吉田健司
一分間で話せる文字の量は300字から400字といわれている。また、一分間に標準的なスピードで話した時の文字量は270字から300字といわれている。しかしながら、私の場合はもっとゆっくり話す癖があるので、250字以下である。
以前参加していた中小企業診断士の仲間との研究会では、一分間の文字量を意識しながら三分間スピーチのトレーニングを行ったが、話すスピードを標準に近づけるという意味ではまだまだである。
その当時、齋藤孝教授の著書「1分で大切なことを伝える技術」を読んで学んだことがある。
同書では、三分間スピーチより一分間で話すトレーニングを勧めている。齋藤孝教授は三分間だと一分間で話せる中身を三倍に薄めているのではと指摘する。私はなるほどと新鮮な刺激を受けた。この指摘は、「一分間で話せる中身」をコミュニケーション以外の別に言葉におきかえることができると思ったからである。
例えば、
一分間でできる意思決定を三倍に薄めていませんか、
一時間でできる会議を三倍に薄めていませんか、
一日でできる仕事を三倍に薄めていませんか、
などである。
同じ時間でも、その時間の密度は人によって異なる。齋藤孝教授は、「密度感覚」という言葉を使ってそれを説明しているが、働き方改革を考えるうえでも重要な示唆をいただいているように、私は思っている。
同様の示唆を、「カイゼン」で著名な山田日登志氏からいただいている。山田氏の言葉の中にある「稼働時間8時間は2万8800秒と覚えればサイクルタイムがすぐ分かる」というフレーズである(出典:日経トップリーダー2013.1)。私は、この秒単位で考える基本がとても好きである。
一分間を意識する 吉田健司
吉田 健司
一分間で話せる文字の量は300字から400字といわれている。また、一分間に標準的なスピードで話した時の文字量は270字から300字といわれている。しかしながら、私の場合はもっとゆっくり話す癖があるので、250字以下である。
以前参加していた中小企業診断士の仲間との研究会では、一分間の文字量を意識しながら三分間スピーチのトレーニングを行ったが、話すスピードを標準に近づけるという意味ではまだまだである。
その当時、齋藤孝教授の著書「1分で大切なことを伝える技術」を読んで学んだことがある。
同書では、三分間スピーチより一分間で話すトレーニングを勧めている。齋藤孝教授は三分間だと一分間で話せる中身を三倍に薄めているのではと指摘する。私はなるほどと新鮮な刺激を受けた。この指摘は、「一分間で話せる中身」をコミュニケーション以外の別に言葉におきかえることができると思ったからである。
例えば、
一分間でできる意思決定を三倍に薄めていませんか、
一時間でできる会議を三倍に薄めていませんか、
一日でできる仕事を三倍に薄めていませんか、
などである。
同じ時間でも、その時間の密度は人によって異なる。齋藤孝教授は、「密度感覚」という言葉を使ってそれを説明しているが、働き方改革を考えるうえでも重要な示唆をいただいているように、私は思っている。
同様の示唆を、「カイゼン」で著名な山田日登志氏からいただいている。山田氏の言葉の中にある「稼働時間8時間は2万8800秒と覚えればサイクルタイムがすぐ分かる」というフレーズである(出典:日経トップリーダー2013.1)。私は、この秒単位で考える基本がとても好きである。
バーナードの「組織の3要素」に思うこと 吉田健司
吉田 健司
アメリカの経営学者チェスター・バーナードが定義したとされる「組織の3要素」について、私は疑問に思っていたことをそのままにしてきた。
「組織の3要素」とは、組織が成立するために必要な以下の3つの条件のことで、異なる言葉で表現されることがある。
・共通目的、組織目的、共通の目標
・協働意思、貢献意欲、協働意欲
・コミュニケーション
私の疑問は、上記の3要素に順序があるかということである。
バーナードの「組織の要素は、(1)伝達(コミュニケーション)、(2)貢献意欲、(3)共通目的である。」(C.I.バーナード著「新訳 経営者の役割」(山本安次郎・田杉競・飯野春樹訳ダイヤモンド社))という1文が気になっていたのである。
同書は、難解な部分も多くあるため通読するのがやっとで、答えを探しながら読む余裕はこれまでなかった。今年は顧問先での経営管理の研修テキストを作成していたこともあり、組織の3要素に関する部分を、時間をかけて何度も読み返し、(1)伝達(コミュニケーション)、(2)貢献意欲、(3)共通目的の順序は、組織がどの様な時に成立するかという論述における順序であると、やっと理解することができた。
組織は2人以上の協働体系といわれることもあるように、まず複数の人々がいて、そこにコミュニケーションが存在することからはじまるという考えに至り腹落ちした。
こうしてみると3要素の表現や順序は一つの型ではなく、使う側の意図ではないかと思えてくる。私も今まで明確な意図をもって使ってきたかと自省している今日この頃である。
能力開発と労働生産性の関係 吉田健司
吉田 健司
2015年6月のコラムで、2008年中小企業白書の「労働生産性を意識している企業は、意識していない企業に比べて売上高経常利益率が顕著に高い傾向に見られる」という記述を紹介した。この労働生産性(付加価値/ 労働投入)について、平成28年度労働経済の分析(厚生労働省)がテーマに取り上げている。内容で興味深いのは、労働生産性の上昇には、人的資本形成の一つである能力開発が重要であると確認している点であるが、今回は、企業の能力開発への関与のあり方は大切であると、私があらためて認識させられた分析結果を二つ紹介したい。
