経営情報
前回のコラムで書いた中小企業白書のほかに、私がバックナンバーを大切にしている月刊誌がある。2000年10月から月刊誌となったDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューである。それ以前は隔月刊ダイアモンド・バード・ビジネスであった。私の書斎には1999年9月以降のバックナンバーが揃っている。このバックナンバーは、積読状態の書籍を久しぶりに通読で読み直す私流の再読をこれまで2度行うなど、資料として読みかえすことも多く貴重な情報源である。
最近の掲載論文で興味深かったのは、26年前のピーター・F・ドラッカーの論文である。DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2017年7月号に、「名著論文再掲」として掲載されている。興味を持った理由は、テーマが知識労働やサービス労働の生産性向上だからである。以前コラムにも書いたが、会社勤務時代、製造業の生産管理をサービス業に活かすための創意工夫に取り組んだ経験から、ドラッカーの示す生産性向上のためのステップは共感できることが多く、さらに今まで気が付かなかった示唆を与えてくれた。
1例を紹介すると、ドラッカーは継続学習の必要性を主張している。私には、学習する組織に近づけるために、新たな知識やスキルを習得すること、思考の枠組みや行動様式そのものを変化させることなどをどのように実現すればよいか試行錯誤していた時期がある。また、仕事の目的をより良く達成する手段を選択することや、ムダを排除するために創意工夫することを組織として学習するにはどうしたらよいか試行錯誤していた時期がある。どちらも在職中に満足できる結果を残すことはできなかったと自省している。
今あらためて「訓練の最大の成果は、新しいことを学ぶことではなく、すでにうまくいっていることをさらにうまく行うべく、みずから継続して学習することによってもたらされる。(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2017年7月号)」というドラッカーの言葉に触れて、私の視野がまた少し広がったように感じている。
「サービス労働の生産性」への思い 吉田健司
吉田 健司
前回のコラムで書いた中小企業白書のほかに、私がバックナンバーを大切にしている月刊誌がある。2000年10月から月刊誌となったDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューである。それ以前は隔月刊ダイアモンド・バード・ビジネスであった。私の書斎には1999年9月以降のバックナンバーが揃っている。このバックナンバーは、積読状態の書籍を久しぶりに通読で読み直す私流の再読をこれまで2度行うなど、資料として読みかえすことも多く貴重な情報源である。
最近の掲載論文で興味深かったのは、26年前のピーター・F・ドラッカーの論文である。DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2017年7月号に、「名著論文再掲」として掲載されている。興味を持った理由は、テーマが知識労働やサービス労働の生産性向上だからである。以前コラムにも書いたが、会社勤務時代、製造業の生産管理をサービス業に活かすための創意工夫に取り組んだ経験から、ドラッカーの示す生産性向上のためのステップは共感できることが多く、さらに今まで気が付かなかった示唆を与えてくれた。
1例を紹介すると、ドラッカーは継続学習の必要性を主張している。私には、学習する組織に近づけるために、新たな知識やスキルを習得すること、思考の枠組みや行動様式そのものを変化させることなどをどのように実現すればよいか試行錯誤していた時期がある。また、仕事の目的をより良く達成する手段を選択することや、ムダを排除するために創意工夫することを組織として学習するにはどうしたらよいか試行錯誤していた時期がある。どちらも在職中に満足できる結果を残すことはできなかったと自省している。
今あらためて「訓練の最大の成果は、新しいことを学ぶことではなく、すでにうまくいっていることをさらにうまく行うべく、みずから継続して学習することによってもたらされる。(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2017年7月号)」というドラッカーの言葉に触れて、私の視野がまた少し広がったように感じている。
バックナンバーへの思い 吉田健司
吉田 健司
