産業学
新規開拓営業に役立つコミュニケーションスキルについて4回シリーズでお伝えしております。
その1.まずは見た目から
その2.挨拶と名刺交換
その3.聞き方
その4.話し方
第2回目は「挨拶と名刺交換」です。第一印象というのは、とても大切ですね。一度“この人は○○な人だ”と思われたら、良くも悪くもそのイメージは付いて回ります。勿論、商談の中身が伴わなければ意味はないですが、良い印象を与えておくにこしたことはありません。
前回は“見た目”ということで、身だしなみについてお伝えいたしました。今回は最初の挨拶・名刺交換の場面をイメージしています。
初めて会う方に、みなさんはどのような挨拶をされていますか?
「こんにちは」「失礼します」
第一声は爽やかに発しましょう。元気よくハッキリと発音することが大切ですが、大声を出し過ぎると、かえって迷惑になります。時々、ただ元気が良いだけの人を見かけますが、これが通用するのは20代前半までですので、気を付けましょう。営業の上級者になると、相手の雰囲気に合わせて声色や表情を変えて対応することができる人もいます。しかし、これには高度な技術を要します。
不慣れな方は、とりあえず“清潔感”を意識するとハズレがありません。
○:清潔な人=しっかりした人=信頼できる人
×:不潔な人=だらしない人=信用できない人
人間というのは、見た目の雰囲気に加え、話し方や声色によっても相手の人物像を判断しようとします。
では、“清潔感”はどのように表現したら良いのでしょうか。
・言葉づかいが正しく、明瞭であること
・礼儀正しく、明朗であること
・機敏な所作
個人差はあるかもしれませんが、これらを意識していれば、概ね“清潔感”が醸成されることでしょう。
第一声で爽やかな風を送ることができたら、続いて名刺交換です。
名刺交換は、意外に正しくできていない人が多いですね。
まずは基本編です。
・自分の名刺を渡すときは片手で「○○と申します」
・相手の名刺を受取るときは両手で「頂戴いたします」
“自己紹介は己から”が基本ですので、自分の名刺を先に差し出すのが基本ですが、当然相手も同様の教育を受けています。ですので大抵は“同時に交換”することになります。ここで気を付けたいのが名刺の高さです。相手の名刺よりも少しだけ低く差し出すのが礼儀とされています。
しかし、ここでも同様に先方が自分より低く名刺を出してくることがあります。営業職同士の名刺交換では、時折“名刺の低くし合い”が繰り広げられることもあります。そんな時は「高い位置から失礼します」と先に渡してしまうか、「お先に失礼します」と“同時交換”ではなく、先方の名刺を先に受取り、後から自分の名刺を差し出すことで、“高低差”を解消するという方法があります。
名刺交換の後、実はここからが大事です。
名刺というものは、その人の分身です。粗略に扱ってはなりません。名刺を頂戴したら、相手の名刺は自分の名刺入れの上に載せた状態で両手で持ちます。このとき名刺の高さは腰から上、できれば胸元(心臓)の高さで持つようにしましょう。これは“とても貴重なものを頂戴した”という気持ちを全身で表わしています。
着席後は、そのまま名刺入れの上に載せた状態で左前に置きます。何故左前なのか?というのは諸説ありますが、一般的には右利きの人が多く、メモ書きをする際に「相手の名前を直ぐに確認できるように」或いは「手を動かした拍子に相手の名刺を弾いたりしないように」などと言われています。何れにしても“先方に失礼の無いように”ということを意識しての行動ですので、資料を使っての説明等の際はで名刺が埋もれないように、そっと横に避けたり位置を変えるのがマナーです。
また、相手の名刺に日付や場所、特徴等を書き込んでしまう人が居ますが、あまり感心できません。名刺はその人の分身です。相手の顔に直接落書きをするようなものですので、控えた方が賢明ですね。
顧客情報の管理に関しては、別の機会にお伝えしたいと思いますが、名刺記載の情報に加え、顧客訪問履歴等は顧客管理台帳を整備して記録することをお勧めします。
今回お伝えした内容は、何れも基本的なことばかりですが、意外にできていない方が多いです。その分、きちんと対応される方は相手に良い印象を残すことができます。何事も基本が大事ということですね。
次回は、聞き方についてお伝えいたします。
その1.まずは見た目から << その2.挨拶と名刺交換
新規開拓営業に役立つコミュニケーションスキル その2~挨拶と名刺交換~【産業 学】
産業 学
新規開拓営業に役立つコミュニケーションスキルについて4回シリーズでお伝えしております。
その1.まずは見た目から
その2.挨拶と名刺交換
その3.聞き方
その4.話し方
第2回目は「挨拶と名刺交換」です。第一印象というのは、とても大切ですね。一度“この人は○○な人だ”と思われたら、良くも悪くもそのイメージは付いて回ります。勿論、商談の中身が伴わなければ意味はないですが、良い印象を与えておくにこしたことはありません。
前回は“見た目”ということで、身だしなみについてお伝えいたしました。今回は最初の挨拶・名刺交換の場面をイメージしています。
初めて会う方に、みなさんはどのような挨拶をされていますか?