一つ目は、「OJT の実施とOFF-JT の実施には相乗効果が認められ、両者共に積極的に実施していくことが高い労働生産性を達成するには重要である」という分析である。二つ目は、「企業が積極的に労働者の能力開発に関与しているところほど労働生産性が高い傾向がみられる」という分析である。
企業主体で労働者の能力開発方針を決める場合には、企業の考えにあった訓練が行われ、より効果的な能力開発が行われるというメリットあるとされる。また、従業員一人ひとりの能力・資質を更に高め、能力を最大限発揮させることは、労働生産性の向上のみならず企業の持続的な発展にも寄与するとされる。
この能力開発の考え方について、平成28年度能力開発基本調査(厚生労働省)の調査結果を見ると、正社員に対する能力開発の責任主体については、「企業主体で決定」するとする企業は24.4%( 前回25.3%)、「企業主体で決定に近い」とする企業は51.7%( 前回51.3%) となっている。
平成28年度労働経済の分析では産業別の分析、企業規模別の分析も行われているので、一読をお薦めする。
「サービス労働の生産性」への思い 吉田健司
吉田 健司
前回のコラムで書いた中小企業白書のほかに、私がバックナンバーを大切にしている月刊誌がある。2000年10月から月刊誌となったDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューである。それ以前は隔月刊ダイアモンド・バード・ビジネスであった。私の書斎には1999年9月以降のバックナンバーが揃っている。このバックナンバーは、積読状態の書籍を久しぶりに通読で読み直す私流の再読をこれまで2度行うなど、資料として読みかえすことも多く貴重な情報源である。
最近の掲載論文で興味深かったのは、26年前のピーター・F・ドラッカーの論文である。DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2017年7月号に、「名著論文再掲」として掲載されている。興味を持った理由は、テーマが知識労働やサービス労働の生産性向上だからである。以前コラムにも書いたが、会社勤務時代、製造業の生産管理をサービス業に活かすための創意工夫に取り組んだ経験から、ドラッカーの示す生産性向上のためのステップは共感できることが多く、さらに今まで気が付かなかった示唆を与えてくれた。
1例を紹介すると、ドラッカーは継続学習の必要性を主張している。私には、学習する組織に近づけるために、新たな知識やスキルを習得すること、思考の枠組みや行動様式そのものを変化させることなどをどのように実現すればよいか試行錯誤していた時期がある。また、仕事の目的をより良く達成する手段を選択することや、ムダを排除するために創意工夫することを組織として学習するにはどうしたらよいか試行錯誤していた時期がある。どちらも在職中に満足できる結果を残すことはできなかったと自省している。
今あらためて「訓練の最大の成果は、新しいことを学ぶことではなく、すでにうまくいっていることをさらにうまく行うべく、みずから継続して学習することによってもたらされる。(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2017年7月号)」というドラッカーの言葉に触れて、私の視野がまた少し広がったように感じている。
バックナンバーへの思い 吉田健司
吉田 健司
先日、調べたいことがあり、書棚にある中小企業白書のバックナンバーの目次を読みかえしていて、2006年版、2007年版、2008年版の3年間は、目次に分析テーマ1と分析テーマ2と付記があることに気がついた。
2006年度版の分析テーマは、「東アジア経済との関係深化と中小企業の経営環境変化」と「少子高齢化・人口減少社会における中小企業」、2007年度版は、「地域とともに成長する中小企業」と「経済構造の変化にチャレンジする中小企業」、2008年度版は、「中小企業の生産性の向上に向けて」と「地域経済と中小企業の活性化」である。
各年度の白書の結びを参考にすると、2006年度版では、今後数十年という日本社会の構造的変化が中小企業にもたらす意味を整理し、2007年度版では、「我が国企業の業況が全般として回復する中で、地域や中小企業にその利益が行き渡らないのはなぜか」という視点で議論し、2008版では、中小企業の生産性の現状や地域の中小企業が形成しているネットワークの実態等を示すとともに、中小企業が現在直面している課題の分析を行っている。およそ10年前のこれらの分析と自社、業界、競合、市場などの現状を比べてみるのも面白いかもしれない。
中小企業白書は、中小企業をめぐる動向、中小企業施策、年度のテーマなどで構成されている。中小企業庁のホームページには、バックナンバーが1963年(昭和38年)版から掲載されているので、資料として活用するにはこのホームページで充分である。私も2014年版から購入をやめたが、2000年(平成12年)版から2013年(平成25年)版のバークナンバーを所有しており、書棚でかなりの場所を占めている。必要な時は中小企業庁のホームページで確認できるので、処分しても良いのだが、私にとって、ふと思いついたとき、手にとりページをめくる時間が楽しいため処分できないでいる。