人材育成
前回のコラムで紹介した國分康孝氏の著書「カウンセリング心理学入門(PHP新書)」から、私が大きな影響を受けたことがもう一つある。それは、カウンセリング心理学の立場から著者が「部下を育てる」に関して解説し提言している部分である。
職場や研修担当部門の悩みとして、「自分で考えることができない」、「研修後に研修で学んだことが職場で実践されない」などの声を聞いたことがないだろうか。20年ほど前の私は、組織にいてそのような悩みを抱え日々悶々としていた時期があった。
そんな時に、「カウンセリング理論の立場からすると、部下を育てるということは、人生で遭遇する様々な問題に、その都度自分で対処していける人をつくる、ということであり、そのためには、自分で自分の行動を選べる人を育てる能力が、管理職には不可欠である」ことを学んだ。
自分で自分の行動を選べる人とは、心の中に規制がなく自由な人、どのようにしたらよいかわかっており行動に自由がある人のことである。その逆で、心の中に規制があり自由でない人、どのようにしたらよいかわからないため行動に自由がない人は、自分で自分の行動を選べない人といえる。
例えば、自分で考えることができない人にロジカルシンキング研修を実施したとする。その後職場で研修を生かすことのできない人がいる。そのような人は、研修を受けて行動の自由は得たけれども、「とにかく反対されたくない」気持ちがあり自分の行動ができないかもしれない。心の自由は、行動の自由以上に属人的だと思う。一人ひとり違い、場面により違い、タスクで違い、成長の過程でも違いがある。そのため適時適切な指示、アドバイス、サポート、フォロー等をていねいに親身を持って行う必要があると強く感じた。
このようなことを考えた私は、自分で自分の行動を選べる人を育てるために、著者の関連本から、自分の能力や考え方をより良いものにする考え方を学びたいと思った。その時に読んだのは「自分を変える心理学/國分康孝著/PHP文庫/PHP研究所」、「「なりたい自分」になる心理学/國分康孝著/知的生き方文庫/三笠書房 」である。「自分を変える心理学」は、思考・感情・行動が自分を変えるつぼだと述べられており、大変参考になった。
冒頭の大きな影響とは、「管理職として、様々な問題に自分で対処できる能力に磨きをかけ、自分を変える努力を継続することで、部下を育てるスキルを向上していく責務がある」と気づきを得たことである。
自分の行動を選べる人を育てる・・・ 吉田健司
吉田 健司
前回のコラムで紹介した國分康孝氏の著書「カウンセリング心理学入門(PHP新書)」から、私が大きな影響を受けたことがもう一つある。それは、カウンセリング心理学の立場から著者が「部下を育てる」に関して解説し提言している部分である。
職場や研修担当部門の悩みとして、「自分で考えることができない」、「研修後に研修で学んだことが職場で実践されない」などの声を聞いたことがないだろうか。20年ほど前の私は、組織にいてそのような悩みを抱え日々悶々としていた時期があった。
そんな時に、「カウンセリング理論の立場からすると、部下を育てるということは、人生で遭遇する様々な問題に、その都度自分で対処していける人をつくる、ということであり、そのためには、自分で自分の行動を選べる人を育てる能力が、管理職には不可欠である」ことを学んだ。
自分で自分の行動を選べる人とは、心の中に規制がなく自由な人、どのようにしたらよいかわかっており行動に自由がある人のことである。その逆で、心の中に規制があり自由でない人、どのようにしたらよいかわからないため行動に自由がない人は、自分で自分の行動を選べない人といえる。
例えば、自分で考えることができない人にロジカルシンキング研修を実施したとする。その後職場で研修を生かすことのできない人がいる。そのような人は、研修を受けて行動の自由は得たけれども、「とにかく反対されたくない」気持ちがあり自分の行動ができないかもしれない。心の自由は、行動の自由以上に属人的だと思う。一人ひとり違い、場面により違い、タスクで違い、成長の過程でも違いがある。そのため適時適切な指示、アドバイス、サポート、フォロー等をていねいに親身を持って行う必要があると強く感じた。
このようなことを考えた私は、自分で自分の行動を選べる人を育てるために、著者の関連本から、自分の能力や考え方をより良いものにする考え方を学びたいと思った。その時に読んだのは「自分を変える心理学/國分康孝著/PHP文庫/PHP研究所」、「「なりたい自分」になる心理学/國分康孝著/知的生き方文庫/三笠書房 」である。「自分を変える心理学」は、思考・感情・行動が自分を変えるつぼだと述べられており、大変参考になった。
