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「コンセプチャル・スキルを学ぼう・・・」 吉田健司
吉田 健司
マネジメント・スキルには、主にコンセプチャル・スキル、ヒューマン・スキル、オペレーショナル・スキル(テクニカル・スキル)の3つのスキルがあるといわれている。私の勤めていた企業でも人事制度の説明資料の中で職位と3つのスキルの関係を解説していた。そのため言葉は知っていたが、マネジメント・スキルの学習を意識するようになったのは、管理部門の仕事をするようになってからだったと思う。20年以上前になるが、特に、コンセプチャル・スキルを学ぶ必要性を強く感じていた。コンセプチャル・スキルは、情報収集力、戦略策定能力、論理思考力、問題解決力、判断力などいろんなスキルがあげられる。
当時、私はコンセプチャル・スキルを学ぶために2冊の本を買い求めた。日本経済新聞社出版の「知のノウハウ」シリーズ全20巻のうちの2冊である。もう長い間積読状態の本である。最近マネジメント・スキルについて調べる機会があり、情報収集力というキーワードに出会い、これらの本を思い出した。そして、あらためて「知のノウハウ」シリーズ全20巻のタイトルを確認し、なるほどと思うところがあった。
「知のノウハウ」シリーズのうち14の知は次の通りである。
情報力・問題解決力・独創力・観察力・文章力・企画力・読書力・論理力・集中力・自己表現力・企業力・営業力・記憶力・人間関係力
当時は気づかなかったが、マネジメント・スキルを身につけるのに必要な知ばかりだと思った。
私の蔵書は、「情報力をつける(森谷正規著)」と「問題解決力をつける(小林裕著)」である。「情報力をつける」は、経営資源とはヒト・モノ・カネだけでなく情報も含まれると通信研修のテキストで学び、情報の意味や中身をもっと学びたいと求めた1冊だった。また、「問題解決力をつける(小林裕著)」は問題解決の考え方を学びたいと求めた1冊だった。
その後私は、現場担当時代の学習意識がオペレーショナル・スキル中心だったことを反省し、社内で機会をみつけてコンセプチャル・スキルのひとつとされる論理思考力を早くから学ぶように働きかけることを心がけた。
「学習する組織」への思い その2 吉田健司
吉田 健司
前回のブログで、私は、「学習する組織」をめざして、知識創造理論の権威とされる野中郁次郎氏の「組織的知識創造理論」を学び、組織的知識創造活動を自らのやり方で試みてはみたが、難しかったと書いた。それは次のような自分自身への問いに対する答えを探しての試行錯誤であった。
学習する組織に近づけるために、新たな知識やスキルを習得すること、思考の枠組みや行動様式そのものを変化させることなどをどのように実現すればよいか。
仕事の目的をより良く達成する手段を選択することや、ムダを排除するために創意工夫することを組織として学習するにはどうしたらよいか。
ナレッジ・マネジメントの書籍や、野中郁次郎氏の共著である「知識経営」、「知識創造企業」、「ナレッジ・イネーブリング」を読んで、組織において知識を変換する活動に取り組んだ。難しかったのは、各個人が、組織や他人の知識を自分の中に取りこみ、その知識を高めて真に身につけることができる時間的・空間的な場を作ることであった。
主体である個人の学習が、周りの人たちとの間で相互に影響しあい、結果、組織の学習効果が上がる状況は、部分的、限定的には生まれていたが、組織的な知識獲得プロセスの体系化は五里霧中だった。
私は独学で中小企業診断士試験に7年間チャレンジしたが、日経文庫、日本経済新聞社ゼミナールシリーズ、ビジネスゼミナールシリーズ、大学テキストシリーズ有斐閣アルマから多くのテキストを選定して繰り返し読み続けた。合格後も日経文庫と有斐閣アルマは学習範囲を広げて自己啓発のテキストとして活用している。
特に有斐閣アルマは、「教養科目として学ぶ人に」、「基礎科目として学ぶ人に」、「専門科目として学ぶ人に」、「高度な学習をめざす人に」と4つのグルーブにわかれていて、テキストとしてのレベルを判断しやすく、テーマによって読み分けることができるので、学習書として大変気に入っている。大学のテキストではあるが、社会人のテキストとして推奨したい。
「学習する組織」への思い 吉田健司
吉田 健司
私が好きなビジネス用語の一つに「学習する組織」がある。この言葉を意識するようになったのは、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2003年3月号の特集「「学習する組織」のマネジメント」を読んだからだったと記憶している。社員と組織に「学習」という習慣が備わっていなければ変革や改善は一時的なものにとどまるという考えを学び腹落ちしたことを覚えている。