「こんにちは」「失礼します」
第一声は爽やかに発しましょう。元気よくハッキリと発音することが大切ですが、大声を出し過ぎると、かえって迷惑になります。時々、ただ元気が良いだけの人を見かけますが、これが通用するのは20代前半までですので、気を付けましょう。営業の上級者になると、相手の雰囲気に合わせて声色や表情を変えて対応することができる人もいます。しかし、これには高度な技術を要します。
不慣れな方は、とりあえず“清潔感”を意識するとハズレがありません。
○:清潔な人=しっかりした人=信頼できる人
×:不潔な人=だらしない人=信用できない人
人間というのは、見た目の雰囲気に加え、話し方や声色によっても相手の人物像を判断しようとします。
では、“清潔感”はどのように表現したら良いのでしょうか。
・言葉づかいが正しく、明瞭であること
・礼儀正しく、明朗であること
・機敏な所作
個人差はあるかもしれませんが、これらを意識していれば、概ね“清潔感”が醸成されることでしょう。
第一声で爽やかな風を送ることができたら、続いて名刺交換です。
名刺交換は、意外に正しくできていない人が多いですね。
まずは基本編です。
・自分の名刺を渡すときは片手で「○○と申します」
・相手の名刺を受取るときは両手で「頂戴いたします」
“自己紹介は己から”が基本ですので、自分の名刺を先に差し出すのが基本ですが、当然相手も同様の教育を受けています。ですので大抵は“同時に交換”することになります。ここで気を付けたいのが名刺の高さです。相手の名刺よりも少しだけ低く差し出すのが礼儀とされています。
しかし、ここでも同様に先方が自分より低く名刺を出してくることがあります。営業職同士の名刺交換では、時折“名刺の低くし合い”が繰り広げられることもあります。そんな時は「高い位置から失礼します」と先に渡してしまうか、「お先に失礼します」と“同時交換”ではなく、先方の名刺を先に受取り、後から自分の名刺を差し出すことで、“高低差”を解消するという方法があります。
名刺交換の後、実はここからが大事です。
名刺というものは、その人の分身です。粗略に扱ってはなりません。名刺を頂戴したら、相手の名刺は自分の名刺入れの上に載せた状態で両手で持ちます。このとき名刺の高さは腰から上、できれば胸元(心臓)の高さで持つようにしましょう。これは“とても貴重なものを頂戴した”という気持ちを全身で表わしています。
着席後は、そのまま名刺入れの上に載せた状態で左前に置きます。何故左前なのか?というのは諸説ありますが、一般的には右利きの人が多く、メモ書きをする際に「相手の名前を直ぐに確認できるように」或いは「手を動かした拍子に相手の名刺を弾いたりしないように」などと言われています。何れにしても“先方に失礼の無いように”ということを意識しての行動ですので、資料を使っての説明等の際はで名刺が埋もれないように、そっと横に避けたり位置を変えるのがマナーです。
また、相手の名刺に日付や場所、特徴等を書き込んでしまう人が居ますが、あまり感心できません。名刺はその人の分身です。相手の顔に直接落書きをするようなものですので、控えた方が賢明ですね。
顧客情報の管理に関しては、別の機会にお伝えしたいと思いますが、名刺記載の情報に加え、顧客訪問履歴等は顧客管理台帳を整備して記録することをお勧めします。
今回お伝えした内容は、何れも基本的なことばかりですが、意外にできていない方が多いです。その分、きちんと対応される方は相手に良い印象を残すことができます。何事も基本が大事ということですね。
次回は、聞き方についてお伝えいたします。
その1.まずは見た目から << その2.挨拶と名刺交換
新規開拓営業に役立つコミュニケーションスキル その1~まずは見た目から~【産業 学】
産業 学
新規開拓営業に役立つコミュニケーションスキルについて4回シリーズでお伝えしたいと思います。
その3.聞き方
その4.話し方
第1回目は「見た目」です。人間には外見で相手を判断してしまう、という習性があります。これは『新規開拓営業のコツ その3.初回精査』でも触れましたが、俗に“メラビアンの法則”と言われているものです。
アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが、人の行動が相手にどのような影響を及ぼすか、という実験をしたところ、言語情報7%、聴覚情報38%、視覚情報55%という法則を導き出したこと起因しています。
この実験結果から転じて、最近では「人は見かけで相手を判断する=メラビアンの法則」と言われるようになっていますが、本来の実験の趣旨とはやや解釈が異なります。
とは言え、話し手の身なりや話し方が相手に与える影響が大きい、というのは疑う余地もありません。特に“身だしなみ”に関しては、意識すれば誰でも直ぐにできることなので、実践しない手はないですね。
別に、高価なブランド物のスーツを着ろ、とか、高級腕時計をしろ、とかいうのではありません。清潔感のある服装をする。具体的には、スーツやYシャツにシワがないか?Yシャツに汚れはないか?ネクタイは奇麗に結べているか?靴は磨いてあるか?等がチェックポイントです。
昔と比べ、現在は男性の服装もバリエーションが増えてきました。Yシャツはカラーシャツを着る方が増えていますが、彩りには気を配りたいですね。たまに、スーツもYシャツもネクタイも同系色、という方を見かけますが、避けた方が良いですね。ネクタイの色ひとつで、顔立ちが変わって見えますので、新規訪問・リピート・クローズと場面によって使い分けたいところです。
次回は、挨拶と名刺交換についてお伝えいたします。
新規開拓営業のコツ その6~アフターフォロー~【産業 学】
産業 学
6回シリーズでお届けする“新規開拓営業のコツ”。最終回の第6回目は『アフターフォロー』についてご説明いたします。
その1.事前準備
その2.アポイントの取り方
その3.初回精査
その4.2回目以降の訪問
その5.クロージング
その6.アフターフォロー
苦労の末、ようやく案件も締結できて、営業マンの仕事はこれでお終い。と思って気を抜いてはいけません。顧客満足の高低は、アフターフォローの有無で大きく異なります。では何故顧客にご満足いただく必要があるのでしょうか?“売れればそれで良い”などと考えている方はいないと思いますが、念のため確認です。それは顧客の満足こそが、次なる新規顧客開拓に繋がる第一歩だからです。
言葉としては良く聞きますが、実際“満足”とはどういう状態なのでしょうか。
商品を導入する前の状態(期待値)と導入後の状態(実感した価値)を比べたとき、後者が前者を上回った場合、顧客は“満足”していると言えます。“期待値>実感した価値”のときは勿論、“期待値=実感した価値”でも“満足”にはなりません。すなわち“不満”です。
では、どうしたら“期待値<実感した価値”となりうるのでしょうか。
分かり易いパターンは次の2つです。
①そもそも、それほど期待していなかったが、使ってみたら存外良かった
②相応に期待していたが、それ以上に良かった。
①に関しては、そもそも期待値が低いわけですから、その値を上回るのは容易に思えます。しかし、それだけ期待値が低い状態で購入に至るでしょうか。“期待していないけど買う”というのは、大して欲しくもないモノに金を払うわけですから、よっぽど安いのか、或いは資金的な余裕があるのかですね。このような状況を期待するのは、現実的ではありません。
そうすると、大抵の場合②ということになりますが、これはこれで難しいものです。
自らが説明して、顧客に納得していただいて、購入時に顧客が期待した以上の価値を実感してもらわないといけないわけですから。
では、どうしたら良いのでしょうか。
a.顧客の期待値と想定しうる顧客の実感する価値との差を予め埋めておく
b.クレームが生じたときの対処法を講じておく
c.クレーム発生時には迅速に対応する
の3点ですね。いきなりクレームという、やや後ろ向きな言葉がでてきましたが、クレームは顧客からの貴重なご意見ですので、対応次第で満足度も向上します。順を追ってご説明しましょう。
a.顧客の期待値と想定しうる顧客の実感する価値との差を予め埋めておく
