ブログ経営情報

今年4月20日に、内閣府、金融庁、中小企業庁の三省庁合同で、今年度末の中小企業金融円滑化法(以後、「円滑化法」と表記)の期限切れをにらんで、ソフトランディングのための対策として「政策パッケージ」が発表された。その中に「今年度中に3,000社を目標に、再生計画を策定する」という方針が盛り込まれている。

「円滑化法」では、企業から金融機関に対して、借入金の原本返済のリスケ(リスケジュール:返済猶予)の依頼があった場合、基本的に受け入れるように要請している。ただし、その企業が1年以内に経営改善計画を策定し、経営改善に取り組むことが条件である。実情は惨憺たるもので、きちんとした経営改善計画を策定して取り組んでいるのは20%前後と推定されている。

金融庁は金融機関の監督指針として「コンサルティング機能の強化」を打ち出しており、支援する企業とそうでない企業を区別するように指導している。つまり経営改善に向け計画をきちんと立て、真摯に取り組んでいる先は支援継続。そうでない先は、廃業も視野に今後を検討するようにということである。

それではリスケ企業が、経営計画を策定せず、策定したとしてもきちんと取り組まずに、今年度末を迎えるとどうなるか? 現状で最悪の予測をすると、金融機関が支援を打ち切る可能性が高いと考えられる。極論だが、金融機関から、「リスケの要請には、これ以上応じられません。約束通り返済(約定返済)できないなら、今すぐに全額返してください」と迫られる可能性があるということである。

前置きが長くなった。このような状況のもと、5月下旬から、複数の商工団体を訪問し、弊社のセミナーのご案内をした際、余談として、「円滑化法期限切れの出口対策について、情報発信した方が良いのではないか?」と提案してみた。各団体、様々な対応であったが、反応の多くは以下の通り。

 

① 会員企業が現実を知らない(知ろうとしない)状況だと思われる。

② それに対して状況をきちんと報告し、警告を発信しないのは、会員に対する背信行為ととられかねない。

③ 会員企業で対象になる可能性があるところについては、適切な対応をとって欲しい。そのために緊急セミナ

ーを企画して、啓発したい。

④ それでも聞いてくれないかもしれないが、企画側にとっては、緊急セミナーを開催して、きちんと対応した

事実を作っておけば、年度明けに、該当企業から責められても、きちんと説明ができる。

 

ホンネも見えてなかなか興味深いのだが、角度を変えて観ると、まさに「営業チャンス」であることに気付くことができる。ポイントは以下のようにまとめられる。

 

① 法改正という、大きな外部環境変化があった。

② それに対して、何らかの手を打たなければならないと、問題意識が生まれる。

③ 会員のことを思い、緊急セミナーのニーズが発生する。

④ その際、ある意味リスクヘッジ的な思考もある。

(②~④は内部環境の変化である。)

 

優秀な営業担当者は、まず①の情報をいち早くキャッチし、それに対してどのような対応がとられているのか観察(②・③)し、付随的な感情も見極めた動きをすると思われる。

すなわち、以下のようにである。

① 各商工団体に対して、「法改正で円滑化法の期限が切られたが、どのような対応をされていますか?」と

ヒアリングして回る。

② ヒアリングしつつ、「円滑化法期限切れに対応した対策」についてのセミナー企画を提案する。

③ 角度を変えて、それを開催することによって、リスクヘッジにもなることを説明する。

この例からもイメージしていただけると思うが、営業担当は外部環境の変化の情報収集が求められる。次にその変化による、ターゲットの内部環境変化を見極めることが求められる。それをもとにした提案をする際、相手のためになることは何か考え提案することが重要である。相手の立場に立って、何を提供してあげれば、喜ばれるかをとことん考えることが大切である。

