リーダーシップ
3月初めのNHKテレビ「プロフェッショナル仕事の流儀」という番組で、宮城県秋保温泉にある「主婦の店 さいち」というスーパーマーケットを紹介していた。題して「二人の約束 魂の惣菜 食品スーパー経営者/佐藤啓二・澄子」。
自家製おはぎを1日平均5,000個売る店。今までの最高は25,000個とのこと。お総菜や弁当も自家製でおいしそうだった。社長と専務のご夫妻がスーパーマーケットに業態展開し、価格競争に疲れ果て、経営危機を乗り越えてたどり着いた今の経営方針。安売り競争するのではなく、お客さんに喜んでもらえるオリジナルなものを提供すること。
先週、義父の三回忌で岩手に行く予定があったので、仙台で途中下車し、レンタカーでお店を見に行った。おはぎの棚の前には人だかりができていた。その手前に陳列されているお惣菜はみんなおいしそうで、しかも安い。個食に対応して一人分の惣菜が100円~売っている。お弁当やちらしずしも魅力的だった。
店で販売されていた「惣菜弁当の殿堂 味付けは親心、盛り付けは活け花の心得 主婦の店さいち惣菜弁当全集」という書籍を購入したが、まさに「味付けは親心、盛り付けは活け花の心得」は的を射た表現と感じた。
6億円くらいの年商の半分を惣菜で稼いでいるという。平均的なスーパーの惣菜の構成比が10%くらいなので突出している。秋保温泉周辺の商圏人口は4,000人くらい。その商圏内のお客さんだけではなく、私のように県外から買いに来る人や観光客も来店しているらしい。訪問当日も駐車場には警備員が二人いて、対応していた。県外ナンバーもちらほらあった。
おはぎを2種類、惣菜を3種類、ホタテご飯といなりずし、高菜おにぎりを購入。完全に買い過ぎだと思いつつ、近くの公園でおはぎと惣菜を頂いた。やさしい味。スーパーやデパ地下の惣菜と見た目も味も違っている。それぞれから作った人の愛が感じられた。
東京に戻って、近所のスーパーで惣菜を見たが、同じようなメニューなのに、なぜこんなに違うのだろうか?と驚いた。盛り付けにこだわらないからか全くおいしそうに見えない。だから買いたくならない。「さいち」では見た瞬間に食べたい気持ちになった。視覚から食欲の中枢に情報が伝わるような実感(?)があった。同じようなものなのに、もったいない話である。
お客さんの声を聴いてメニューや味付けに反映させる。おはぎを始めたのも、「帰省してくる孫におはぎを食べさせたいけど、家では難しくて作れない」というおばあさんの声だったという。
品質にこだわり、顧客を大事にし、価格で勝負しないけど結果的に低価格で提供している仕組みを目の当たりにして、苦境の原因を環境のせいにしている経営者に見に来て、自分の経営姿勢を振り返って欲しいと感じた。
私自身の仕事に対する取り組み姿勢についても振り返る良い機会となった。
仕事に愛があれば・・・ 【岩本 亨】
岩本 亨
3月初めのNHKテレビ「プロフェッショナル仕事の流儀」という番組で、宮城県秋保温泉にある「主婦の店 さいち」というスーパーマーケットを紹介していた。題して「二人の約束 魂の惣菜 食品スーパー経営者/佐藤啓二・澄子」。
自家製おはぎを1日平均5,000個売る店。今までの最高は25,000個とのこと。お総菜や弁当も自家製でおいしそうだった。社長と専務のご夫妻がスーパーマーケットに業態展開し、価格競争に疲れ果て、経営危機を乗り越えてたどり着いた今の経営方針。安売り競争するのではなく、お客さんに喜んでもらえるオリジナルなものを提供すること。
先週、義父の三回忌で岩手に行く予定があったので、仙台で途中下車し、レンタカーでお店を見に行った。おはぎの棚の前には人だかりができていた。その手前に陳列されているお惣菜はみんなおいしそうで、しかも安い。個食に対応して一人分の惣菜が100円~売っている。お弁当やちらしずしも魅力的だった。
店で販売されていた「惣菜弁当の殿堂 味付けは親心、盛り付けは活け花の心得 主婦の店さいち惣菜弁当全集」という書籍を購入したが、まさに「味付けは親心、盛り付けは活け花の心得」は的を射た表現と感じた。
