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とある地方の温泉旅館。客室数は15室。ここ数年毎期赤字が続いていた。貸出している金融機関担当者A氏は、以前は頻繁に旅館を訪れ、社長に経営状況を確認したり、具体的な取り組みをアドバイスしたりしていた。しかし、いくら言ってもB社長が代わらないので半ばあきらめて、ここ5年くらいは放置していた。

最近になってB社長から「業績が上がってきたので、一度見に来て下さい」と連絡があった。A氏が半信半疑で訪問したところ、部屋はきれいになっており、露天風呂付きの部屋もできていた。「借入金の返済猶予をしていながら、隠し財産でもあったのか?」と疑心暗鬼になり問いただした。B社長は、「金が無いから、家族でできる所まで改装し、プロにしかできない箇所は引退した大工さん等を自分で探して、個別にお願いして安く対応してもらった。1年に1室ずつのペースでコツコツ進めている。旅行代理店との付き合いも一切やめ、ネットエージェントとに絞り込んだ。口コミ評価ポイントが徐々に上がってきて、それが励みになっている。」そんな答えが返ってきた。事実確認のためお忍びで泊まりに行き、深夜自分で重機を操作している社長夫妻を確認した。

A氏がB社長に、「あんなに言うことを聞かず、やる気もなさそうだったのに、何で変わったの?」と聞いたところ、B社長から「娘が大きくなるにつれ、近隣の旅館が怪しげな商売をしているのを見て『ウチも同じなの?』と思われるのが嫌だった。また、息子にやる気のない父親と見られるのも忍びないと思った。それがきっかけでとにかくできる所まで自分の力で考えて、工夫してやってみようと思った。それを続けていくとお客さんにも喜んでもらうようになった。仕事が面白くなってきて、一生懸命に取り組んでいくうちに黒字化してきた」と答えが返ってきた。

変われば変わるもので、最近はB社長から時間に関係なく電話がかかってくるようになった。先日も深夜0時過ぎに携帯が鳴った。出てみるとB社長から「先月の試算表をまとめたら、計画以上に黒字になっていたので嬉しくて電話しました!」と弾んだ声が。既に寝室にいたA氏は「嬉しいけど、深夜は勘弁して・・・」と悲鳴を上げていた。

今日聞いたばかりの「やる気になれば想像以上のことができる」という実話を披露させていただきました。いくら周りが口を酸っぱくするくらいにアドバイスしても、本人がその気にならないと変わらない。その気になりさえすれば、この例の様に劇的な変化をもたらすことも有りうる。組織の中の人の活かし方にも通ずる話ですね。

社長のやる気スイッチはどう入ったのか? 【岩本 亨】

2015/03/02
岩本 亨

とある地方の温泉旅館。客室数は15室。ここ数年毎期赤字が続いていた。貸出している金融機関担当者A氏は、以前は頻繁に旅館を訪れ、社長に経営状況を確認したり、具体的な取り組みをアドバイスしたりしていた。しかし、いくら言ってもB社長が代わらないので半ばあきらめて、ここ5年くらいは放置していた。

最近になってB社長から「業績が上がってきたので、一度見に来て下さい」と連絡があった。A氏が半信半疑で訪問したところ、部屋はきれいになっており、露天風呂付きの部屋もできていた。「借入金の返済猶予をしていながら、隠し財産でもあったのか?」と疑心暗鬼になり問いただした。B社長は、「金が無いから、家族でできる所まで改装し、プロにしかできない箇所は引退した大工さん等を自分で探して、個別にお願いして安く対応してもらった。1年に1室ずつのペースでコツコツ進めている。旅行代理店との付き合いも一切やめ、ネットエージェントとに絞り込んだ。口コミ評価ポイントが徐々に上がってきて、それが励みになっている。」そんな答えが返ってきた。事実確認のためお忍びで泊まりに行き、深夜自分で重機を操作している社長夫妻を確認した。

A氏がB社長に、「あんなに言うことを聞かず、やる気もなさそうだったのに、何で変わったの?」と聞いたところ、B社長から「娘が大きくなるにつれ、近隣の旅館が怪しげな商売をしているのを見て『ウチも同じなの?』と思われるのが嫌だった。また、息子にやる気のない父親と見られるのも忍びないと思った。それがきっかけでとにかくできる所まで自分の力で考えて、工夫してやってみようと思った。それを続けていくとお客さんにも喜んでもらうようになった。仕事が面白くなってきて、一生懸命に取り組んでいくうちに黒字化してきた」と答えが返ってきた。