そんなことできるのか?と言われそうですが、不可能ではありません。言い換えると、顧客の期待値を予め数値化しておくといこうことです。前回、クロージングの際には当該商品導入時の顧客便益や成功事例を数値を使って具体的に説明することが大切と説明しました。このときに、“御社の場合”という数値を具体的にシミュレーションして提示するのです。提示したその数値が判断の基準になりますので、数値達成⇒満足、数値未達成⇒不満足ということができます。当初の商談では会話に挙がらなかったような話が後から出てくることもあります。“そんなことは聞いていない”と突っぱねたい気持ちも分かりますが、そういうときは相手も感情的になっています。まずはじっくり相手の話を聞いて、“当初はこのようにお話しされていましたね。○○の数値はこの様に達成して改善も見えていると思います”などと、一旦は引いておいて、その後、理と礼を尽くして説いていけば、状況も見えてくるはずです。もっとも、大前提としてシミュレーションの数値を達成していなければならないですが、それは次でご説明します。
b.クレームが生じたときの対処法を講じておく
こう書くと、“最初からクレームが出ると思って仕事をしているのか?!”とお叱りを受けそうですが、クレームというのは大なり小なりあるものです。大事なのはその時の対応方法です。過去にあった問い合わせやクレームとその対応結果を整理しておくと良いでしょう。
実は、いわゆるクレームは、ほんの些細なことをきっかけとして生まれることが多いのです。最初はちょっとした問い合わせや意見だったものが、その時の対応がいい加減で大きなクレームになることが少なくありません。逆に、顧客の意見を酌みとって真摯に対応すると大変感謝され、満足度が上がります。“クレームも対応次第で感謝の言葉”とはこのことですね。
c.クレーム発生時には迅速に対応する
これも当然のことなのですが、人はマイナスの事象からは目を逸らしたいものです。クレームも同様です。できれば逃げ出したい、そんな気分に追いやられることもあるでしょう。しかし、前述の通り、クレームは初期対応が非常に重要です。臆せずに迅速に対応しましょう。
顧客にとって“モノを買う”という行為は、契約をしたり代金を支払ったりという、その瞬間だけではありません。事前の調査や営業マンとのやり取り、購入後の一定期間も全部含めた活動が、“買い物”なのです。購入した商品そのモノに対する満足度が低かったとしても、事前事後の対応如何では、顧客満足度を高めることは十分に可能です。
冒頭に、“顧客の満足こそが、次なる新規顧客開拓に繋がる第一歩”と申し上げました。一連の購買活動を通して満足した顧客は、その喜びを周囲の人間に触れて回ります。いうなれば、あなたの営業マンとして活動してくれるのです。最近、多くのサイトで“口コミ”による評価が流行っていまるのが良い例です。これは個人の消費に限らず、企業経営者の同業者同士でも同様の情報交換がなされています。“悪事千里を走る”の諺どおり、悪い噂の方が勢いよく伝達されます。
“何よりも顧客のために”を意識した営業活動で、満足度を高め、顧客を味方につけることが望ましいですね。
6回シリーズでお届けしてきました“新規開拓営業のコツ”はこれで終了です。
いずれも極めて一般的で基本的な内容だったと思います。しかし、残念ながら多くの営業マンがこれら基本的事項ができていません。数字を意識し過ぎて功を焦ると、忘れがちなことばかりですが、逆に一つひとつ押さえていけば、目に見えて成果として顕れることでしょう。
次月以降では、営業現場で役立つコミュニケーションスキルについて説明していきたいと思います。
新規開拓営業のコツ その5~クロージング~【産業 学】
産業 学
6回シリーズでお届けする“新規開拓営業のコツ”。第5回目は『クロージング』についてご説明いたします。
その1.事前準備
その2.アポイントの取り方
その3.初回精査
その4.2回目以降の訪問
その5.クロージング
その6.アフターフォロー
初回精査から、数回の面談を経て、顧客のニーズが十分に把握できたら、案件の締結に向けて話の舵を切るわけです。これがクロージングです。クロージングにおける小手先のテクニックは幾つかありますが、それよりも押さえておきたい大きなポイントが4つあります。
それは、
1.顧客便益
2.成功事例
3.比較優位
4.商品機能
の4つです。これら4つの要素は、クロージングに至るまでに顧客にしっかりとご認識いただく必要があります。
1.顧客便益