日常の営業活動の中で気づいたことを上げてみた。少しでも参考にしていただければ幸いである。

営業活動の中で 【岩本 亨】

2012/06/04
岩本 亨

今年4月20日に、内閣府、金融庁、中小企業庁の三省庁合同で、今年度末の中小企業金融円滑化法(以後、「円滑化法」と表記)の期限切れをにらんで、ソフトランディングのための対策として「政策パッケージ」が発表された。その中に「今年度中に3,000社を目標に、再生計画を策定する」という方針が盛り込まれている。

「円滑化法」では、企業から金融機関に対して、借入金の原本返済のリスケ(リスケジュール:返済猶予)の依頼があった場合、基本的に受け入れるように要請している。ただし、その企業が1年以内に経営改善計画を策定し、経営改善に取り組むことが条件である。実情は惨憺たるもので、きちんとした経営改善計画を策定して取り組んでいるのは20%前後と推定されている。

金融庁は金融機関の監督指針として「コンサルティング機能の強化」を打ち出しており、支援する企業とそうでない企業を区別するように指導している。つまり経営改善に向け計画をきちんと立て、真摯に取り組んでいる先は支援継続。そうでない先は、廃業も視野に今後を検討するようにということである。

それではリスケ企業が、経営計画を策定せず、策定したとしてもきちんと取り組まずに、今年度末を迎えるとどうなるか? 現状で最悪の予測をすると、金融機関が支援を打ち切る可能性が高いと考えられる。極論だが、金融機関から、「リスケの要請には、これ以上応じられません。約束通り返済(約定返済)できないなら、今すぐに全額返してください」と迫られる可能性があるということである。

前置きが長くなった。このような状況のもと、5月下旬から、複数の商工団体を訪問し、弊社のセミナーのご案内をした際、余談として、「円滑化法期限切れの出口対策について、情報発信した方が良いのではないか?」と提案してみた。各団体、様々な対応であったが、反応の多くは以下の通り。

 

① 会員企業が現実を知らない(知ろうとしない)状況だと思われる。

② それに対して状況をきちんと報告し、警告を発信しないのは、会員に対する背信行為ととられかねない。

③ 会員企業で対象になる可能性があるところについては、適切な対応をとって欲しい。そのために緊急セミナ

ーを企画して、啓発したい。

④ それでも聞いてくれないかもしれないが、企画側にとっては、緊急セミナーを開催して、きちんと対応した

事実を作っておけば、年度明けに、該当企業から責められても、きちんと説明ができる。

 

ホンネも見えてなかなか興味深いのだが、角度を変えて観ると、まさに「営業チャンス」であることに気付くことができる。ポイントは以下のようにまとめられる。

 

① 法改正という、大きな外部環境変化があった。

② それに対して、何らかの手を打たなければならないと、問題意識が生まれる。

③ 会員のことを思い、緊急セミナーのニーズが発生する。

④ その際、ある意味リスクヘッジ的な思考もある。

(②~④は内部環境の変化である。)

 

優秀な営業担当者は、まず①の情報をいち早くキャッチし、それに対してどのような対応がとられているのか観察(②・③)し、付随的な感情も見極めた動きをすると思われる。

すなわち、以下のようにである。

① 各商工団体に対して、「法改正で円滑化法の期限が切られたが、どのような対応をされていますか?」と

ヒアリングして回る。

② ヒアリングしつつ、「円滑化法期限切れに対応した対策」についてのセミナー企画を提案する。

③ 角度を変えて、それを開催することによって、リスクヘッジにもなることを説明する。

この例からもイメージしていただけると思うが、営業担当は外部環境の変化の情報収集が求められる。次にその変化による、ターゲットの内部環境変化を見極めることが求められる。それをもとにした提案をする際、相手のためになることは何か考え提案することが重要である。相手の立場に立って、何を提供してあげれば、喜ばれるかをとことん考えることが大切である。

日常の営業活動の中で気づいたことを上げてみた。少しでも参考にしていただければ幸いである。

後継者育成~ほめて育てるか鍛えて育てるか 【長屋勝彦】

2012/05/14
長屋 勝彦

 