変われば変わるもので、最近はB社長から時間に関係なく電話がかかってくるようになった。先日も深夜0時過ぎに携帯が鳴った。出てみるとB社長から「先月の試算表をまとめたら、計画以上に黒字になっていたので嬉しくて電話しました!」と弾んだ声が。既に寝室にいたA氏は「嬉しいけど、深夜は勘弁して・・・」と悲鳴を上げていた。

今日聞いたばかりの「やる気になれば想像以上のことができる」という実話を披露させていただきました。いくら周りが口を酸っぱくするくらいにアドバイスしても、本人がその気にならないと変わらない。その気になりさえすれば、この例の様に劇的な変化をもたらすことも有りうる。組織の中の人の活かし方にも通ずる話ですね。

持つべきものは人脈 【岩本 亨】

2015/02/02
岩本 亨

先月中旬、東海地方出張の全アポイントが完了し、名古屋駅に到着した時に、「岩本、久しぶり!」と声を掛けてくれた人がいた。リクルート勤務時代の同期のM君だった。彼の乗る予定の電車の時間が迫っていたため、その場で名刺交換をして、改めて会うことにした。メールで日程調整し、先日会った。

近況を報告し合い、当社(SKK:合同会社産業経営研究所)で「営業力強化研修」を企画していることを話した。彼自身も10年ほど前に独立してコンサルティング会社を経営しており、コンサルの主テーマは「営業」。既に70社強の支援実績を持ち、顧問先も10社弱持って忙しく活躍している様子だった。

顧問先の一つで、営業関連の講師を探しているとのことで、当社のネットワークで適任者がいれば対応できると伝えたところ、「是非お願いしたい」との答えだった。候補になりそうな人の説明をしたところ、F氏が適任ではないかということになり、面談のセッティングをした。

私も「営業支援」をサービスメニューの一つにしている。新規の営業活動は、対象を絞り込み、電話やメールでアプローチし、訪問してお話ししながら信頼関係を構築し、サービスや商品の説明をして、受注につなげる。大まかにいうと、こんな流れだ。今回のケースは既に信頼関係のある人が対象だったため、話がスムーズに進んでいる。改めて人脈の大切さを感じている次第である。

M君は、独自では社員教育の実施が難しい中小企業のために、教育サービスを提供できないか検討しているという。協力することで、少しでも日本の中小企業の発展に貢献できるのであれば、中小企業診断士として喜ばしい限りである。

都内T市役所での政策提案研修で 【岩本 亨】

2014/12/01
岩本 亨

今年も都内のT市役所で入職47年目の職員を対象とした「政策提案研修」の講師を務めた。

2009年に初めて「提案研修(業務改善)」を受託し、翌年から「政策提案研修」に変更されて以来、6年連続で担当させていただいている。

実質3日間の研修である。前半は二日連続の宿泊研修。後半は半日ずつ、間二週間を挟んで行った。

今年の前半は945日の2日間を自治大学校の施設を借りて、理論を修得しながら演習をふんだんに取り入れて行った。その中で、どのような政策提案をするか?をグループで協議しテーマを決定した。

96日~1113日まで、グループごとの活動により、テーマに沿って提案する政策を練り上げた。

そして、1114日午前中にプレゼン実践研修。本番までの二週間で、指摘されたことを修正し、12113:0015:20直前リハーサル、15:3017:00市長はじめ理事者へのプレゼンテーションを行った。

市長をはじめとした理事者の方々は非常に熱心に聴いてくださった。また、職員の方々にも聴講できるようにしたが、30名前後の方々に入れ替わりでお聴きいただいた。

T市研修担当の「より良い研修を」という強いこだわりのもと、昨年のコンテンツに「タイムマネジメント」を加えた。また、日程についても昨年まで後半を1日研修で午前中プレゼン実践演習、午後プレゼン本番で実施していたものを、二日に分け、間に二週間ほどの仕上げ期間を設定した。

効果は明らかだった。ともすればマンネリ化してしまって、講師にも緊張感が減退しそうな状況だが、見事にSTEP UPを実現された。

仕事において、何を実現するのかの目標の再認識をして、新しいことを追及することは重要である。多くの人が頭では分かっているが実際の行動ができないことを、見事に達成されたと感じた。そのこだわりと努力に敬意を表したい。来年度はどのような研修にレベルアップできるか楽しみである。