先日、調べたいことがあり、書棚にある中小企業白書のバックナンバーの目次を読みかえしていて、2006年版、2007年版、2008年版の3年間は、目次に分析テーマ1と分析テーマ2と付記があることに気がついた。
2006年度版の分析テーマは、「東アジア経済との関係深化と中小企業の経営環境変化」と「少子高齢化・人口減少社会における中小企業」、2007年度版は、「地域とともに成長する中小企業」と「経済構造の変化にチャレンジする中小企業」、2008年度版は、「中小企業の生産性の向上に向けて」と「地域経済と中小企業の活性化」である。
各年度の白書の結びを参考にすると、2006年度版では、今後数十年という日本社会の構造的変化が中小企業にもたらす意味を整理し、2007年度版では、「我が国企業の業況が全般として回復する中で、地域や中小企業にその利益が行き渡らないのはなぜか」という視点で議論し、2008版では、中小企業の生産性の現状や地域の中小企業が形成しているネットワークの実態等を示すとともに、中小企業が現在直面している課題の分析を行っている。およそ10年前のこれらの分析と自社、業界、競合、市場などの現状を比べてみるのも面白いかもしれない。
中小企業白書は、中小企業をめぐる動向、中小企業施策、年度のテーマなどで構成されている。中小企業庁のホームページには、バックナンバーが1963年(昭和38年)版から掲載されているので、資料として活用するにはこのホームページで充分である。私も2014年版から購入をやめたが、2000年(平成12年)版から2013年(平成25年)版のバークナンバーを所有しており、書棚でかなりの場所を占めている。必要な時は中小企業庁のホームページで確認できるので、処分しても良いのだが、私にとって、ふと思いついたとき、手にとりページをめくる時間が楽しいため処分できないでいる。
企業の人間的側面に関する考察~中小企業にY人間はいるのか~長屋 勝彦
長屋 勝彦
毎月訪問する顧問先の中小企業でX人間、Y人間についてスピーチした。X人間は、人は怠け者である。働くのが嫌いである。働かせるには飴と鞭が必要である。一方、Y人間は、人は自己実現のためには進んで働く。働きたくなるような仕事を与える必要がある。というものである。やらされ感で働くのではなく、仕事に生きがいを持ってほしい。というマグレガ-のX理論、Y理論の話である。
締めくくりとし仕事に生きがいとプライドを持って臨んで欲しいという言葉で締めくくった。話しの後、「人はパンのみに生きるに非ず。」と言う言葉があるが、はたして何人の中小企業で働く人がY人間として働いているかと考えた。
今回のスピーチで言いたかったことはやらされ感で働くのではなく自発的に働いて欲しいということを従業員の方に伝えたかったのであるが、反面、経営者としては従業員をその気にさせる(働く気にさせる)施策をとっているか、経営者自身が自己中心的になり従業員をX人間化していることはないだろうか、と自問自答した。
経営が苦しくなるとついつい従業員に生活面でつらい思いをさせるような方策を取らざるを得ないようなこともあるが、その時は話せばわかるという気持ちで腹をわって経営者は従業員と対峙する必要がある。
コンサルタントは経営者から報酬を得ているが、経営者に正しいアドバイスを躊躇することがあってはならない。経営者におもねることなく客観的観点から的確なアドバイスをする必要がある。
経営は誰のためにあるのか、それは顧客のためであり、従業員のためにあるということを改めて思った。
従業員は言いたいことも経営者には言えない、代わって経営者にアドバイスすることが必要であるとも思うこの頃である。
以上
~人生という旅 その2~ 長屋 勝彦
長屋 勝彦
1996年8月、34年間勤務した呉羽化学工業株式会社(現、株式会社クレハ)を退社し翌年4月に東京都中小企業診断協会に中小企業診断士登録し、開業した。
独立して今年で20年になる。この間、多くの方と出会い多くの教訓を賜った。その中でも鮮明に記憶に残るのは、東京都中小企業診断協会中央支部(現、中央支部)長の安田平八郎先生、元日本経営協会理事岸陸朗氏、元茨城県労働経済部部長坂本達夫氏のお三方である。
安田先生には1998年1月中小企業診断士三次試験(現在実務補習)の指導員の故、長谷川和正先生の紹介でお目にかかった。安田先生の主催する東京都中小企業診断協会マスターコースYCS(安田コンサルティングセミナー)に1期生として入会し、コンサルタントとしての実践的知識の習得から立ち振る舞い・心得、プレゼンの仕方まで多くの薫陶を受けた。印象に残る言葉として、「幸運の女神は前髪しかない」、「うかうかしないで全力でビジネスチャンスをつかめ」といったことを教わった。先生は豊富な人脈をお持ちの面倒見の良い方で、執筆、研修講師の仕事の紹介をいただいた。
