ブログ吉田健司

私は、日ごろ地方自治体の職員研修にかかわる立場から、多くの自治体の人材育成基本方針に目を通してきた。その策定指針(総務省)によると、職員の能力開発については、職員自身が自発的に取り組む自己啓発、職場において上司・先輩等が仕事を通じて行う職場研修(OJT)及び日常の職場を離れた所で実施する職場外研修(Off-JT)の3つが柱とされている。このOJT、OFF-JT、自己啓発は、産業界でもよく知られていると思う。
私も企業で積極的に取り組んできたが、とりわけOJTは難しいと感じていた。職場で仕事を通して部下を指導するといっても、千差万別だからである。OJTは、意味するところを丁寧に説明する必要があり、職場の共通語として使いにくいと感じていた。
ところが最近、厚生労働省能力開発基本調査の新しいデータに目を通していて、OJTを広義と狭義に分ける例があるということに気がつき、自分の勉強不足を自省している。
この能力開発基本調査では、「OJT」と「計画的なOJT」が使われており、用語の解説はそれぞれ次の通りである。
「OJT」とは、日常の業務に就きながら行われる教育訓練のことをいう。直接の上司が、業務の中で作業方法等について、部下に指導することなどがこれに当たる。
「計画的なOJT」とは、日常の業務に就きながら行われる教育訓練(OJT)のうち、教育訓練に関する計画書を作成するなどして教育担当者、対象者、期間、内容などを具体的に定めて、段階的・継続的に実施する教育訓練をいう。例えば、教育訓練計画に基づき、ライン長などが教育訓練担当者として作業方法等について部下に指導することなどが、これに含まれる。
能力開発基本調査では、「重視する教育訓練はOJTかOFF-JTか」、「計画的なOJTの実施状況」というように使い分けられている。
平成27年度の調査では、平成26年度に「計画的なOJT」を正社員に実施している事業所は約59%で、階層別では、新入社員約51%、中堅社員約38%、管理職約25%となっている。
私は、企業で「計画的なOJT」にあたる教育訓練を組織に導入定着させる取り組みを長年行ってきたので、「計画的なOJT」を実施する事業所が毎年増加してほしいと思う。

計画的なOJT 吉田健司

2016/07/25
吉田 健司

私は、日ごろ地方自治体の職員研修にかかわる立場から、多くの自治体の人材育成基本方針に目を通してきた。その策定指針(総務省)によると、職員の能力開発については、職員自身が自発的に取り組む自己啓発、職場において上司・先輩等が仕事を通じて行う職場研修(OJT)及び日常の職場を離れた所で実施する職場外研修(Off-JT)の3つが柱とされている。このOJT、OFF-JT、自己啓発は、産業界でもよく知られていると思う。
私も企業で積極的に取り組んできたが、とりわけOJTは難しいと感じていた。職場で仕事を通して部下を指導するといっても、千差万別だからである。OJTは、意味するところを丁寧に説明する必要があり、職場の共通語として使いにくいと感じていた。
ところが最近、厚生労働省能力開発基本調査の新しいデータに目を通していて、OJTを広義と狭義に分ける例があるということに気がつき、自分の勉強不足を自省している。
この能力開発基本調査では、「OJT」と「計画的なOJT」が使われており、用語の解説はそれぞれ次の通りである。
「OJT」とは、日常の業務に就きながら行われる教育訓練のことをいう。直接の上司が、業務の中で作業方法等について、部下に指導することなどがこれに当たる。
「計画的なOJT」とは、日常の業務に就きながら行われる教育訓練(OJT)のうち、教育訓練に関する計画書を作成するなどして教育担当者、対象者、期間、内容などを具体的に定めて、段階的・継続的に実施する教育訓練をいう。例えば、教育訓練計画に基づき、ライン長などが教育訓練担当者として作業方法等について部下に指導することなどが、これに含まれる。
能力開発基本調査では、「重視する教育訓練はOJTかOFF-JTか」、「計画的なOJTの実施状況」というように使い分けられている。
平成27年度の調査では、平成26年度に「計画的なOJT」を正社員に実施している事業所は約59%で、階層別では、新入社員約51%、中堅社員約38%、管理職約25%となっている。
私は、企業で「計画的なOJT」にあたる教育訓練を組織に導入定着させる取り組みを長年行ってきたので、「計画的なOJT」を実施する事業所が毎年増加してほしいと思う。