「やって見せて、言って聞かせて、させて見せ、褒めてやらねば部下は動かじ」山本五十六元帥の言葉である。人は褒められることにより認められたという気持ちになりやる気が出て成長するということであり、管理者研修などでこの言葉を引用する。

 

一方、「谷底から這い上がってきた獅子を育てる」という言葉がある。獅子は生まれてきた子獅子を谷底に落としそこから這い上がってきたものだけを育てるという意味で、甘やかさないで試練を課し育てるということである。

 

どちらの育て方が良いかは一概に言えない。

 

厳しい課題を課し、達成できないと「駄目だ、駄目だ」というやり方では、滅入ってしまい、やる気がなくなり、自信喪失につながる。植物に対しても温かい言葉をかけ育てれば花を咲かせ、身を実らせるが、きつい言葉をかければ成長が止まってしまうということを聞く。

 

会社等の組織の階層が上がるにつれて、褒める、手とり足とりによる指導のみではトップマネジメント層にふさわしい器に育つとは言い難い。厳しい命題、課題を与え、その命題、課題を達成させるための方法を自ら考え、実行させるよう仕向けることが必要である。会社のトップがその地位に着くまで、先人から厳しい試練を受け血のにじむような努力をし、自分自身の経営手法を体得したことを、「私の履歴書等」で読む。

 

事業承継には、公平無私の立場で、会社の存在意義、経営者としてのあるべき姿を自覚させることから

始めていきたい。そして自分自身も原点に還った経営を目指していきたい。

想定外を想定する 【遠藤弘之】

2012/04/16
遠藤 弘之

この言葉は、この3月末頃の新聞などに載った言葉である。
昨年の大震災と原発への対応問題への反省から、国民に今後の意識変革を促す意味があると考えられる。 特に、危機・リスクマネジメントなどに興味のある人たちには考えさせられるところが多い言葉である。
一般に、仕事には、目的があり、それを達成するための策として強み弱みも考える上に、更に色々なリスクも考えていく必要がある。そのリスク発生の可能性・頻度・起きた時の影響度なども出来うる限り客観的に想定し、対応策には優先順位が付けられる。
しかし、優先順位が低いと、費用対効果とか効率性などから、具体的な対応策は計らない場合が多い。が、多少のリスクを意識して、注意を怠らないようにする、つまり観察を継続することが大切になる。民間会社の経験からすると観察する分担を如何にするのかという課題はあるが、観察していこうとする意識があり(想定外に置かない)、少しでも状況変化があれば、優先順位を見直す姿勢があった。従って、リーダーの役割は大変であった。
今回の大震災や原発事故の問題の場合、リスクは認識されていたようである。が、頻度、可能性が低いこともあり、効率性などから想定外に置かれたのではと危惧される。
ここでの問題は、今回の言葉の中で「想定外」は、優先順位がかなり低いリスクを本当に想定外に置いてしまったという判断の扱い方にあるように思う。つまり、限られた資源と時間の使い方に対し、効率という判断が優先されたのではないのか。 
皆さんは、「想定外を想定する」という言葉には、納得される部分も多いとは思うが、何故今回のように想定してしまったのかをもう一度考えてみることも大切なことではないか。

公平性の確保~アポイントは先約優先で~ 【長屋勝彦】

2012/04/09
長屋 勝彦

20代後半の話しである。学生時代に能楽研究会に入り、謡、仕舞に明け暮れていたこともあり会社に入社しても、しばらくは会社の謡曲クラブで謡を続けていた。謡曲クラブでの練習は月に1回、18時頃から会社の厚生寮(四ツ谷)で専門家の先生による指導により行われたが、終了後酒宴となり、それでも満足できない時は2次回に発展することも間々あった。この他、週に1回昼休みを利用して会社の先輩の指導を受けていた。昼休みの練習は他にやることが多く気が進まなかったが、指導をする先輩が直属の上司であり、練習をさぼる訳には行かず、出席率は高い方であった。

