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ルーチンワークは創造的な仕事を駆逐する 吉田健司
吉田 健司
「グレシャムの法則」は、イギリスの グレシャムが唱えたとされる「悪貨は良貨を駆逐する」という法則である。ある社会で材質の悪い貨幣と良質の貨幣とが同一の価値をもって流通している場合、良質の貨幣は使用せずに保持されたり、溶解されて地金にされたり、輸出されたりなどして市場から消えて、悪い貨幣が流通するという法則である。
では、「計画のグレシャムの法則」とはどのような法則だろうか。これは、1978年に「経済組織における意思決定過程の先駆的研究」によりノーベル経済学賞を受賞した米国のハーバート・A・サイモンが唱えた法則で、「ルーチンワークは創造的な仕事を駆逐する」というものである。ルーチンワーク、すなわちいつも通りの定型的な仕事量が多いと、長期を想定したり、抜本的に仕事のやり方を変更したりといった創造的な仕事が、後回しにされるという警鐘である。
働き方改革を考えるにあたっても、「計画のグレシャムの法則」は、重要な示唆を与えてくれる。日常業務が多忙という理由で、それを改善する工夫を後回しにしたり、そのために必要な学習を後回しにしたり、本気で取り組まなかったりする状況に陥ってないだろうか。
そのような組織や人は、まず多忙な日常を「見える化」するのが良いと思うが、その結果をどのように分析するかも考えておかなければならない。私はそのためのキーワードの一つが判断力だと思っている。日常業務を大小、さまざまな判断の連続であると捉えると、多忙かどうかは、仕事の絶対量だけでなく、判断の拙劣が大きく影響するのではないかと思うからである。
仕事における判断は、意思決定という言葉におきかえて学ぶと良いと思う。そのため、組織の意思決定過程を研究したハーバート・A・サイモンが著した「経営行動(ダイヤモンド社)」を、私は愛読している。
人生いつもキャリアデザイン~長屋 勝彦~
長屋 勝彦
キャリアデザインとは、「自分の生き方や働き方について具体的に構想し計画を立てること(大辞泉)」とある。
そのためには、自分のビジョンを明確にし、そのビジョンを達成するための計画を立てる必要がある。
毎年行うリーダー研修、再任用研修では組織体(会社や自治体)での就業、個人の生活(家庭、地域社会)を含めた働き方、生き方として今後どのように自分の人生を設計していくかという個人のキャリアプランを立ててもらっている。
このように考えるようになったのは、15年前にアンドリューカーネギーの「思考は現実化する」というテープレコーダーを聴いたことにある。
カーネギーは鉄鋼王と呼ばれた経営者で、晩年ニューヨークにカーネギーフォールを建設した慈善活動家でもある。
カーネギーは、「成功者としてのなりたい自分を想像し、そのような自分になるためのタイムスケジュールを作成し、必ず達成させるという信念のもとに行動し、自分の願望が実現するまで毎日、この行動を振返るという行動をすれば誰も成功する。」と説いている。
キャリアデザインによるキャリア開発プランは若い人だけのものではなく、夢を実現しようとする情熱があれば年齢に関係なく可能であと思う。
自分についていえば、80歳になりこの先何年今の仕事を続けることができるかわからないが就活、終活、収活を念頭にこれからも自分創造を図って行きたい。
「人生とは自分を見つけることではない。人生とは自分を創ることである。
(Life isn‘t about finding yourself. Life is about creating yourself.)」というバーナードショーの言葉がいいえて妙である。
以上
一分間を意識する 吉田健司
吉田 健司
一分間で話せる文字の量は300字から400字といわれている。また、一分間に標準的なスピードで話した時の文字量は270字から300字といわれている。しかしながら、私の場合はもっとゆっくり話す癖があるので、250字以下である。
以前参加していた中小企業診断士の仲間との研究会では、一分間の文字量を意識しながら三分間スピーチのトレーニングを行ったが、話すスピードを標準に近づけるという意味ではまだまだである。
その当時、齋藤孝教授の著書「1分で大切なことを伝える技術」を読んで学んだことがある。