カテゴリー:  人材育成, 吉田健司

私の研究会活動  吉田健司

2016/06/27
吉田 健司

私は、中小企業診断士として一般社団法人東京都中小企業診断士協会に会員登録している。協会では様々な活動を行っているが、その一つに研究会活動がある。現在、私は、一般社団法人東京都中小企業診断士協会中央支部の二つの研究会に所属している。インストラクション・スキルアップ研究会(ISU研究会)と代理店ビジネス研究会である。
ISU研究会は、会員同士が切磋琢磨し、プロコンサルタントに求められるコミュニケーション力・プレゼンテーション力・ファシリテーション力を向上させることを目的としている。
代理店ビジネス研究会は、代理店ビジネスに関する実践的コンサルティングとして、以下の研究行うことをテーマにしている。
・代理店に関する業界動向・ビジネスモデル・ビジネスプロセスを解明
・代理店向け診断メソトロジーの研究、及び、診断テンプレートの開発
・トライアル診断として、実践を通じた当研究会の成果検証
この時期の研究会活動における関心事は、何といっても新会員の入会である。うれしいことに、今年はISU研究会も代理店ビジネス研究会も複数の新会員をむかえることができた。新しい仲間との出会いは、人生を豊かにしてくれるように思う。
ISU研究会での活動は、私に知識の深みをもたらしてくれる。また、損害保険会社に37年間お世話になった私にとって、代理店ビジネス研究会での活動は、損害保険業界においてこれから何か貢献できることはないか、考える機会を与えてくれている。どちらの研究会も自己研鑽の場である。
今月、代理店ビジネス研究会にとって新たな慶事があった。出版である。タイトルは「損保代理店 成功の秘訣」、八木田鶴子監修、代理店ビジネス研究会著、出版社は同友館である。私は執筆者ではないが、総合レビューアとして参加した。現役時代から付き合いが続く何人かに読んでもらって、感想を聞くのが楽しみである。

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私の読書習慣2 「三読」 吉田健司

2016/05/23
吉田 健司

以前「私の読書週間」で、読書時間について書いた。今回は、私の読書法「三読」について書きたいと思う。私は、ふたつの「三読」を心がけている。一つ目は、1冊の本についての「三読」である、つまり3回読むことである。私の場合、読書をしている間でも、頭の中に別の記憶がよみがえり、目の前の本に完全に集中できないことが多い。そのため1度目は、何が書いてあって、どんな印象を持ったかという段階で終わってしまう。2度目は、じっくり内容をかみしめながら読む。3度目は、その本の評価をしながら読む。そして、この「三読」の結果で、書斎の本棚におけるその本のポジションが決まるのである。時には1度目でポジションが決まってしまう本もあるが。
二つ目は、時間軸を意識した「三読」、私が名付けた初読、積読、再読である。初読は、最初に本を手に入れた時に読むことである。前に述べたように、この時の読み方は、繰り返しての3度読みである。
積読は、通読しないで置いてある状態のことである。一般的に積読の意味は、本を買うだけ買って、読まないで積んだままにしておくこととされているが、私の積読は、初読後に通読しないで積んだままにしておくことである。積むといっても本棚に整理してある。読まない本をとりあえず買うということはしない。資格受験の参考書をまとめ買いすることもしない。積読状態の本は、参考書的に調べものなどに利用している。また、本棚に並ぶ背表紙を眺めていて、何か思いついたときに手に取ることもある。
再読は、積読状態の本を久しぶりに通読で読み直すことである。読み直すことで新しい発見や気づきがある。テーマを決めてまとめて何冊か読み直すこともあるし、一冊の本を集中的に読み直すこともある。年に一度読み直すと決めている本も何冊かある。
再読では、本の書かれた時期を確認すること、自分が購入した時期を振り返ることを行っている。そのため本の書かれた時代、出版された時期などを、出版の年月日や序文などの年月日でおさえながら読むようにしている。当時と今、本の内容は変わらないけれども、自分が色々な面で変わっているので、その本から伝わってくるものが変化している。少しでも成長のあかしを実感できれば良いのだが、自省することの方が多いように思う。