資格を持つ者の責任 【岩本 亨】

2014/11/03
岩本 亨

先日、NHKの「プロフェッショナルの流儀」を観た。紹介された山形県酒田市の歯科医 熊谷崇氏が、番組の中で「ライセンスを持つ者の責任」について話していた。

201341日付のこのブログで、国家資格「中小企業診断士」登録したばかりの人たちに、以下のメッセージを送っていることを取り上げた。

「中小企業診断士に期待されているのは、中小企業を支援することによってその会社を発展させ、ひいては日本経済の発展に貢献することです。皆さんは資格のミッションを良く認識して、自らの行動を考えてください。あなたが合格したために不合格になった方がいます。合格したあなたがミッション(使命)を果たさないのであれば、それは一種の背任行為だと私は思います。合格した人には合格した責任があります。その責任を意識して活動してください」と。

このメッセージは、「資格の学校TAC」を運営するTAC株式会社の創業者でCEOの斎藤博明氏のメッセージを参考にしたものだ。TACのホームページをのぞいてみると、以下のように紹介されている。

TACの企業理念は、“プロフェッション”としての人材の養成です。
プロフェッションprofessionとは、英語のprofess=「神の前で宣言する」を語源とし、中世ヨーロッパでは神に誓いを立てて従事する職業として、神父や法律家、会計士、医者、教師、技術者などの知識専門家を指していました。そして神の詔命によってプロフェッションとなった人々には、社会や市民に対する大きな責任と厳しい倫理観が求められました。

一方、ヨーロッパの貴族には「ノーブレスオブリージュ」という教えがある。「貴族には生まれながらにして果たすべき義務がある。貴族としてふさわしい行動を取りなさい」と言うものである。

ウィキペディアによると、ファニー・ケンブルが1837年に手紙に「……確かに『貴族が義務を負う(noblesse oblige)』のならば、王族は(それに比して)より多くの義務を負わねばならない。」と書いたのが、この言葉が使われた最初である。

倫理的な議論では、特権は、それを持たない人々への義務によって釣り合いが保たれるべきだという「モラル・エコノミー」を要約する際にしばしば用いられる。最近では主に富裕者、有名人、権力者が社会の模範となるように振る舞うべきだという社会的責任に関して用いられる。

「ノブレス・オブリージュ」の核心は、貴族に自発的な無私の行動を促す明文化されない社会の心理である。それは基本的には、心理的な自負・自尊であるが、それを外形的な義務として受け止めると、社会的(そしておそらく法的な)圧力であるとも見なされる。

法的な義務ではないため、これを為さなかった事による法律上の処罰はないが、社会的批判・指弾を受けることはしばしばである。

私自身、自分は何のためにこの「資格」を取得したのか?を折に触れ自問している。「資格」を「仕事」と置き換えることもある。その問いは、この仕事を通して、どのように世の中に貢献するのか?ということにつながる。

皆さんも秋の夜長に考えてみませんか?考えすぎると眠れなくなるかもしれませんが・・・。

私は親不孝者・・・? 【岩本 亨】

2014/10/06
岩本 亨

先日、鳥取県米子市近郊の企業支援の為に出張した。次の日、鳥取市の金融機関本部を訪問して、その日のうちに帰京する予定だった。急きょ翌日に山口県山口市の支援先に来て欲しいとの依頼があり、対応した。


鳥取市で仕事が終わったのが15:00前。西に向かってJR特急に乗っても目的地に着けない。途中の島根県出雲市駅で降りてレンタカーを借り、実家で一泊して翌日朝8:06発のJR特急で山口に向かった。

実家がJR山陰線から離れた山間なので車でないとたどり着けないのと、レンタカー屋さんが少なく、出雲市駅の西隣の店舗は、約100㎞離れた浜田駅にしかないのでそのようにした。

実家の母に電話して事情を話し、泊めて欲しいとお願いした。母は喜んでくれた(ように私には感じられた)。


そんな話を友人にしたところ、「お母さんも大変なんじゃないの? 負担を掛けていることも考えた方がいいんじゃない?」と反応された。

母は昨年体調を崩してしばらく入退院を繰り返していた時期があった。その時、「島根県に出張するので、お見舞いに寄るよ」と言うと、「家に居るけど、元気が出なくて、世話をしてあげられないから」と断られたことがあった。


今まで「母の負担」を考えたことが無く、息子である自分が実家に行けば喜んでくれるとだけ考えていた。母は10月が誕生日で78歳になる。お蔭さまで今年に入ってからは元気を回復している。

今後は「負担」と「喜び」のバランスを良く考えながら行動することにしなければ・・・。

親孝行を気取っていたが、とんでもない親不孝だったのかもしれないと反省した。