6億円くらいの年商の半分を惣菜で稼いでいるという。平均的なスーパーの惣菜の構成比が10%くらいなので突出している。秋保温泉周辺の商圏人口は4,000人くらい。その商圏内のお客さんだけではなく、私のように県外から買いに来る人や観光客も来店しているらしい。訪問当日も駐車場には警備員が二人いて、対応していた。県外ナンバーもちらほらあった。
おはぎを2種類、惣菜を3種類、ホタテご飯といなりずし、高菜おにぎりを購入。完全に買い過ぎだと思いつつ、近くの公園でおはぎと惣菜を頂いた。やさしい味。スーパーやデパ地下の惣菜と見た目も味も違っている。それぞれから作った人の愛が感じられた。
東京に戻って、近所のスーパーで惣菜を見たが、同じようなメニューなのに、なぜこんなに違うのだろうか?と驚いた。盛り付けにこだわらないからか全くおいしそうに見えない。だから買いたくならない。「さいち」では見た瞬間に食べたい気持ちになった。視覚から食欲の中枢に情報が伝わるような実感(?)があった。同じようなものなのに、もったいない話である。
お客さんの声を聴いてメニューや味付けに反映させる。おはぎを始めたのも、「帰省してくる孫におはぎを食べさせたいけど、家では難しくて作れない」というおばあさんの声だったという。
品質にこだわり、顧客を大事にし、価格で勝負しないけど結果的に低価格で提供している仕組みを目の当たりにして、苦境の原因を環境のせいにしている経営者に見に来て、自分の経営姿勢を振り返って欲しいと感じた。
私自身の仕事に対する取り組み姿勢についても振り返る良い機会となった。
社長のやる気スイッチはどう入ったのか? 【岩本 亨】
岩本 亨
とある地方の温泉旅館。客室数は15室。ここ数年毎期赤字が続いていた。貸出している金融機関担当者A氏は、以前は頻繁に旅館を訪れ、社長に経営状況を確認したり、具体的な取り組みをアドバイスしたりしていた。しかし、いくら言ってもB社長が代わらないので半ばあきらめて、ここ5年くらいは放置していた。
最近になってB社長から「業績が上がってきたので、一度見に来て下さい」と連絡があった。A氏が半信半疑で訪問したところ、部屋はきれいになっており、露天風呂付きの部屋もできていた。「借入金の返済猶予をしていながら、隠し財産でもあったのか?」と疑心暗鬼になり問いただした。B社長は、「金が無いから、家族でできる所まで改装し、プロにしかできない箇所は引退した大工さん等を自分で探して、個別にお願いして安く対応してもらった。1年に1室ずつのペースでコツコツ進めている。旅行代理店との付き合いも一切やめ、ネットエージェントとに絞り込んだ。口コミ評価ポイントが徐々に上がってきて、それが励みになっている。」そんな答えが返ってきた。事実確認のためお忍びで泊まりに行き、深夜自分で重機を操作している社長夫妻を確認した。
A氏がB社長に、「あんなに言うことを聞かず、やる気もなさそうだったのに、何で変わったの?」と聞いたところ、B社長から「娘が大きくなるにつれ、近隣の旅館が怪しげな商売をしているのを見て『ウチも同じなの?』と思われるのが嫌だった。また、息子にやる気のない父親と見られるのも忍びないと思った。それがきっかけでとにかくできる所まで自分の力で考えて、工夫してやってみようと思った。それを続けていくとお客さんにも喜んでもらうようになった。仕事が面白くなってきて、一生懸命に取り組んでいくうちに黒字化してきた」と答えが返ってきた。
変われば変わるもので、最近はB社長から時間に関係なく電話がかかってくるようになった。先日も深夜0時過ぎに携帯が鳴った。出てみるとB社長から「先月の試算表をまとめたら、計画以上に黒字になっていたので嬉しくて電話しました!」と弾んだ声が。既に寝室にいたA氏は「嬉しいけど、深夜は勘弁して・・・」と悲鳴を上げていた。
今日聞いたばかりの「やる気になれば想像以上のことができる」という実話を披露させていただきました。いくら周りが口を酸っぱくするくらいにアドバイスしても、本人がその気にならないと変わらない。その気になりさえすれば、この例の様に劇的な変化をもたらすことも有りうる。組織の中の人の活かし方にも通ずる話ですね。