カテゴリー:  人材育成, 吉田健司

生涯キャリア支援  吉田健司

2016/04/25
吉田 健司

『生涯キャリア支援と企業のあり方に関する研究会』の報告書が、厚生労働省から公表されている(平成19年7月20日発表)。この研究会は、「生涯キャリア支援」をキーワードとして、キャリアの持続的な発展を可能とする条件や、そのための企業を中心とする支援や政策のあり方を探り、今後の職業キャリア支援政策の方向を定めるため設置されたもので、キャリア支援の将来的な課題も含めた、今後の検討課題が明らかにされている。
この報告書の中から、「生涯キャリア支援」の考え方を紹介する。
働く者一人ひとりについて、「ひと」としての多様な活動を可能とし、成長できる働き方を実現していく観点に立って、職業キャリアを将来にわたり「持続可能」かつ「発展性」のあるものとしていくことが必要であり、そのための様々な支援の取組を包括する理念・考え方が、「生涯キャリア支援」の考え方とされている。
そして、「生涯キャリア支援」の観点からのあり方のポイントとして5つ挙げられている。
①過度に企業に依存した職業キャリアや意識から、「自立」できる方向へ支援していくこと。
②長い職業生涯におけるキャリアの転機や節目で、今後のキャリアを考える機会やまとまった能力開発機会などが与えられること。
③失敗しても、教育訓練が受けられることなどにより、再チャレンジできる社会であること。
④働く者個人のライフステージ等に応じて、多様な働き方が柔軟に選択できること。
⑤育児・介護に限らず、広い意味で家庭生活や地域での活動等と調和の取れた働き方(ワーク・ライフ・バランス)が図られること。
 私にとって興味深いのは、上記①に関連した企業の支援である。企業の支援としては、プロフェッショナル人材の育成、「時間の確保・場の提供・力の養成」による「専門軸」の強化、中長期的視点に立ったスキルマネジメントとキャリア支援の専門的体制等が挙げられている。
プロフェッショナル人材の育成は、企業内教育を考えるうえで私が長くテーマにしてきたことである。時間の確保・場の提供・力の養成は、職場の研修計画に組み込み取り組んだことである。そして、各人のスキル目標に従って、育成する計画を立て、自らスキル向上を図ることを支援するスキルマネジメントの概念は、人材育成の実践において意識してきたことである。
この報告書は発表から約9年になるが、重要なキーワードも多く、自身のキャリアを考えるうえでも、参考になると思う。

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平成24年度「能力開発基本調査」について 吉田健司

2016/03/27
吉田 健司

厚生労働省から平成24年度「能力開発基本調査」の取りまとめ結果が、公表されている。平成18年以来毎年実施されている調査で、次の3つの調査で構成されている。
・企業調査:企業の能力開発の方針などを調査
・事業所調査:事業所の教育訓練の実施状況などを調査
・個人調査:労働者の教育訓練の実施状況などを調査

厚生労働省のホームページによると、「能力開発基本調査」の目的は、国内の企業・事業所と労働者の能力開発の実態を、正社員、正社員以外別に明らかにすることである。正社員とは、パートタイム労働者などを除く、雇用期間の定めのない労働者で、正社員以外とは、「嘱託」、「契約社員」、「パートタイム労働者」などの名称で呼ばれている人で派遣労働者と請負労働者は含まれていないと、定義づけられている。

この調査結果の内、事業所調査による人材育成の課題と個人調査による自己啓発の課題について比べてみた。
人材育成に関して何らかの「問題がある」と回答した事業所は68.7%である。問題点として最も多い回答は「指導する人材が不足している」(51.3%)であり、「人材育成を行う時間がない」(44.5%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(40.4%)と続く。
一方、自己啓発について何らかの問題があるとする者は、正社員では79.4%、正社員以外では72.7% となっている。自己啓発における問題の内容( 複数回答) は、正社員では「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」が56.5%で最も高く、「費用がかかりすぎる」(34.4%)、「どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない」( 20.1%)、「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」( 18.5%) などが続いている。正社員以外では「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」( 34.8%)を挙げる割合が最も高く、「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」( 32.5%)、「どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない」( 23.3%)、「自分の目指すべきキャリアがわからない」( 20.9%) などが続いている。
調査結果から、時間的な余裕がないこと、キャリア支援が必要なことなどを認識することができた。自分に足りないスキルをどのように身につけたらいいのかわからない、そもそも自分に必要なスキルがわからないという声も聞こえてきそうである。課題発見、目標設定、実行、状況確認というキャリア開発のサイクルを人材育成の現場でどう実現するか、そのために私自身に何ができるか、あらためて考える機会となった。