の言動を自ら反省することと解釈すると、メタ認知の結果が自省につながると考えてよいのだろうか。
そのように考えると、自分のメタ認知力を知ることや、メタ認知のトレーニングを行うことは、人材育成に欠かせないものではないかと思えてくる。自分を常に意識して客観的に見ている人はそれほど多くないのではないだろうか。メタ認知力を改善することで、成長を阻んでいた見えない壁を乗り越える人もいるかもしれない。