同書では、三分間スピーチより一分間で話すトレーニングを勧めている。齋藤孝教授は三分間だと一分間で話せる中身を三倍に薄めているのではと指摘する。私はなるほどと新鮮な刺激を受けた。この指摘は、「一分間で話せる中身」をコミュニケーション以外の別に言葉におきかえることができると思ったからである。
例えば、
一分間でできる意思決定を三倍に薄めていませんか、
一時間でできる会議を三倍に薄めていませんか、
一日でできる仕事を三倍に薄めていませんか、
などである。
同じ時間でも、その時間の密度は人によって異なる。齋藤孝教授は、「密度感覚」という言葉を使ってそれを説明しているが、働き方改革を考えるうえでも重要な示唆をいただいているように、私は思っている。
同様の示唆を、「カイゼン」で著名な山田日登志氏からいただいている。山田氏の言葉の中にある「稼働時間8時間は2万8800秒と覚えればサイクルタイムがすぐ分かる」というフレーズである(出典:日経トップリーダー2013.1)。私は、この秒単位で考える基本がとても好きである。
実務従事事業を通しての中小企業経営者と診断士のふれあい~長屋 勝彦~
長屋 勝彦
「月日は一代の過客にして行きかう人も又旅人也」、松戸芭蕉の紀行文奥の細道の冒頭である。今月で80歳になる。中小企業診断士の仕事をして20年、今年で80歳になるがいつまでこの仕事を続けられるのか。
この年になり無性に中小企業が、中小企業経営者、仲間の診断士とのふれあいの大切さを感じ顧問先の仕事の合間をぬって企業内診断士の指導員として中小企業診断を行っている。
今年は、錠前企業、メッキ企業、繊維加工企業と現在診断中の酒類の小売業で、いずれも中小企業振興公社時代に知り合った企業であり、久し振り(15年振り)の対面である。
初日の社長ヒヤリングで診断企業の激変振りに驚く。国内総需要量は減少しているが後継者不足で廃業する会社が増加している中、生残り販売が増加している企業、パートナーである親企業と一緒に海外展開を図り業績を向上させいる企業、これと反対に自社の強みを発揮できず苦戦している企業等、様々である。
これまではグローバルニッチトップ企業を目指す中小企業を支援してきたが、親しく付き合っている企業が苦労しているのを知り何とか役に立ちたいと思う。
診断メンバーの中小企業診断士の方とは6日間の付き合いであるが、30歳代から40~50歳代の管理職、60歳代以上でコンサルタントとして活躍している方と幅広い年齢層の方であるが、調査能力、提案力もあり、真面目で人間味が豊かな方が多い。
診断終了後のアンケートで再び診断企業を診断したいと希望する方もいる。又、診断を機に詳細な診断、指導する企業もある。診断企業の経営者の方との旧交を温め付き合いが深まったことになる。
このようなことから、少しはかかわった企業経営者、診断士の方の役に立ったと思うことができうれしくなる。
やはり人とかかわりを持ち、人の役に立つことすることは人生で意味のあることだとおもうこのごろである。
以上
中小企業の抜本的働き方改革~長屋 勝彦~
長屋 勝彦
働き方改革は、現在の阿部政権のもと、働き方の抜本的な改革を行い、企業文化や社会風土も含めて変えようとするものとして多様な働き方を可能とする経済政策として推進されている。
具体的には、長時間労働の抑制、副業解禁、勤務体系の多様化、同一賃金・同一労働等の労働政策である。
これ等の政策を推進するためには企業の生産現場の環境の整備、生産の自動化・機械化、I o T、AI等の導入による企業の生産性の向上が不可欠である。
しかしながら、中小企業は生産の自動化・機械化、I o T、AI等に関する技術が乏しく、かといってそのような知識を持った人材を雇用する資金も乏しく、働き方改革の実現は容易ではない。
例えば、激しい競争下で受注の多頻度小ロット化短納期に対応した多品種少量生産を行う中小企業の場合、余剰人員を抱えておく余裕がなく、顧客の受注に応えるには現在の人員の残業により対応している。
このような場合、働き方改革でいう労働政策、職場の環境改善は出来ても生産の自動化・機械化、I o T、AI等の導入による企業の生産性の向上策は、技術面、資金面から実行できない。
更に、この分野は中小企業の事業領域であり、この分野に関する研究を行う大学等の研究機関も皆無に近く、現状ではI o T、AI等の導入による抜本的働き方改革の実現は困難である。
現在では、仕事に関する高い技術力、高いITリテラシーと強い改革意欲を持ち、仕事に執着をもった技術者の育成が急務であると痛感するこの頃である。
以上