冒頭の大きな影響とは、「管理職として、様々な問題に自分で対処できる能力に磨きをかけ、自分を変える努力を継続することで、部下を育てるスキルを向上していく責務がある」と気づきを得たことである。
~寺子屋研修~長屋 勝彦
長屋 勝彦
日本でも一流の整髪店のリーダー研修を行った。
整髪店は高価格、高品質、多様なサービスにより経営者、芸能人等を対象顧客に営業するピンの部類に属する整髪店(所謂床屋さん)と低価格、短時間仕上げを売り物に営業するキリの部類に属する業者に大別されるが、ピンの部類に属する業者は全体の5%程度に過ぎず、残りの95%の店は合理化の徹底されたカットハウスと所謂トーチャン・カーチャンで行う家内工業的色彩の濃い店である。
今回の対象企業はピンの部類に属し東京都内では日本橋、青山等に店舗を構える所謂ピンの部類に属する店の店長(店長候補)で年齢は20歳~30歳代前半の男性・女性社員の方である。
初日という事で、開始に当って自己紹介の意味で受講生の方の将来ビジョン、研修に対する心構えを話してもらった。ビジョンとして将来は当店の様な店(ピンの部類の店)を開業したい方、ヘヤーデザイナーとして開業したい方が多かった。
今回の研修テーマはマーケティングマネージメントでサービス業のマーケティング、店長としてのマネージメントを内容とするものである。
初回はマネージメントについて経営の在り方、店長のリーダーとしての役割について話した。
マーケティングについては3回目以降でコトラーのいう三つのマーケティング(インターナルマーケティング、インターラプティブマーケティング、エクスターナルマーケティング)を整髪業に翻訳した内容に話そうと考えている。
研修の仕方は双方型方式で考える研修、気づきを得る研修で、例えば、コミュニケーションの一つである上手な話の聴き方について相手の立場にたった聴き方としてどのような聴き方をすればよいか、相手方とのコミュニケーションの中で相手を傷つけたことはないか、その場合どうしてそのようなことになったのかといった問題を提起し、受講者の方に話し合ってもらうという方式の研修である。
受講者の方は独立開業し、この道のエキスパートとして生きていこうとする方が多く、研修開始時間は店が終わってからの夜9時半開始であったが終業後の疲れを感じさせない、熱心な質疑があり、11時に終了した。
最初、この話をいただいたとき研修時間についておどろいたが、研修を終えたときは、志の強い、若い方にエネルギーをもらったような感じであった。
翻って、今回の研修は、やる気のある人、企業の成長支援を自分自身のビジョンを具現化した研修であり自分自身にとっても有意義であった。
当研修は、マーケティングマネージメントに続いて戦略策定・実行研修、計数力向上研修と続くが、この先、意欲のある若い人との出会いとその成長振りを見るのが楽しみである。
以上
心の教育への思いが中国古典を学ぶ動機に・・・ 吉田健司
吉田 健司
私は、社会人になって中国古典百語百話(PHP研究所)を読み、多くのことを学んだ。そして百語百話に刺激を受けて、岩波文庫の古代中国の古典を何年もかけて読破した。原文である漢文を読むことは難しいが、読み下し文、現代文(口語訳)、解説を読むことで基礎的な理解は得られる。当時私が読んだ本は、論語、大学・中庸、易経、春秋左氏伝、孟子、孫子、荘子、荀子、列子、韓非子、史記列伝、史記世家などで、蔵書は30冊を超えている。
最も再読した韓非子は、中国古代の法家の思想を伝える書とされるが、人間学の書としても興味深い内容である。企業の中間管理職の立場にあった私は、口語訳を読むだけでは物足りず、漢文を読むことにチャレンジした。まず、高校生用の漢文の参考書を買い求め、漢文を勉強し直した。その後、約1年かけて朝の通勤電車の中で読み切った。このころから中国の古典だけでなく、古代中国の歴史や考古学的な資料にも関心を深めるようになった。
岩波文庫の後は、古代中国に関する講談社学術文庫を読むようになった。講談社学術文庫の蔵書も30冊を超えている。さらには、明徳出版社の中国古典新書、明治書院の新書漢文大系、平凡社の東洋文庫、中公新書、徳間書店の中国の思想、プレジデント社の武経七書、講談社の中国の歴史、その他いくつかの文庫、新書などから興味を持った本を読んできた。
また、古代中国を舞台に数多くの小説を執筆されている宮城谷昌光氏の愛読者であり、何度も読み返す作品も多い。最近では、異なる作品であっても、地理的関係と時の流れを総合して登場する国・地域や人物をイメージできるようになり、新たな世界を楽しんでいる。