又、YCS講師として、「顧問先を獲得する方法」として登壇の機会もいただいた。そのお蔭で、現在のSKK(合同会社 産業経営研究所)岩本亨社長とも知り合い一緒に事業をすることができた。
岸さんには中小企業診断士として登録2年目に「地方自治体向け管理者研修インストラクター養成講座」を受講した際にお目にかかった。当講座の受講動機は研修講師としスタートするにあたって、「マネジメントの体系的知識を再整理することが必要」という故、長谷川先生のアドバイスに基づくものである。
岸さんとは研修最終日にトイレでの立ち話しで、「研修講師がしたい」という発言に対して、岸さんから「丁度、今年講師の見直しをしようと考えている、推薦しておく」ということであった。「経歴書は」という質問に対して、「喋り屋でないことがわかった。中小企業診断士であるから要らない」ということで、次の年度から日本経営協会の公務員管理者養成講座のインストラクターの仕事をすることができた。
岸さんのおっしゃる、「単なる喋り屋」という評価を受けないということを肝に銘じ現在も、研修に、コンサルのプレゼンに当っている。
三番目の坂本さんとは茨城県が公募している販路開拓エキスパートに応募した際のことである。応募後、部長自ら電話で新規開拓に関する様々な質問を受けた。後で考えてみると力量、考え方について面談を受けているような気がした。東京で当エキスパート事業実施機関の茨城県中小企業振興公社の方の面談を受け採用された。採用は二人(公募者数は50人以上とのこと)で、もう一方の方は商社系(三井物産)の方であった。
当時の茨城県の地方紙に当エキスパート事業に関する記事が掲載され、同県に居住している知人から問い合わせを受けた。振興公社の仕事は5年間続いたがその間に知り合った中小企業の方とは現在も実務従事の仕事を通して付き合いをさせていただいている。又、今も一年に一度は水戸の振興公社を訪問し交友を温めている。
その他、中小企業診断士として仕事を始めて以来、松戸商工会議所の鈴木商工部次長、中小企業基盤整備機構の上島プロジェクトリーダー等とかかわった方は枚挙に暇がないが後日改めて寄稿する。
今後も、中央支会の発行誌「ふれあい」という言葉を大切に、交流を深めていきたい。
以上
「キャリア健診」に思うこと 吉田健司
吉田 健司
今回は「キャリア健診」をテーマとする。私は「キャリア健診」を経験したことはないが、厚生労働省の委託で平成23年3月に公益財団法人日本生産性本部が作成した「キャリア健診マニュアル」を読んで興味を持った。
「キャリア健診」の目的は、企業における人材育成の現状を把握し、従業員へのキャリア形成支援を促すとともに、個々の従業員に対してキャリア形成意識を喚起することで、企業と従業員のより良い共生関係の構築に資することとされている。見方を変えると、企業が従業員へのキャリア形成支援を考える際の手本となると思う。
「キャリア健診」では、キャリア・コンサルタントが企業に対して、従業員へのキャリア形成支援に関する提案・アドバイスを行うが、その材料となるのは、企業と従業員へのアンケート、人事担当者等へのヒアリング、従業員へのカウンセリングなどである。
企業に関するアンケートは、企業におけるキャリア形成支援の現状と今後について、①キャリア目標の設定、②キャリア形成支援、③職場のサポート、④キャリア形成の自律性、⑤働き方の裁量性の5つの領域で20の設問が用意されている。このアンケートは、企業と従業員に同じ質問をすることで、両者の意識や考え方の共通性と相違等の関係を把握するように設計されている。
また、従業員に関するアンケートは、従業員の仕事と生活に対する意識、態度、行動について、①職務意識、②自分のことを知っている度合い、③将来のイメージ、④現在と将来に向けての取り組み、⑤身体と心の健康、⑥仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の6つの領域で45の設問が用意されている。
このうち企業に関するアンケートにおいて、企業と従業員に同じ質問を行い、両者の意識や考え方の共通性と相違等の関係を把握する手法は、中小企業診断士として、企業の経営診断を行う際に、経営者と従業員に対して行う意識調査の意図に通じるところがあるため、私は興味を持った。
また、企業におけるキャリア形成支援に関する第1の設問「会社の経営理念に基づいた「求める人材像」が明確に示されている」は、私が経営革新のサポートを行っている顧問先で、重要テーマの一つとして取り組んでいることである。「求める人材像」を明確に示しているか、「求める人材像」は従業員にとって明確になっているか、両側面から考えてみることをお薦めする。