都内T市役所での政策提案研修で 【岩本 亨】
岩本 亨
今年も都内のT市役所で入職4~7年目の職員を対象とした「政策提案研修」の講師を務めた。
2009年に初めて「提案研修(業務改善)」を受託し、翌年から「政策提案研修」に変更されて以来、6年連続で担当させていただいている。
実質3日間の研修である。前半は二日連続の宿泊研修。後半は半日ずつ、間二週間を挟んで行った。
今年の前半は9月4・5日の2日間を自治大学校の施設を借りて、理論を修得しながら演習をふんだんに取り入れて行った。その中で、どのような政策提案をするか?をグループで協議しテーマを決定した。
9月6日~11月13日まで、グループごとの活動により、テーマに沿って提案する政策を練り上げた。
そして、11月14日午前中にプレゼン実践研修。本番までの二週間で、指摘されたことを修正し、12月1日13:00~15:20直前リハーサル、15:30~17:00市長はじめ理事者へのプレゼンテーションを行った。
市長をはじめとした理事者の方々は非常に熱心に聴いてくださった。また、職員の方々にも聴講できるようにしたが、30名前後の方々に入れ替わりでお聴きいただいた。
T市研修担当の「より良い研修を」という強いこだわりのもと、昨年のコンテンツに「タイムマネジメント」を加えた。また、日程についても昨年まで後半を1日研修で午前中プレゼン実践演習、午後プレゼン本番で実施していたものを、二日に分け、間に二週間ほどの仕上げ期間を設定した。
効果は明らかだった。ともすればマンネリ化してしまって、講師にも緊張感が減退しそうな状況だが、見事にSTEP UPを実現された。
仕事において、何を実現するのかの目標の再認識をして、新しいことを追及することは重要である。多くの人が頭では分かっているが実際の行動ができないことを、見事に達成されたと感じた。そのこだわりと努力に敬意を表したい。来年度はどのような研修にレベルアップできるか楽しみである。
資格を持つ者の責任 【岩本 亨】
岩本 亨
先日、NHKの「プロフェッショナルの流儀」を観た。紹介された山形県酒田市の歯科医 熊谷崇氏が、番組の中で「ライセンスを持つ者の責任」について話していた。
2013年4月1日付のこのブログで、国家資格「中小企業診断士」登録したばかりの人たちに、以下のメッセージを送っていることを取り上げた。
「中小企業診断士に期待されているのは、中小企業を支援することによってその会社を発展させ、ひいては日本経済の発展に貢献することです。皆さんは資格のミッションを良く認識して、自らの行動を考えてください。あなたが合格したために不合格になった方がいます。合格したあなたがミッション(使命)を果たさないのであれば、それは一種の背任行為だと私は思います。合格した人には合格した責任があります。その責任を意識して活動してください」と。
このメッセージは、「資格の学校TAC」を運営するTAC株式会社の創業者でCEOの斎藤博明氏のメッセージを参考にしたものだ。TACのホームページをのぞいてみると、以下のように紹介されている。
TACの企業理念は、“プロフェッション”としての人材の養成です。
プロフェッションprofessionとは、英語のprofess=「神の前で宣言する」を語源とし、中世ヨーロッパでは神に誓いを立てて従事する職業として、神父や法律家、会計士、医者、教師、技術者などの知識専門家を指していました。そして神の詔命によってプロフェッションとなった人々には、社会や市民に対する大きな責任と厳しい倫理観が求められました。
一方、ヨーロッパの貴族には「ノーブレスオブリージュ」という教えがある。「貴族には生まれながらにして果たすべき義務がある。貴族としてふさわしい行動を取りなさい」と言うものである。
ウィキペディアによると、ファニー・ケンブルが1837年に手紙に「……確かに『貴族が義務を負う(noblesse oblige)』のならば、王族は(それに比して)より多くの義務を負わねばならない。」と書いたのが、この言葉が使われた最初である。