とはいえ、組織は能力開発や人材育成に様々な問題を抱えている。例えば、令和元年度「能力開発基本調査」事業所調査の人材育成に関する問題点によると、能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所は 76.5%である。「3年移動平均で見ると、近年、人材育成に問題のある事業所の増加傾向がうかがえる。」と分析されている。
また、人材育成に関する主な問題点は以下の通りである(複数回答)。
・「指導する人材が不足している」(58.1%)
・「人材を育成しても辞めてしまう」(53.7%)
・「人材育成を行う時間がない」(49.7%)
私は、所属部門の能力開発や人材育成の仕事も担当していたが、知識創造理論の権威とされる野中郁次郎氏の「組織的知識創造理論」を学び、個人が創造・習得した知識を組織全体の知識に変換する仕組みづくりなら組織で実践できるのではと考えた。そのため、「学習する組織」をめざして組織的知識創造活動を自らのやり方で試みてはみたが、難しかったことを思い出すと懐かしい。
リーダーのための行動科学分析~長屋 勝彦~
長屋 勝彦
リーダーシップとはフォローワーに対するリーダーの働きかけをいい、組織のリーダーとは組織で働く従業員をやる気にさせることである。
組織のリーダーは従業員に高いモチベーションを持たせ所属する組織目的を達成させる役割を持つ。このような観点から働き甲斐のある(やりがいのある)組織とはどのような組織であろうかを考えた。
やりがいのある組織とは、組織に所属する従業員が、①所属する組織(会社)やリーダー(経営者・マネジメント)を信頼し、③自分が行っている仕事に誇りを持ち、一緒に働いている仲間と連帯感が持てる会社であると定義されている。
このような観点からリーダーの行動や従業員の行動をとらえ、心理学的アプローチにより分析するというのが行動科学分析学である。
今回のコロナウイルス蔓延による国等の自粛活動期を利用しリーダーのための行動分析学入門(島宗 理著)を読んだ。
書著は、リーダーの行動が従業員に与える影響をABC分析により分析し、好子の
行動を増加させる(嫌子の行動を減少させる)行動を行っていくことにより従業員の
モチ―ベーションの向上と共に組織の業績をあげることにつながるものであると説い
ている。
※A:標的行動の直前の状況、出来事、B:標的行動、C:標的行動の直後の状況
※ABC分析:A、B、Cの関係を分析したもの
※例として、A:従業員から情報得たいとき部下の席に近づき、B:部下に話しかける、C:部下から情報が得られる(好子)、部下の仕事が中断する(嫌子)
リーダーシップ理論には、ハーシー・ブランチャードのSL理論(Situational Leadership Theory)、クルト・レヴィンのリーダーシップのタイプ(専制型・民主型・放任型リーダーシップ)、ダニエル・ゴールドマンの(EQ型リーダーシップ)等があるが、「人を見て法を説く」という仏教の言葉が思い出される。
仏教の教えに従い人に寄り添い接するのが使命である思うこの頃である。
自己啓発について(令和元年度「能力開発基本調査」個人調査より) 吉田健司
吉田 健司
2月に内閣府の平成30年度年次経済財政報告(以下白書)より社会人が自己啓発を行うことの効果についての分析を取り上げた。今回は、厚生労働省から公表されている令和元年度「能力開発基本調査」の取りまとめ結果より自己啓発を取り上げたい。
「能力開発基本調査」の用語の説明では、自己啓発は次のように説明されている。
労働者が職業生活を継続するために行う、職業に関する能力を自発的に開発し、向上させるための活動をいう(職業に関係ない趣味、娯楽、スポーツ健康増進等のためのものは含まない。)。
調査報告の概要によれば、平成30年度に自己啓発を行った労働者は全体では29.8%で、正社員が39.2%、正社員以外が13.2%である。
自己啓発の実施方法は、「ラジオ、テレビ、専門書等による自学、自習」を挙げる者の割合が最も高く、正社員(36.7%)、正社員以外(31.6%)で、次の通り続いている。
・「eラーニング(インターネット)による学習」(正社員27.5%)、(正社員以外28.0%)
・「社内の自主的な勉強会、研究会への参加」(正社員25.9%)、(正社員以外23.9%)
・「社外の勉強会、研究会への参加」(正社員24.2%)、(正社員以外17.0%)
・「民間教育訓練機関(民間企業、公益法人、各種団体)の講習会、セミナーへの参加」(正社員23.3%)、(正社員以外16.7%)
など
自己啓発における問題点は、正社員、正社員以外のいずれも「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」(正社員55.0%、正社員以外35.5%)が最も高く、特に正社員の割合が高くなっている。
自己啓発の時間を創出する工夫や啓発のための教育が重要であるとあらためて思う。
自己啓発の「啓発」は論語(述而)が出典であるが、孔子の言葉は人が成長するために心がけるべき多くのことを教えてくれる。論語は自身の経験と照らし合わせながら何度も読み返す古典である。