國分康孝氏は著書「カウンセリング心理学入門(PHP新書)」で、「心の教育とは思考(考え方)の教育、感情(感じ方)の教育、行動の仕方の教育の三つの総称である。」と述べている。20年ほど前になるが、新たな組織づくりや人材育成に責任ある立場にいた私は、心理学の入門書や文庫、新書を読み、企業人が自己啓発として学ぶべき心理学を考えていた。そんな時に心の教育の大切さを学び、その思いが中国古典を学ぶ動機につながったと、長年積読状態の「カウンセリング心理学入門」を読み返して新たな気づきを得た今日この頃である。
生産性向上支援訓練について 吉田健司
吉田 健司
生産性向上支援訓練をご存じだろうか。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページによると、生産性向上支援訓練とは、企業や事業主団体の生産性の向上を支援するための職業訓練である。訓練は、全国のポリテクセンターに設置した生産性向上人材育成支援センター(生産性センター)が、専門的な知見やノウハウを持つ民間機関等に委託し、企業・団体のニーズや課題にあわせて実施している。
この制度は人材育成に有効活用できる可能性があるので、高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページを確認することをおすすめする。
私は社会人生活を東京でスタートさせたが、業界団体の主催する様々な学ぶ機会が用意されており、その気になれば多くのことを効率的に自ら学ぶことができ、恵まれた環境だった。
会社においても、社外の通信教育講座を受講する制度が充実しており、20代の頃から、毎年1科目は通信研修を受講すると決めて取り組んでいた。「企画力開発実践コース」、「時代の読み方21コース」、「戦略手法を学ぶ・新市場戦略コース」、「課題解決のための企画力強化コース」、「金融と経済に強くなるコース」、「ビジュアル表現入門コース」などは、日常の仕事に役立ったと思う。
中小企業診断士として様々な企業や組織の人材育成に関心を持ち、日々過ごしている私の目から見て、もっと学ぶ機会を得られれば成長する人は多い。機会が増えれば、学ぶことの意味や必要性を理解し、自ら学ぶ、いわゆる自己啓発に取り組む気持ちが育まれていくと思う。
多くの企業や組織の経営者(経営メンバー)が生産性向上支援訓練の制度を学び、組織をあげて人材育成を強化することは、仕事と生活の調和の実現にも寄与するのではと思う今日この頃である。
2018年度版中小企業白書の「人材育成の取組の現状」を読む 吉田健司
吉田 健司
2018年度版中小企業白書の「人材育成の取組の現状」ではOJT、OFF-JT、自己啓発について次のように説明している。企業による従業員の育成の手段のうち、「OJT」は日常の業務に就きながら行われる教育訓練であり、「OFF-JT」は業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練(研修)である。また、労働者が職業生活を継続するために、職業に関する能力を自発的に開発し向上させるために行う「自己啓発」の費用の支援も企業による従業員の育成の方法として考えられる。
「OJT」と「OFF-JT」の実態は次の通りである。
企業がOJTとOFF-JT のいずれを重視しているかについては、「OJT を重視する」および「OJT を重視するに近い」の回答が大半を占めている。また、「OFF-JT を重視するに近い」、「OFF-JT を重視する」についても、双方の回答を合わせると20%を超えている。
「OFF-JT」を重視する企業も一定数存在するが、「OJT」を重視している傾向は変わらないようである。
では、「OJT」はうまくいっているのであろうか。
「OJT」を日常の業務の中で、従業員に仕事を効果的に覚えてもらうために行っている取組とした調査によると、最も回答割合が高い取り組みは「とにかく実践させ、経験させる」である。「うまくいっている」は62.3%、「うまくいっていない」は62.9%となっている。
また、「仕事のやり方を実際に見せている」は、「うまくいっている」が60.0%、「うまくいっていない」が51.2%、「仕事について相談に乗ったり、助言している」は、「うまくいっている」が56.4%、「うまくいっていない」が42.7%となっている。これらの取り組みは「うまくいっている」と感じている企業の割合が高い。
これらの結果から私が感じるのは、日常の職場でのコミュニケーションの大切さである。互いに意思や感情、思考を伝達し合うことの奥は深いと感じる今日この頃である。