倫理的な議論では、特権は、それを持たない人々への義務によって釣り合いが保たれるべきだという「モラル・エコノミー」を要約する際にしばしば用いられる。最近では主に富裕者、有名人、権力者が社会の模範となるように振る舞うべきだという社会的責任に関して用いられる。
「ノブレス・オブリージュ」の核心は、貴族に自発的な無私の行動を促す明文化されない社会の心理である。それは基本的には、心理的な自負・自尊であるが、それを外形的な義務として受け止めると、社会的(そしておそらく法的な)圧力であるとも見なされる。
法的な義務ではないため、これを為さなかった事による法律上の処罰はないが、社会的批判・指弾を受けることはしばしばである。
私自身、自分は何のためにこの「資格」を取得したのか?を折に触れ自問している。「資格」を「仕事」と置き換えることもある。その問いは、この仕事を通して、どのように世の中に貢献するのか?ということにつながる。
皆さんも秋の夜長に考えてみませんか?考えすぎると眠れなくなるかもしれませんが・・・。
YCSの掟 【岩本 亨】
岩本 亨
今年5月のこのブログにも書いたが、独立を決意した頃、先輩から薦められ、中小企業診断士の勉強会である「YCS(安田コンサルティングセミナー)」に2004年6月から参加した。主宰者の安田平八先生は、一昨年の6月に他界された。最近になって、「YCSのOBの方々の絆を確認する機会を持たないか?」という話が出てきた。それを実現しようという動きに関わっていることもあり、当時を振り返ってみた。
YCSには3つの掟がある。
◎挨拶を心掛けよう。コミュニケーションは挨拶から。
◎相手を褒めよう。良い点を見出すこと。
◎約束を守ろう。納期を守ることは信用構築に繋がる。
以上である。非常にシンプルだが、独立して仕事をするようになって、改めてその大切さを痛感する。
ごくごく当たり前のことだが、できている人は少ないのではなかろうか? 私もまだまだだと感じることが多い。皆さんは如何ですか?
人と人とのつながりの中で、挨拶を意識し始めたのはこの掟がきっかけだったかもしれない。独立前に比べると、断然積極的に挨拶するようになった。お客様にお会いした時の、最初の一言が挨拶。初対面でも第一印象が重要。明るい挨拶は、仕事を円滑にする。体験的にそう感じる。
相手を褒めることは難しい。私は未だに苦手だが、褒められると私も嬉しくなる。モチベーションが上がる。それが分かっているのならそのようにすれば良いのに、なかなかできない。私自身、人前ではあがってしまって、きちんとしゃべれなかった。YCSのカリキュラムにプレゼンテーションをして、お互いに評価しあう講座があった。その際、自分自身では「しどろもどろでうまくできなかった」と感じていたのに、異口同音に、「堂々としていて説得力がある」と褒められた。どうやら「いくら自分がドキドキして話していても、見ている方からはそのように感じられていないようだ」と気付き、以来人前で話すことが苦痛ではなくなった。褒めることの効用を実体験したということである。
約束を守ること。子供の頃からそう教えられている。100%完璧にできてはいない。不可抗力でできないこともあるかもしれないが、生きていく上で、信用を構築しようとした時に、重要なことだ。仕事の納期を守ることは、関係者にストレスを与えないことに直結する。最近私は、いろいろな専門家の方々と仕事をすることが多い。一つの会社の支援を複数の専門家でしていると、納期厳守がどれだけ大切かを思い知らされる。自分が遅れれば、成果物の納期はそれ以上に遅れてしまう。それを挽回しようとすると、関わっている人の多くに、余分な負荷がかかってしまう。納期を守っていればかからなかったであろう負荷がである。そうなると「あなたとは一緒に仕事をしたくない」と言われてしまうのだ。仕事を増やしたい人はこんなことしたら命とりである。恐ろしいことだ・・・。
「YCSの掟」の意味を一つ一つ考えてみる良い機会になった。皆さんも掟に照らして自分の行動を振り返ってみませんか?