ものづくり
来月は決算期の月である。会社の通信簿として所得申告のため貸借対照表、損益計算書及び上場企業ではキャッシュ・フロー計算書を作成し開示する。この中で、キャッシュ・フロー計算書が面白い。キャッシュ・フロー計算書を見ていると企業それぞれの資金の集め方、使い方というか、経営の仕方がわかる。
フリーキャッ・フロー(営業キャッシュ・フロー+投資キャッシュ・フロー)がある企業がそのキャッシュ・フローを新規事業投資に回している会社、リスクに備えて保険を掛けている会社、借入金の返済に充てている会社、借入金を完済し新規投資もしないで現金預金を増やしている会社などさまざまである。
中小企業でフリーキャッシュのある会社は保険に入り節税を図っている会社が多い。
保険には、経営者を対象とする経営者保険、従業員の退職金を対象とする養老保険、退職金保険、労働災害保険、会社の固定資産を対象とする火災、地震保険等がある。
保険に入ることは将来に対するリスク管理であり、そのこと自体を否定するものではないが、フリーキャッシュの内、どの程度を保険に回すかが問題である。保険に入る前に借入金の返済による財務体質の強化、新規投資等による事業拡大を検討する必要がある。
又、掛け金の全額が損金扱いになるが、会社倒産等の場合でも退職金は直接従業員に支払われるということで共済事業(中小企業退職金共済事業)に加入しない企業もある。反対にその場合(倒産等)に多少の金額でも従業員が手にすることができれば、従業員にかける迷惑が少なくなると考え、少額を中退協に月々掛けている企業もある。
会社は誰のためにあるのかといった場合、欧米では株主のためといわれているが、会社は顧客あって成り立つものであり、その顧客対し製品を作っているものは従業員であり、それを支えているものは地域社会であるといったことを考えるとき、中小企業も将来の成長のため新規投資により顧客満足を図っていくとともに福利厚生の増進により従業員満足を図っていくことが生存の条件であると思う。
会社は誰のためのもの~フリーキャッシュの使い道~ 【長屋勝彦】
長屋 勝彦
来月は決算期の月である。会社の通信簿として所得申告のため貸借対照表、損益計算書及び上場企業ではキャッシュ・フロー計算書を作成し開示する。この中で、キャッシュ・フロー計算書が面白い。キャッシュ・フロー計算書を見ていると企業それぞれの資金の集め方、使い方というか、経営の仕方がわかる。
フリーキャッ・フロー(営業キャッシュ・フロー+投資キャッシュ・フロー)がある企業がそのキャッシュ・フローを新規事業投資に回している会社、リスクに備えて保険を掛けている会社、借入金の返済に充てている会社、借入金を完済し新規投資もしないで現金預金を増やしている会社などさまざまである。
中小企業でフリーキャッシュのある会社は保険に入り節税を図っている会社が多い。
保険には、経営者を対象とする経営者保険、従業員の退職金を対象とする養老保険、退職金保険、労働災害保険、会社の固定資産を対象とする火災、地震保険等がある。
保険に入ることは将来に対するリスク管理であり、そのこと自体を否定するものではないが、フリーキャッシュの内、どの程度を保険に回すかが問題である。保険に入る前に借入金の返済による財務体質の強化、新規投資等による事業拡大を検討する必要がある。
又、掛け金の全額が損金扱いになるが、会社倒産等の場合でも退職金は直接従業員に支払われるということで共済事業(中小企業退職金共済事業)に加入しない企業もある。反対にその場合(倒産等)に多少の金額でも従業員が手にすることができれば、従業員にかける迷惑が少なくなると考え、少額を中退協に月々掛けている企業もある。
会社は誰のためにあるのかといった場合、欧米では株主のためといわれているが、会社は顧客あって成り立つものであり、その顧客対し製品を作っているものは従業員であり、それを支えているものは地域社会であるといったことを考えるとき、中小企業も将来の成長のため新規投資により顧客満足を図っていくとともに福利厚生の増進により従業員満足を図っていくことが生存の条件であると思う。
社内旅行に参加して 【長屋勝彦】
長屋 勝彦
精密加工機械部品製造会社の社内旅行に参加した。東北の秋の紅葉を愛でる旅である。その会社は、柔軟な納期対応により、高品質の製品を顧客に提供している。そのため、価格は多少高くても多くの優良企業と直接取引し、欧州経済の停滞、中国関係の悪化にもかかわらず好調な業績を保持している。その原因は、いわゆる匠の技という領域には程遠いが作業者である熟練された技能にある。