 

そんなある日、午前中の就業時間が過ぎたので会社の食堂に行こうとしていた矢先、担当役員の方が、直属の上司に、「藤井君、飯でも食いながら話をしたいことがあるんだけれど」という指示めいた問いかけをされた。これに対し、「今日は食事をしてから謡の練習をする予定がありますので」と上司は答えた。「ああそうか」と言って直属の役員はその場を離れた。

 

当時は高度成長まっただ中であり、仕事優先の時代であった。この話を聞いて以来、その後営業の仕事に携わり、人と接することとなるがが、今日まで公私ともに、先約優先の考えで仕事をしている。

 

直属の上司は社交的タイプの人でなく、どちらかといえば愚直の感じのする、とっつきにくい印象を受けるタイプの人であったが、いまでもこの場面を時々懐かしく思い出す。仕事の面で、お二方とも、洞察力のある方で、物の考え方、見方について多くのことを教わった。

 

今後も、公私の区別なく、人の分け隔てなく、自分の軸がぶれない、凛とした生き方をして行きたい。この考えに賛同し仕事をしている会社時代の後輩、中小企業の社長がおられるのはうれしい限りである。

余談であるが、直属の上司はその後専務を歴任後、関連会社の社長をされた。担当役員の方は京都大学工学部で電気を専攻され方で、後のドル箱製品クレスチン育ての親である。お二方とも鬼籍の人である。

以上

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凡事徹底 【岩本 亨】

2012/04/02
岩本 亨

今日4月2日は、新しい年度が始まり、多くの人にとって最初の出勤日である。東京は良い天気に恵まれ、桜も三分咲き。日経新聞の一面は「景気復調、内需が支え」というTOP記事。震災の影響もあり、漂っていた沈滞ムードが、薄れていくことを祈りたい。

私自身、研修の講師をしていても、コンサル案件で社長と話をしていても、痛感することは「当たり前のことが当たり前にできる」人が、なぜこんなに少ないのか?ということ。逆に言えば、当たり前のこと(凡事)を当たり前にでき(徹底)さえすれば、できるビジネスマンやできる経営者になれる可能性が高いということか?

では、ビジネスマンにとっての「凡事徹底」とは何か? まずは身だしなみをきちんと清潔にすること、あいさつをすること、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)の徹底、約束を守ること・・・。いくら仕事ができても、これらのことができなければ、スタートラインに立つことができない。

身だしなみは、スーツやシャツ・ブラウス、ネクタイや靴下・ストッキング等、服装のことだと思っている人が多い。確かにそれも大切だが、私は「靴」に気を付けている。靴がきれいであれば、その人は信用できると思う。違う意味で使われるが「足元を見る」という言葉もある。靴にまで気配りできる人は、服装全体もきちんとしている。きっと仕事も着実で、成果を上げてくれると期待できる。いささか言い過ぎかもしれないが、少なくとも私自身はそう思っている。

昨日、自分の靴6足を磨いた。たまに家人に頼むこともあるが、自分の靴は自分で磨くのが基本だと考えている。靴に付いているホコリやゴミを落とし、靴クリームをまんべんなく塗り、磨き上げる。プロセスを楽しみながら集中して磨いていると、意識するともなく、仕事について振り返りをしたり、工夫を思いついたり、アイデアが浮かんだりする。次の日、ピカピカの靴を履くと、気分も新たになり、仕事への意欲が湧いてくるのを感じる。

「凡事徹底」は、一つ一つのことは誰にでもできること。自分にとっての「凡事」全てを常にし続けることは非常に難しい。ただし、徹底できていれば、「凡事」一つ一つを実行した効果だけでなく、「凡事」すべてが、「徹底」できていることによる自信が生じ、仕事にもそれが反映されるという好循環が実現できるのであろう。私自身にとっても、目指すべき目標である。