顧客が自社の商品・サービスを利用することで得られる便益を指します。ベネフィットとかメリットという言葉の方が耳馴染みが良いかもしれません。営業マンが自社の商品を売り込もうとすると、とかく商品の機能説明に走りがちです。しかし、これはあまり意味がありません。当該商品に興味のない状態で、いくら機能の説明をされようと、うるさく思われるだけですし、逆に興味があれば、自身でインターネット等から情報を仕入れたり、積極的に質問したりするでしょう。
営業マンがもっとも顧客に伝えなければならないのは、顧客便益です。自社の商品を利用することで、どんな便益が得られるのか、可能な限り具体的に提示しましょう。
・顧客が抱えている問題点を解消する
・導入による費用対効果が大きい
・顧客の将来的な夢を語る
の3点が分かり易い例ですね。自社の商品を導入することにより、顧客の問題点が解消でき、問題が解決されるのであれば、あるいはその可能性が大いに期待できるのであれば、顧客は商品の導入を真剣に検討することになるでしょう。また、現状にそれほどの不満を感じていない場合でも、導入後に費用対効果が明確に得られるような提案であれば、やはり導入に際して前向きに検討することになります。顧客の夢を語るというのは、“御社(あなた)の将来像を共に考えます”というようなもので、将来的な便益を伝えるのみならず、相手に親近感を与え、売り手と買い手との間のコンフリクトを取り払ってしまうという効果が期待できます。ただし、言い回しによっては非常に胡散臭くなってしまうので要注意です。
2.成功事例
いくら便益を示したところで、人間というのは疑り深いものです。或いは、会社組織では、担当者の一存で決められる事項は決して多くなく、上司・上層部の承認を得なければ、ことが進まないということも多々あります。特に、他者に説明を要する場合、“○○で導入していて成果が出ているから”とか“○○では○%の費用削減に成功した”等の成功事例は、非常に分かり易い説得材料です。事例を説明するときには、極力具体的に、数字を使って説明すると効果的です。
『○○社で○%の売上アップ』『○○社で○%のコスト削減』等ですね。
3.比較優位
顧客は、当該商品に興味を示すと、類似の他社商品の調査も合わせて開始します。“導入メリットは分かった。確かに成功事例もある。だが本当にこの会社の商品で良いのか?他社でもっと良いモノがあるのではないか?”といった具合に、競合商品との比較検討をするのです。
ですので、先手を打って競合との比較優位をこちらから伝えてしまうのです。このときに大切なのが、“主観的になりすぎないこと”です。そりゃ自社の商品ですから他社より優れていると言いたい気持ちは分かるのですが、オーバートークは厳禁です。かえって顧客の信頼を失います。『△△の点では劣っているが、御社の必要とされている○○に関しては当社の方が優れています』と正直に伝えることで、“この営業マンは嘘をつかない。信頼できる”という印象を与えることができます。顧客が何を必要としていて、何をそれほど重要視していないかは、ヒアリング段階で精査しておくべき事項です。
4.商品機能
繰り返しになりますが、営業マンは自社の商品・サービスを説明したがります。しかし、これはあまり効果がありません。機能の説明というのは、あくまで確認です。上記の3つに関して十分理解が得らた状態で、それを証明するための材料として機能の説明をするのです。終始商品説明だけするような営業トークは避けた方が賢明です。
クロージングにおける重要な要素として、4つをご説明いたしました。“あれ?価格は伝えないの?”と思われるかもしれません。当然価格も説明します。費用対効果の説明では購入価格が分からなければ、話が伝わりません。しかし、クロージングの要素として重要かと言えば、必ずしもそうではありません。価格を伝えるのは最後で良いのです。数字と言うのはとてもインパクトがあります。事例や他社比較等は極力数字を使って説明した方が良いですが、最初から価格を伝えてしまうと、価格の印象のみが強烈に残り、全て価格を基準に判断されてしまいます。自社で扱っている商品・サービスに圧倒的な価格優位性があるのであれば、それもまた良いでしょう。しかしながら、価格による優位性というのは、最も脆いです。当社を凌ぐ資本力を持つ他社が参入してきた時点で、直ぐに崩壊してしまいます。また、単なる価格競争を続けていくと、結果同業同士で足の引っ張り合いをするだけで、業界全体が疲弊してしまいます。長い目で見ても得策とは言えません。