社長は、町工場規模から20歳代半ばで独立した方で、社員教育に熱心である。今から10年前、この会社の社員教育・指導の依頼を受けた。社員教育といっても技術面ではなく、自分自身の経験を通して優れた技術者、管理者となるための取り組み方、心構えについての指導である。
現在の作業レベルは、時間(残業)をかけてどうにか顧客の要求する製品を作り、顧客に届けている水準である。この会社が今後も生き残るには、時間をかけないで(残業をしないで)現在の作業レベルの仕事をこなし、よりレベルの高い(高精度)仕事への取り組みが必要である。そのための方策は自分自身で考え実行するよりほかは無い、いわば創出(仮説検証)の世界である。そのためには、自分が仕事で一流になるのだという気概を持つことが必要であり、そのための心構えを作業員(管理者を含め)に植え付けるのが社長から依頼された使命であると考えている。
常々従業員に、「自分のビジョンを持ち、この世界で一流になるように」と話しているが、反面、従業員個々人が個性を出しすぎると会社全体のチームワークにひびが入る。組織で仕事をするにはチームワークとしての和も必要であり、個人の力量アップと組織の風土作りが重要であると思っている。
宴会の席でスピーチを求められたが、「今回の社内旅行の意義は、野外研修であり、仕事を離れたときに何かを感じて帰るとともに、同じ釜の飯を食っていることであり、チームとしての連帯を深める場であって欲しい」という話をした。スピーチ後、診断士である自分にもこのことはいえると思った。 今回の旅行は、東北の紅葉を体験するとともに多くの人と話し、行動でき有意義なものであった。
中小企業にとっての「世界に一つだけの花」とは 【長屋勝彦】
長屋 勝彦
テレビのニュースで、日本著作権協会が過去30年に放送、カラオケで歌われた歌100曲を発表し、その1位が世界で一つだけの花であるということを知った。
ナンバーワンにならなくてもよい、オンリーワンになればよいという歌詞が人々の共感を得たものである。この歌詞の意味はナンバーワンになろうとして背伸びをし、無理をした生き方をするより、充実感を得られ得る自分に合った生き方をすることが自分の人生にとって大切であるということである。
この曲は10年前に発表されたが、最初に聞いたのは中小企業診断士の実務補習の最終日で、中小企業診断協会東京支部に診断報告書を提出し、診断先での診断報告会で報告し、反省会も終わって帰途に就くタクシーの中であった。
人材、資金の乏しい中小企業の生きる道はニッチ市場であり、そこでトップ企業というよりオンリーワン企業を目指すべきであるということを日ごろから思っており、この歌が印象に残った。
あれから10年、今もその考えは変わっていない。ワールドワイドな事業展開を求められる環境にあって、人材、資金の乏しい中小製造業が生き残る道は日本に開発拠点を置く企業と連携し差別化できる技術を確立することにつきると今も考え、そのための中小企業支援に注力している。
しかし、活路を見いだせた企業もあるが、今は大きな成果は得ていない。今後も、中小企業診断士として何をする必要があるか、何ができるかといったことを常に考え行動していきたいと念じている。
営業力について 【遠藤弘之】
遠藤 弘之
7年ほど勤めていた某中堅樹脂加工メーカーの知人らから、飲み会に誘われ、猛暑の中、楽しい場を持った。 現在、この会社では、彼らと共に市場に出した商品が、大きく育ち、業績に大きく寄与しているとの話で、大いに盛り上がった。
この会社の中で、射出成形部門は、バブル時代の設備投資とその後の中国などの攻勢で、事業のリストラに追い込まれていた。
そういう時に、昔から付き合いのある某化学メーカーの人が、全くの異業種である機械メーカーの人を連れてきて、ある高機能性の商品の開発を提案された。
直観として、出来ると思い、さらに市場動向、周辺技術(知財含む)を調べ、開発をスタートした。 何度も壁にぶつかりながら、3年目で基礎技術構築と特許出願にこぎ着けた。 更に、リストラ対象の技術と設備が利用できて生産も始めるころができ、会社にとっては、最良の姿を構築することができた。
その開発と生産開始の間の紆余曲折は、いろいろあったが、仲間に恵まれ、何とか上手くいった。 更に、その後の新興国などの設備投資の背景も受け、今でも順調に伸びているようである。
今思い起こせば、成功の要因には、いろいろあるが、一番は、最初の“社外の人脈の情報”がきっかけであったことだと思う。 今のような、変化の激しい時代には、異業種の情報(人脈)は、新しい発見を生み出す基になる可能性があり、これこそ、技術屋ばかりか、営業担当者にも、共通の“営業力“の一つであろうと思う。