“安く売ることが顧客にとって一番良い”というとんでもない勘違いをしている営業マンが残念ながら結構いますが、価格の安い・高いは顧客の価値基準により異なるもので、絶対的な額ではありません。定価で買っても安いと思う人もいれば、半値でも高いと思う人もいるのです。
営業の基本は、顧客のニーズを十分に把握し、顧客が真に望むものを適正価格で提供することです。
次回はシリーズ最終回『アフターフォロー』です。
その4.2回目以降の訪問 << その5.クロージング >> その6.アフターフォロー
新規開拓営業のコツ その4~2回目以降の訪問~【産業 学】
産業 学
6回シリーズでお届けする“新規開拓営業のコツ”。第4回目は『2回目以降の訪問』についてご説明いたします
。
その1.事前準備
その2.アポイントの取り方
その3.初回精査
その4.2回目以降の訪問
その5.クロージング
その6.アフターフォロー
新規開拓営業の難しさは、実はこの2回目以降の訪問にあります。そう言うと、“え?アポ取る方が難しいんじゃない?”と意外に思われるかもしれません。確かに新規でアポイントを取るのは慣れない方には骨の折れる仕事ですが、2回目以降の訪問にはそれ以上の難しさがあるのです。その理由として次の3点が挙げられます。
1.ある程度先方が納得する提案を持参しなければならない
2.同じ話をしても飽きられてしまう
3.営業マンとして確実な成果が求められる
1つ目は、少し微妙な表現をしていますが、要は“的外れな話をしない”ということですね。初回精査の回でも触れましたが、営業マンは訪問を重ねるたびに、顧客の情報を引き出さなければなりません。そのためには、“この人は当社(私)に有益な情報を持っている”と相手に感じてもらう必要があります。自社に有益な人間と評価されれば、時間を割いて会ってもらうことも可能ですし、“会っても時間の無駄”と判断されれば、もう二度とお会いいただけないでしょう。
的外れな会話をしないために大切なのは、やはり事前準備です。初回精査で仕入れた情報を基に、類似の成功事例を踏まえ、提案事項を複数用意しておきます。ここで重要なのは、数パターンの提案を用意しておくことです。用意するといっても、全パターンの提案書を用意する必要はありません。最初に出した提案が先方の意図から外れてしまった場合を想定して、予め別ルートを用意しておくのです。当所の提案から軌道修正をして、次回のアポイントに繋げられれば、その面談は成功と言えるでしょう。
2つ目はそのままですね。どんなに良い話をしていても、毎回話の内容が同じでは、聞く方も『またその話か』と飽きてしまいます。勿論、商談の内容によっては、時間をかけて何度も説明し、徐々に理解を深めていただく必要がある、というケースもあります。しかし、そういった場合でも、事例等の紹介については、異なる題材を使ったり、同じ題材でも違う切り口で説明したりする工夫をしたほうが効果的です。
3つ目は一見当然のことなのですが、見落としがちなポイントがあります。受注額100万円の案件を3回の商談で成約した営業マンと、成約まで100回の商談を重ねた営業マンとでは、どちらが優れた営業マンでしょうか?答えは前者ですね。確かに、訪問回数を重ねて顧客からの信頼を得ることは大切ですが、その分営業コストが嵩みます。営業コストとは単に交通費とか販促費とか、そういった類のものだけではありません。顧客との商談時間は勿論、往復の移動時間や書類作成の時間等、その顧客に注いだ時間の全てに当該営業マンの人件費が費やされています。とかく、営業マンはこの営業コストを忘れがちです。商談を重ねるたびに費用が発生しているという認識をしなければなりません。“売れれば良い”などという考えは、もってのほかです。
とは言え、そうそう簡単に成約に至らないところが、営業の難しいところでもあり、面白いところです。ある程度、戦略的に時間をかけて落とさないといけない案件もあります。今回申し上げたかったのは、『成約前の顧客と継続的に会うには次に繋げるための提案とコスト意識が必要』ということです。
次回はいよいよ『クロージング(案件の締結)』です。
その3.初回精査 << その4.2回目以降の訪問 >> その5.クロージング